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始まり

 俺がプロゲーマーに成り愛子が全国なぎなた杯で優勝した翌週。


 俺は町の鍛冶場に居た。

「う~ん、俺の武器はデニュニルがあるから剣二本であの3人に指輪とそれぞれの武器でチェルンは首飾りに連接剣だな」

 一通りうねり炉に鉱石を5個放る。今回使う鉱石はただの鉄鉱石だが燃料に入れた燃焼のエンチャントを施した経験値クリスタルを燃やしている為とてつもなく温度が高い。慣れてはいるけれどもそんな長い間居たい場所でも無い。

 鉄を溶かして取り出して叩き不純物を押し出す。カンカンカンと心地よい音が響く。素早く正確に打ちつける槌にはほのかながらも緑色の発光をしている。薄く鋭く頑丈に鍛えられるその刃の部分の反りはかなり抑えており突きでも斬撃でも出来るように力を込める。


 約数分の後にアイの薙刀が完成する。

 次に砂型を造り上げそこに溶かした鉄を流し込みゆっくり冷やす。その間に指輪とネックレスを。そしてまだ冷えていないので鞘である杖を作る。今度は一回り大きな砂型に鉄を流し込みそこに鋼で作っていた細剣のモデルを入れる。これにより杖部分が完成する。それをブレイクで壊して杖の部分だけにして収納機能を付ける。そして固まった細剣を取り出して少し叩き加工する。




 全ての作業が終わり一旦ログアウトする。



 

 現実世界で目を覚ました俺はリビングへと移動し朝食を作る。

 慣れた手つきで高速で作り上げていく朝食はあっという間に完成した。そのタイミングで足音が聞こえて来る。

「おはよう」

「う~ん、おはよ~」

「お早うございます」

「お早うございます亮哉さん」

 昨日はてんやわんやで東京を出たのが夜の9時半ごろ。転移を使えば一瞬だがその能力は公にできないのでこの前も使用した飛行車を使う。この時ばかりは俺の偽造身分であるグラビミウム鉱山所有者があって助かった。まあリニアを貸し切れば家までそう掛からなくはないが。


で大分夜も遅いので(夜の11半ごろ)だったので家に泊めたのだ。

「今日は弁当はいらない日だっけ?」

「いえ~す」

 何とも気の抜けた美波の返事である。

「まぁ結局お世話になる事には変わらないんですけどね」

「そうだが・・・。アイリ 起動 ニュースを」

『はい』

 その一言でリビングの大テレビの電源がつく。


『次のニュースです。矢田さんAWOってご存知ですか?』

「へぇ~ついにAWOも朝のゴシップ番組に登場か~」

「美波言い方」

「はいはい」

 確かに美波の言い方はアレだがゴシップ番組であることは変わりないと俺も思っており諌めた愛子も形式上注意しただけだ。そして雫はアイリと話している。

『確か無銘企業の最新鋭VRMMORPGでしたよね?』

 おい無銘って・・・・。

『そうです。そのAWOの開発主任浜崎一也による発表があるそうです』

「えっ!?・・・アイリ録画開始 さくらとの連絡も」

『了解』

 その言葉を聞いた瞬間俺は眼を発動し現状連絡先を知っている霧宮さくらに連絡を取る。

『亮哉今の聞いた?』

「ああ。よりによってアイツが黒幕か?」

『えぇ多分。・・・続くわ』

 そしてAR技術を利用して俺の良く知る浜崎一也が映し出される。

『この度はAWOにおける最初のイベントと第二陣参入時期についてなどのお話をさせてもらいます。私はAWOにおける開発主任である浜崎一也と申します。

 さてAWOにおける最初のイベントは一言で言うと不思議な孤島における装備強化イベントです。プレイヤーはこの孤島に散ったかくされた謎や迷宮を攻略する事でユニーク装備だったり装備強化アイテムが手に入ります。

 次に第二期生産スロットですが今週の土曜日に発売を開始します。またイベントはその一週間後である来週の土曜日の午後一時からを予定しています。

 最後に成りますがAWOの世界では未だバグやチートの存在を確認しておりません。特定のプレイヤーにおける誹謗中傷はお辞めになって下さい。特に彼の摸法能力は我々がかなり厳しく設定した基準を見切った上で行われている正当な行為です。またユニークスキルやユニーク装備など特殊イベントで手に入るものの配布などは運営では行いません。あの世界ではNPCである現地人が生きています。それだけはお忘れにならないよう。

 対述。

 彼は近いうちに私の分身であるラーアと相見えることでしょう。その時に彼の本気の片鱗に触れることが出来るかも知れません。ではこれでAWOにおける発表を終了したいと思います』

 アイツやりやがった!!

