翌朝と棒術
チェルン救出後20層に存在した移動用ポータルを登録して町に帰還。そしてチェルンと魔法演算処理領域を共有し幻惑魔法を全体に使い追跡されることなく宿に戻りログアウト。その後直に寝た。
翌朝。
「どうした?美波こんな早くから起きて?」
時刻は朝5時前。農作業があり早く起きる俺は別だがどう考えても起きる時間が早い。今日は槍でも振るのだろうか?
「・・・兄さんお願いがあります。」
「お願い?如何した急に改まって?」
というか七面倒な案件しか無いような気がするのは俺の気の所為か。
「棒術もしくは杖術を教えてください。」
「・・・えっ?」
「棒術もしくは杖術を教えてください。と言いましたが。」
「・・・わかったが何でだ?別に恋歌の魔道騎士は愛子の回避盾で前衛は成り立っているだろ。お前がヒーラーになれば1・1・1で砲撃戦展開も出来なくもないぞ?」
この砲撃戦は前衛を一番前に置き真中に砲撃主恋歌の魔道騎士で言うとティアこと雫。前衛はアイこと愛子で一番後ろにヒーラーであり使令塔のミィーナこと美波。わりと3人で構成されるパーティーは強い。テンス時のように全員が尖り過ぎている必要があるが対人能力は美波は潜在能力で言えば俺すらも超える。空間作用系の魔法適性による空間認知能力。俺とのTCGや格闘ゲームによる先読みに視線から相手の行動を読み取ったりとわりと高度な能力を示している。さらに恋歌の魔道騎士のリーダーであり司令塔という立場は美波の言葉を通しやすくするのだ。多分それが今の彼女らが一番成長し易い方法だ。
「確かにそれも捨てがたいですけど今度あるゲーム100‘で私たちはマジカルソードメイダーというVRゲームで行われる全プレイヤー最強を決めるトーナメントがあるのでそこで切り札として欲しいなと。あっそれと私たちのクライアントからマジカルソードに出場するように亮哉さん宛にVRギアと接続料のチケットが送られています。」
「・・・どう言う事?」
「ようはマジカルソードの大会に出ろ。そして結果次第では契約を考えない事も無い。だと。ちなみに一緒に送られてきた私のメールには篭絡してでも出場するように仕向けろと。」
「・・・やるか。てか何で?」
「う~ん、ぶっ飛んだプレイヤースキルに容姿。」
「現在ハレームパーティーだが。」
「気にしないじゃないかな。だって私たちだし。」
なるほど。用は腕を計っているだけか。ん?でも
「さくらは如何なんだ?」
そう言えばアイツなんで俺に構うんだ?コミュ力高いんだしスタイルも良いから・・・それが理由か。でも別の方工面を知っていると疑わずには居られないが。
「会長?会長は賞金稼ぎの方のプロだからうちは飲まないと思うよ。」
「まぁ異世界勇者時の報酬がそれなりに月々払われているしな。昨日の感じ迷宮のコア持っているみたいだしな。困っていないんだろうよ。」
「ねぇAWOでコア見つけたら如何するつもりなの?」
美波が目をキラキラ輝やかせ聞いてきた。廃ゲーマーだし仕方ないか。
「支配だけはするかな。というか神授の迷宮を制覇か愚者の墳墓の裏ボス討伐かが条件だし。今の所ゲームバランスを崩すわけにもいかんだろ。」
「既にあることは否定しないんだね。」
「作為的なナニかを感じるからな。錆びたブロンズ系と錆びたアイアン系が大量にドロップしていたし木材もトレント系が手に入ったしな。でもそのマジカルソードをやるとなるとしばらくはAWOにログインできないよな。」
聖器はまだ遠く及ばないが魔製と神造にとそれなりの効果を武器その物につける事が可能だ。作るのは面倒なので身内や信頼できる人にオーダーメイドだな。その内知られるかもしれないがその前に生産職として有名になっていれば関係は無い。
「・・・・実はもう既に私たちですらカンストしているんですけど。」
「・・・勇者スキルはパーティーメンバーにも影響を2倍ではあるが及ぼす。魔王は1・5迷宮主は1.2倍で3.6倍か。多分それが適用されたはず。ん?」
ログを確認していると恋歌の魔道騎士3人にありえない変化が起こっている。
「どうかしましたか?」
「いや何も。今日何か変な感じしなかったか?」
「・・・体が快調過ぎる。」
「・・・・そうか。っと、失礼電話。」
食卓に置いていたスマホが着信音を鳴らす。この曲ということは
『もしもし亮哉君』
やっぱり。
「お早う御座います義父様。」
桜井智和。桜井愛子の実父である。




