解析
時を同じくして
『勝負あり勝者チェルン。』
『勝者クロノ』
テンスの神子は勝ち上がる。圧倒的な暴虐で。
『にしても一回戦でもこの差ですか・・・。』
『・・・だな。少なくとも今までは見れなかった』
そうリョーの出現と共に枷が外れたテンスの神子がそれを感じさせずに今此処で解き放ったことにより全てが大幅に狂い始めていた。それは何もゲーム内だけでは無い。
恋歌の魔道騎士控室
「ねえ美波亮哉さんのあの動き何?」
「確かに今それでツールの使用が疑われて運営が確認しているらしいけど・・・。」
流石に二人は誤魔化せないはず。にしても兄さんがソレを使うと言う事はソレに称賛するかそれとも速攻で片付けたいか多分後者な気がする。それならオリジナルの方が早いと中流以下は考えがちだが上位層には適応力があるからオリジナルは切り札的存在。今回は知り合いが少なくとも二人もいるらしいから帰還後に製作した物さえも隠しておくはずだ。なら結論は一つ。さくら先輩は兄さんのそれを知っているはず。だから隠す必要もない。私の考えが正しければだが。
「・・・リアルスキルと思う。そしてソレを一番理解しているのは私では無くて愛子のはず。」
そうアレは勘が重要だし何より一定以上の距離を取る必要があるガンシューティングでは使えないと盗みかけた時に忠告されたしソレのデメリットも聞いた。ただしお前なら大丈夫だとも言われた。
「えっ・・・?」
「私!?」
「PVMでは使えない。ガンシューティングでもTCGでも使えない。対人戦だからこそいや人殺し特化の近接戦闘だからこそ使える仮想空間ではほぼ不可能。現実の対戦技術。それを見を持って体験したのは愛子と数人だけ。」
「ひょっとして毎朝の?」
ちょっと気に成るセリフが飛んで来たけどそれは雫のだったから間違いは起きていないはず。でも雫も見ていたのか・・・私は朝弱いし仕方ないか。
「一回だけ手も足も出ずに徹底的に先読みの様に刃が有効部位に当たり続けていたのがあるけど。」
「ソレよ。兄さんは自分の目に反射する相手の目から相手の行動を割り出すことで自身の経験上から最適な行動を割り出し模倣しているだけ。」
というか一度見せて貰った同時片手剣撃ヴァーパルストライクとソニックリープからのスターバーストストリームにヴァーチカルスクエアとかその他もろもろで100連続コンボを見た時は心底驚いたものだ。にしてもあれ世界の種子があるから出来た事じゃなかったけ?まあ兄さんに普通の道理が聞かないのは確かだし。
「えっ!それって・・・。」
「うん。TCG系では軒並みに反則級だけどそれは体質だし見せない様に隠していないと言ってしまえばそれは反則では無い。記憶してしまえば全くもって同じ動きをするNPCは駆逐される。見えてから対処じゃステータスを引き出せていない私たちとステータスをフルで引き出せるリョーにチェルンには敵わない。多分クロノも同じ。力が引き出せる人間とそうでない人間。勝負は最初からいや多分そこに辿り着いてからが試練なのだと思う」
「えっ・・・・。なら美波は見えてるの?」
「いやでも兄さんはこの前こう零していた。」
多分、恋歌の魔道騎士は壁を越えた。後はひたすらに思考錯誤して自分を鍛えるべきだ。その先に俺たちと同じ舞台に立てるはずだ。全員が全員何らかの異能や適性を持っているから。
その先の世界まで来い
「「!!」」
「ようするに如何も私たちはその世界に手を掛けているみたいです。」
「不正はなし。と言うか何だよ最後のは・・・。システムのバグすらを利用して魔力を打ち出すとか・・・しかもAIはオリジナルとして認識した。」
「でも彼は始めて一カ月もたっていない。」
「いや・・・・多分これが答えのはず。」
「この動画・・・えっ?」
「そうです。コレは致命的な欠点がありますからそれにプレイヤースキルですし本人協力の元で実験した所教えてくれました。」
『フリオ戦のあれは相手による。そして此処から先は全くもって出来ない。寧ろ使えない事が分かっていたからあれを使った。それに俺の捌きはもともと大剣を基にしているから棒術と刀術を組み合わせたらパリングは余裕。』
「だそうです。ちなみに時速600kmを切り落としていましたのでAAなみでも勝てないかと。」
「・・・これただの人外だろ。自由騎士と恋歌の魔道騎士が一緒にいる時点で察するべきだったかもな。」