始動 新生の恋歌の魔道騎士
ミィーナ視点です。
いつもの定石どうりにアイが前に出る。そこで回避盾と盾を食い止めて二人を同時に対処する。そつがない、いつもの動きに関心しつつも私は杖を取り出す。
「頼むよ、ティア」
「うん。―――アクアバレット」
ティアの並列詠唱により十数発の水の弾丸が生成される。
「一斉掃射」
一気に掃射される水の弾丸が全員の目を潰す。
「―――シャイニング」
空の目スキルによる複数の同時ターゲットにより再び目を潰しその隙に私は兄さんから教わった、細剣の技・・・・スターピアライズを放つ。それにより相手のヒーラーが倒れる。そして私は細剣を仕舞いながら詠唱をし
「―――ブレイブエンハンス」
STR・VIT・AGIを一回で高める支援魔法をアイに使用して同時に回復させる。更に
「―――エンチャント STR INT AGI」
兄さん直伝の付与魔法。それがアイの体を包み込む。それは赤・青・黄と三色の光を放つ。それらは普段見る付与魔法と一線を越えている光りを放っておりアイの動きに合わせて舞う姿は同じ女の私でも見惚れるほど美しい。兄さんはこれを視ていたはず。本当にどんな精神力をしているのだろうか。
「―――薙ぎ払い」
アイのそのアーツ使用にSHPSの面々が獲物を見つけた様な眼差しをアイにぶつける。その視線は不躾な物が多くアイの気持ちを知る私としては非常に不本意だ。でもさっきのアイサインなら
「魔弾よ 穿て」
さくら先輩直伝の魔弾。これは魔法ではない魔術でスキルにないから自分で処理する必要があると言われていたけど空間魔法ほど厳しくはないので非常に楽な攻撃手段である。さらに
「魔打」
先輩の前衛火力の秘訣。魔力循環による攻撃が盾を崩す。そしてその間にアイのアーツ硬直時間が抜ける。そして
「桜井流薙刀術 天女崩落」
石突で盾の人を撃ち振り下ろしによって切り裂き上向きに構えた薙刀を突く。3連撃の攻撃が鎧と盾を破壊する。そして込められた魔力が不可視の刃となりて肉体を崩す。
「―――電光石火」
そしてその間に時間を得た回避盾が装備を双剣に変え4連撃のアーツを繰り出す。確か上下左右。右左・下上。なら
私は杖の石突を右斜め上方に構える。偽槍技
「天穿 ―――ライトブレード」
システムには存在しない偽の技と本来の魔法を組み合わせた一打。
「合技 聖天衝」
今の私が持つ最大威力の攻撃。その攻撃が相手の盾役を葬る。ヒーラーを真っ先に倒したので蘇生はない。ならばここで
「ミィーナ下がって。―――ハウリング―――王之盾」
一気に攻めきろうとするとアイがそれを止め威圧系のアーツを使う。回避盾としては珍しく受けのアーツ。それにより敵全員が一瞬留まる。なら
細剣を抜き放ちそこに魔力を莫大に込め練り固める。それにより刀身が強化され強度が増す。
「ペネレイトシューター」
両足を揃えてバネを最大限に縮めて一気に放つ。瞬間的加速に用いられるこの突進技により限界速度を超える。空の目の効果により体がゾーンに入る。迫りくる二本の剣をぎりぎりのタイミングで何とかかわして突いて離脱する。そして杖で打撃。
「――――――セイクリッド・エクスプロージョン」
そして完成するティアの魔法。でも
「―――斬魔剣」
「「「!!」」」
それはこの世界において数少ないいや兄さんのような例外を除くと唯一魔法を斬る事が出来るスキル。その独特な毒々しいエフェクトに包まれた剣が爆発を切り裂きそのままティアの方へと突貫する。そしてその移動中に新たな光りを起こす。アレは・・・・。
「神速の魔弾よ」
「―――エッジグワァ!?」
私の後方から高速の魔弾が駆ける。それはAICBM《アンチ大陸間弾道ミサイル》という戦略級の魔法。それが双剣使いに刺さり吹き飛ばすがその途中で剣を7回振り体勢を立て直す。そしてそのままティアに向かう。不味い。今のスキル構成では回復魔法は私は使えない。でも今の私には今までの私には無かったプレイヤースキルがある。
「―――アクセラレーション ―――ソニックピアス」
自己加速のアーツと剣系上位スキル細剣の上位突撃アーツにより雷速で肉薄する。更にそこに空の目のゾーン効果により視界が遅く感じる。細剣の弱点である強度面は剣を滑らせ突く事も斬る事もせずに双剣を流す。そして細剣を乱れ突きにする。ところが双剣がハサミギロチンのように私に迫る。駄目だ、間に合いそうに無い。そう思った時だった。思考がクリアされて行く。まるで体が軽くなったように。スキルのアシストでも現実でのステータスでも無い未知の・・・・異世界の技術。
そうかあのネックレス。兄さんの小物・・・とりわけ金属や宝石は全て錬成で形成されている。そして兄さんの卓越した魔法制御力はここにも影響しており非常に小さな細工も強度を落とさずに仕上げられる。そこに何らかの効果があるとすれば?
「超えれる!」
全ての楔を




