解説!
『おいおいおい。マジかよ。』
『・・・・何ですかこの豹片具合。』
確かに俺は美波に細剣術を教えたけど・・・。これバーサークでは無いよな。俺コイツの義兄なんだけど将来がとても心配である。突撃癖も直って無いみたいだし。にしてもあの細剣は聖剣仕様である。そして混沌の聖女の称号が聖者系列の最上位勇者と同様の効果を生みだす。はずだがアイツそれを使っていないだよな。
『細剣をあのレベルで使いこなす様になれるのはどの位掛りますかね?』
『・・・。俺の場合は最低でも1週間はかかると思うけどミィーナは杖を主体としているので杖に仕込んだ細剣を扱いやすいのだと思うが・・・。』
あそこまで嵌まるとは俺も思わなかったし。というか寧ろ俺の才能を凌駕しつつあるので怖い。俺の万物では対象不能な一極特化型の典型的なルールブレイカ―。それが型にはまりとてつもない原動力となって全てを飲み込んでいく。
そう試合を見ているとミィーナは試合中にも成長を重ねていく。そのスピードは俺の万物の名を得た頃よりも早く取り込んでいく。
そうか。今の美波の体を構成するDNAは彼女本来のモノでは無い。俺の人外の再生能力を否・・・俺の能力の数%を体に取り込んでいる。それがもし彼女が無意識のうちに使っていたら?
治の聖女・万物の勇者・相対の魔王・精霊王など一般人・・・心理の冥婦を持つ美波を一般人と呼べるかどうかは不明だがその聖者系列のスキルと魔王と言う殺戮者のスキル。その混沌を及ぼすスキルの矛盾を混沌が喰らう。それが・・・。
『多分だけど成長速度で言えばミィーナは世界でも両手に収まるレベルだと思う。』
これは俺の異次元の知覚能力と非公式に打ち上げた人工衛星を使って判別していてもそのレベルだ。そしてその成長する余白は誰よりも大きい。俺の血による後付け才能はゲームで言う素材自体が追加効果持ちの希少なモノ。それが遺伝子単位にあるため追加効果がまだ付けてない状態だが俺のミミアの才能をノーリスクで使える。
『・・・そこまでですか?』
『多分だがな。俺はミィーナに頼まれて過去のデータを読み取って計測してみたんだよ。プロゲーマーのほぼ全員の成長速度を比較して見たけど・・・。』
『如何だったんですか?』
『怖すぎるわ、の一言だな。少なくとも虚空戦争時にこのレベルのミィーナがいたら色々と楽だっただろうな。』
これは偽らざる本音。少なくとも彼女がいたらあの事件の死者は100人は減っていたはず。俺やさくらでも出来ないことはある。寧ろ勇者としての活動の所為でいろいろと失った部分の方が大きい。そこを埋められたとしたらミィーナくらいだろう。あぁ見えて人の心の機微に詳しい美波が居てくれれば楽だっただろうが。
『・・・・えっ・・。精剣士として名を馳せていたリョーさんでも?』
『俺が出来たのは自作の装備で相手を薙ぎ倒すことしか脳がない殺戮マシーンだったし。チェルンとコンビを組んでいたのもチェルンが俺の心の荒み方を心配してくれてからだし。』
『へぇ~意外ですね。精神面は異常に高そうですけど?』
『経験が色々とね。それに虚空戦争は内部で殺し合いを強制させるイベントやクエストも幾つもあった。その度に俺らプレイヤーは苦悩を強いられてきた。』
そうその地獄のようなシステムは俺やチェルンのように命を殺めることになれた存在以外は完全に阿鼻叫喚だった。いや俺でさえも苦しかった。全てを救おうとする勇者としての矜持を破られ何度も何度も心を折れデタラメな継ぎ接ぎで繋ぎ止めまた壊す。それを無限のように繰り返す日々だった。
まるでGMは何か全てを知っていた。そして
『って・・・。』
『おいおいおい。ミィーナさん!?』
まるでアレは・・・。
『『アイアン・メイデン!!』』
そう処刑具のアイアンメイデン。それを模したかのようにぐるぐると魔術で封印されたSHPSのメンバーが串刺しにされており・・・。
『勝負ありですね。』
『ありだな。勝者・・・・恋歌の魔道騎士』




