魔王決戦の夢
「ブレイク」
俺が唱えた呪文によりどんな攻撃でも開かなかった扉が構造を破壊され霧散する。
その先に待ち構えていたのは魔王。俺たちがこの世界・グルカルトに召喚される原因となった存在である。
「よくぞここまで辿り着いた、異世界の勇者らよ!だが人類の望みも此処で潰える事なろう。我をそう簡単に倒せると思うな。」
そう魔王が言い放つと王座から立ち上がり5本の剣を浮かせ長杖を構える。
「お前を倒せば俺たちは地球に帰れるんだ!世界征服の野望はここで俺たちが止める。いくよ、皆!」
「おう!」
全員で掛け声を合わせそれぞれの得物を手に握る。
「先手必勝 光矢の雨」
「ふん、小賢しい。 光食いの盾」
魔術の勇者 霧宮さくらが無詠唱で唱えた光の矢の雨は後出しの魔王の光食いの盾に阻まれる。その盾の効果が終了した瞬間剣の勇者 浜崎一也が動く。
「来い!グラクス 星斬」
神剣グラクスと聖魔剣ダヴルセブンスによる17連激が放たれる。それが終わり次第彼はバックステップでその場を退避する。
「さっきの威勢は如何した?勇者よ。」
「頼むぞ、亮哉!」
「あぁ、任された。来いゴーレムズ」
俺はダンジョンマスターとして魔物を生みだす能力で大量のゴーレムを召喚しある目的の為に動いて貰う。更にその合間を縫い聖短矢をダーツの要領で投げる。
「錬成」
精霊王として生み出せる特殊金属の糸を束ねワイヤーにする。
「鉱糸連斬」
魔力と聖気それに神力を込め縦横無尽に魔王城最上階に存在する王座の間を駆け回る。
が
「それがどうした?血界」
「チャンス!錬成 錬金 エレメントエンチャント 聖 金属加工足甲」
魔王が自らの血で自分の周囲を覆うが俺はその鉄分を錬成で収束させ錬金で上質化それから魔族側に大ダメージを与える事が出来る属性をエレメンタルエンチャントで施し常時ダメージを与える。
「多重発動 多重弾幕」
「神雷が駆ける道」
俺の全属性による弾幕をカモフラージュとしてさくらの放った悪を滅する神の雷が金属糸を伝わり駆け抜け魔王に直撃する。
「スイッチ」
そう叫びながら一也と神刀 斬金剛 と妖刀 曙暁と言う二刀流スタイルで魔王を攻め立てる伊賀崎峻。
「ぐっ。頃合いだな。変転」
急所攻撃をモノともせず術者に対する属性効果が全て反転する伝説の魔法。しかしそれこそが
「ミステックアイアンは宵鉄に変換か?紫電槍」
紫の雷が超光速で魔王に突き刺さる。
「一也! エンチャント 筋力 耐久 知力 精神 器用」
「成程!宵鉄の効果を知っておるか。だがダークへヴン」
「おおっとさせるか!大罪七閃」
7つの大罪を模す最高峰の剣技が一也の手によって放たれ魔王の魔法を斬り落とす。
「エレメントエンチャント ウェポン コネクト 知力 精神」
エンチャントで一也のステータス値を底上げし魔王が放つ魔法の構造を見て更に聖属性をエレメンタルエンチャントで与え俺の持つ知力と精神を上乗せする。
「カースド ALL ゾーンエレメンタルエンチャント アーマー」
「読んでたぞ、万物。変転」
俺が魔王にデバフを放つとほくそ笑むかの如く変転を唱える。
「―――――リザレクション リヴイブ リコール リバイバル」
俺はそれに対応し聖属性や光属性の高位回復魔法を矢継ぎ早に唱える。
「「スイッチ」」
「OK。風よ導け ウィンドライフリング」
神弓を持つ春弓と神双銃を持つ巧が遊撃として今度は攻めに出る。俺はそれを狙撃加速効果を持つ風魔法で支援する。
「全員、総火力で叩き込め。」
「コロナ」
「マギ・マテリアル・バースト」
「神斬夢閃」
「それが如何した?変転」
一也の言葉に皆が最大火力を出すもたった一言魔王のみに許された変転で覆されるのを見て仲間は絶望に近い表情を浮かべる。が
「錬成。変転の絶対的条件は王座の間を中心とする魔法陣内のみで有効活用されるが」
「それを亮哉の錬成とゴーレムが撒いた魔封の粉に」
「アサシネイト 神喰らいの神短剣は殺した相手の魂を糧とすることで成長する。」
俺のセリフを一也に言わせ気を引かせたところで短剣を心臓に刺す。
「今はその辛うじてもっているだけだ。例えるなら・・・お前はもう死んでいる」
某有名なセリフを言い放ち一也の神剣が止めを刺した。
「ハァ、またと言うよりも久し振りだなこの夢見るのも。」
あの夢・・・過去に俺片倉亮哉が10歳の頃テンスの神隠しと報道され、その実態は異世界グルカルトで行われた勇書召喚による旅の一部で魔王決戦の時の思い出だ。
まぁあの場には俺と一也が途中で抜けているはずだがどうも世界を欺いた時に創り出した幻影の視点だな。一回で倒し切れる事は無いと思っていたが魔法陣の解析がすんなり終了したからだ。というかミスティクアイアンをスぺナッツナイフにして飛ばしたら良いんじゃないか?と一也に還る前に言われてショックだった事も思いだした。何だか鬱だな。