 助かるけど

「亮哉さんあの方は?」

「テンスの神子が1人剣の勇者にして神の領域に辿り着きし勇者。それでいて俺の永遠のライバル」

「そんな方が?」

『えぇそうなのよ、愛子。最愛の女性の為に神をも殺す何処かの誰かさんとは別の方法で神の領域に辿り着いた英雄それがAWOの開発主任 浜崎一也。』

 愛子の説明に答えたのはさくら。でもなぁ

「悪かったな、アイツの為に神をも殺して」

『あら別に亮哉の事を言った訳じゃないけど?』

「だろうな。」

 知ってたさ、俺が神を殺したのにはミミア・ヒーリア・エルラリア第二王女及び創造神教のミミア・グラローア聖女を蘇生させるために錬金神を殺した。マジカルソードの格上殺しや繋ぎ止めに呪縛はその際のもの。

「あとは転移方陣だけだからな・・・。長かった。」

『かれこれ6年位だからね。って愛子のこの事知らないの?』

「言うようなことじゃないしな。あと少しで完成するからそこで全てを打ち明けるさ向こうに残した連中と娘もいることだし」

「!」

「?」

「娘ッ!!」

『確かに娘を残しているわね。でもあの子何で貴方を父親として見てるの?本来なら創造主じゃないの?現に私の子はマスターか創造主よ?』

「さぁ?人型だからじゃないのかムアは」

『・・・そうなのかしら?』

「良く分からんが多分そうだろう。さてそろそろ行かないと不味いんじゃないか?」

 時計に目を向けると既に7時半を過ぎている。金曜から現地入りしていた恋歌の魔道騎士及びチェルンはその報告が学校にあるはずなので早めに出る必要がある。

『そうわね。所で来校者の名前に貴方の名前があったのだけれども何で?』

「美波の保護者面談。・・・コレって俺がしても大丈夫なのか?」

「さぁ?」

「如何なんでしょうか?」

『別に問題はないわよ。にしても職業が書いてないのは何で?貴方なら選り取り見取りじゃないの?』

 確かにそうなんだが

「農家 鍛冶師 彫金師 牧師 自衛隊 地主 株主 プロゲーマー どれを書けと?」

『どれも破格の報酬を貰っているらしいしね。まぁ地主兼株主にしとくわ。じゃあ気を付けていらっしゃい』

「あぁじゃあ」

 そう言うと向こうから電源を切る。

「そろそろ行くぞ3人とも」

「「「は~い」」」



 いつもの作業を終わらせて学校に着いたのは8時ちょっと前。車で校内に入ると

「亮哉いらっしゃい」

「あぁってさくらお前わざわざ案内する必要あるの?」

 何故か駐車場付近でさくらが待機しておりわざわざ誘導をしてくれる。

「にしても錬成で創ったのね、車」

「あぁ純ミスルリだから割と軽いぞ」

「今度バイク創って?」

「OK。お~い、降りて良いぞ」

 と声を掛けると3人揃って降りて来る。

「じゃあ亮哉はこっちに後までね3人は」

「だから何故?」

「あれ?」

「確か亮哉さんって・・・」

「お父様と同じ資金提供者でしょここの?」

 確かに俺は桜井家同様にこの私立校に対して多額の援助金を提供している。それは美波や愛子に雫の関係上必要な経費として提供をしているのだが

「桜井家に次いでナンバー2の資金提供者をそう変な扱いできないでしょうに普通」

「普通って俺の何処に普通がある?」

「「「「それは否定できない」」」」

 4人から総否定された。正しいけれども

「確かにさくらは生徒会長だから良いのか?いやそれで良いのか?」

「本来は教師がすべきなんでしょうけど年齢や友好の関係じゃないかしら?」

「はぁ。まあ良いか。じゃあまた後で」

「えぇ」

「またね~」

「行ってらっしゃい」

 と3者3容の見送りをして玄関へと向かう。

「では行きましょうか亮哉様。」

「気持ち悪から止めろ」

「そうよね、自分でやってなんだけど吐き気がしたわ」

 俺たちの間にあるフランクな関係に立場なんてものは不要だろう。

 何せあのグルカルトで命を背中を託しあった仲なのだから。





 案内されたのは校長室。

 さくらがノックをして扉を開ける。

「失礼します。」

「失礼します。」

 ほぼ同時に礼をして校長室に入る。

「掛けて良いですよ、お二人とも」

 柔らかくけれども威厳のある声が通る。

「では」

「座らせて頂きます」

 流れるように座る俺とさくら。そこで初めて校長に目を向ける。目測30代後半の女性だ。

「初めまして 本校二年A組所属の片倉美波の保護者片倉亮哉です。」

「初めまして 本校の校長を務めている大林怜奈です」

「「っ!!」」

 その苗字を聞いた瞬間俺とさくらに緊張が走る。

「やっぱりあの娘の知り合いなのね・・・・万物に魔術」

「となると治癒の知り合いなのですか?」

「えぇそうよ、霧宮さん。私の姪にあたるのが大林希光子よ。」

 とほぼ同時に身構えるさくら。

