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殺しの札

「なぁさくら。」

「何かしら?」

 いつもの声に怒気が宿っているのが感じ取れるほどの声色。それは彼が憤怒に燃えているのが感じ取れる。それほどの付き合いである霧宮さくらは彼・・・片倉亮哉が本気で怒っているのを知識として認識した。

「幾ら桜井家であっても愛子は巻き込むな。美波のように完全に理解した訳でも無いよその家の娘を見れる年齢じゃないのは知っているはずだ。」

「貴方もツッコミが微妙にずれているのね。」

「聖巫女継承者と俺は似てるしな成り立ちが。」

「・・・・」

「・・・はぁ。」

「?」

 美波とさくらが俺と愛子に交互に視線を向けた後に溜息を洩らす。

「・・・天然」

「いい加減直しなさいこの鈍感」

「はっ?何で責められているんだろうか・・・。」

 何と言うか懐かしいな。

「デジャブ感しかないけど全くもって変わっていないのが亮哉らしいわね。」

「酷い言われようだ。というか愛子は大丈夫か?」

「は、はい。大丈夫です。」

 と顔が紅い愛子に話を振ると語尾がだんだんと弱りつつも返事を返してくれたが威勢が無い。

「演技じゃ無いわよね美波?」

「はい。素ですね。」

 と何やら美波とさくらは小声で密談している。その内容は分からないが俺を見たので大体の内容は理解できる。


「さくら?」

「何?急に?」

 ぶっきらぼうな口調の亮哉に何も言わず返事を返すさくら。

「キッチン借りるぞ。」

「わかったわ。」

と短い言葉でやり取りをし席を立つ。


「ねぇ美波あの二人何か老夫婦みたいじゃない?」

「そうだね。あれで婚約者が何人かいるらしいけどね。」

 はぁ全くもってあの鈍感兄貴は~とぼやく美波。

「へぇ~。」

「愛子は如何したいの?妹として気に成るんですが?」

 と大魔王様もビックリな先制原子爆弾を落としてきた。

「!」

「あはは~照れて可愛い。」

「もう!・・・にしても亮哉さんか~」

「ふふっ」

「何笑ってんだ美波?・・・愛子は飲み物何が良い?」

 美波が愛子をからかっていると急に亮哉が二人に話しかける。

「「!」」

「?」


「如何かしたの?」

 生徒会室でお湯を沸かし食器棚に備え付けられていた最高級の茶葉を王室で教えられた通りに淹れる。

 何だかんだで家事能力も万物に適性化され一流執事程度の能力がある所為かほんの僅かな匙加減が絶妙になってたりもする。

「いや何も。さくらはミルクティー美波はストレートティーで良いよな?」

「うん。」

「えぇ。にしてもよく覚えていたわね。」

「体が覚えているんだろうよ。で何時になったら本題に入るんだ?」

 給仕の真似事をしながら今日ここに来る原因となった存在をジト目で見詰める。

「それね。一応は説明していたわ。」

「それは概念いや神殺しについてもか?」

 さくらの反応を見るに多分精神破滅のみだろう。

 黒塗りの短剣を宙に浮かす。

「この短剣・・・神殺短剣と呼んでいる短剣だが地球において災禍と呼ばれている存在を殺すことでその能力を持ち主である俺に継承させるという効果がある。そしてだが中学の頃の宗戦で愛子が攫われそうになった時、俺たち自衛隊特殊任務分室特務艦異界管理官は聖巫女候補第一筆頭であったのでそれを裏の札として表向きには俺が管理する迷宮・・・星之調べに対しての不法侵入だった為俺が愛子救出で他が陽動を担当し反乱を圧殺した。その際に災禍の分家の一つ紛いによる精神汚染を受けた疑いがあったがそれを祓うのに愛子の魔力周期やマナリズムを視たんだ。

余所のルーツを知る事は原則としては違反だ。だがそこで桜井家と交渉した。」

「えっ!」

「お父様と!」

「何してんの?」

 美波は呆れ顔だが他の二人はとても驚いている。

 まぁ当たり前か。半ば世捨て人同士が何か密談をしていたなんてどこの裏にも回っていない。

「忘れたか?自衛隊はあくまでフェイクタブ。そして向こうは経営から手を引いたとはいえ桜井家の大黒柱。そんな二人が何の不自然なく接触なんて簡単だぞ。」

「「?」」

「えっ!でも何時ですか?」

「恋歌の魔道騎士の護衛兼マネージャーだぞ。」

「「「あっ!」」」

「何で護衛対象が忘れているんだ?」

 驚きの声を上げる3人対して苦言しかできない俺であった。


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