「さくら・・・身構えるな。今目の前にいるのは希光子ではなく大林校長だ。いくら犬猿の仲とはいえ此処に持ちだすのはマナーが成っていないぞ」

「私は気にしてませんよ。いつものようにキャットファイトしていたのは聞いていますから」

 う~わ~俺直伝の詐欺能力を親族に使っていやがる。

「とまぁ経緯は知っているので形式上校長室に招きましたで良いわよね?」

「そうですね。俺も実際まだ日本では18歳ですし。」

「グルカルトに数年を含めずに虚空戦場を含めずにでしょう?」

「詳しいですね。特に後者はそこまで認識されていないはずですけど」

 俺や政府は虚空戦争における情報統制は徹底的に布いた。それは主に俺やさくらがグルカルトの力を使い攻略を本来敷かれたレールではなく隣の獣道を最短で翔って行ったからだ。そこには非合法な手段しか用いていないので俺やさくらが異世界の勇者であることを露見させる訳にはいかないしそもそも異界や異世界の存在を知られる訳にはいかないが今回ばかりは一也の何らかの思惑から俺の摸法能力を公開するように仕向けている。実際さっき視た感じではやはりAWO特化ギアは特化ではなく専用である事が判明。刻印魔法も使われていることも判明しており俺が初ログイン時に感じた違和感は魂魄魔法である魂を引き抜かれる感覚であったのだ。

 これは俺が独自に開発した技術で一種の延命・蘇生用の手段である。生きているもしくは母体となる肉体に対して蘇生・延命対処者の魂を引き抜き蘇生先の肉体に定着させることで蘇生・延命させるという実験の一つである。またコレは魔王軍に対処するための作戦用に魂を如何にして定着させるかという対処法の模索用の魔法である。


「まあ家の子に会いたければ妹さんを通しなさい」

「・・・・分かりました。」

 俺の直感でそれはわりと直だと思う。

 まあ転送陣が完成するとグルカルトと行き帰り出来るようになると皆でグルカルトに行くことに成ってるしな。

「じゃあ確か保護者面談よねこの時間に空いている保護者もこの時代には少ないしこうわざわざ足を運んでくれる人も減っているから眼を視て話をしてくれる人も減ってるしフルダイブ環境でしか話せない保護者も多いから。じゃあ案内しておいで霧宮さん」

「はい」

 そう言い俺とさくらに退出を促す。

 まぁこんな魔性の女相手に出来るよな器じゃないしさっさと懇談会を終わらせよう。



「にしても希光子の叔母が校長なんて想定外だったわ。」

「だな。俺としても治癒の勇者がここに通っていたのは驚きだ。となると3年生か同級生だろうし」

 面談用の部屋に案内してもらっている間にさきほどの事を話す。

「えぇ、しかも今データベースを探ったらかなり目立たないような生徒だったわ。成績も運動能力もかなり高めでけれども隠密能力は峻が勇者全員を鍛えているから並の人間では気づかないし貴方が帰還前に配った擬装用の腕輪を常時装備しているらしいわ。」

「念入りだな。巧は自分で明かしてきたとはいえあの時は会わなかったし」

「そうね。にしても貴方何も不思議に思わないの?」

「何が?」

 急に何を言い出すんださくらは?

「私が貴方に接触してきた理由」

「さぁ気になると言えば気に成るけど・・・・そもそもテンスの神子に何らかの思惑があっても基本的にはあまり干渉しないしな。命が掛かっていない状況でのびのび誰かとゲームするのも良いかな~とは思っているけど」

「そう割と気楽なのね。」

 俺の返しに意外そうな返事を返すさくら。

「そう気にするつもりはないが何故だ?」

「・・・いえ何も。強いて言えばお願いがあるのよ。」

「お願い?なんのだよ?」

 わりと意外過ぎるその言葉に思わず聞き返してしまう。

「九月に体育祭があるのは知っているよね?」

「あぁ美波と愛子に雫を視ているからな」

「保護者役と言う訳ね。で今年何が起きるか分からないけど確実に何かが起こる夢をみたのよ。」

「おいおいおいそれ何かどころの話じゃないだろ陸自に情報は?」

 幾らなんでもさくらの夢がそんな物騒なことを呼び起こしたりはしないはずだが過去に例がある以上最悪の幅として考える必要がある。

「流せる訳ないじゃない。特務艦の方には回したけど」

「了解した。眼は回しておく」

「頼んだわよ。アクティブな眼を持っている人間は少ないのだから」

「あぁ。そう言う事にしておく」

 俺の眼を地球そのものへと投射する。が現段階では何も変化は知覚できない。となるともう少し観測が必要かな?


 一通り懇談を終え美波の成績は一定以上をキープできており将来もわりと安定した未来を送れそうだと理解できた。また愛子の婚姻関係を問題視されたが少なくともそれが公に成るまではそのような事はしないと言ったら何故かOKだった。

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