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アカシア

 アレから2日でなんとか納得のいくものが完成したのでお城の調理場まで行く。そこには隻眼のコックがいる。

「よう坊主。完成したのか?」

「あっベートさん。一応完成しました」

 インベントリからチョコレートケーキや板チョコなどを取り出す。

「確か一昨日まで行き詰まってたんじゃあ?」

「いや物凄く単純な事忘れてました」

 今思えばもの凄く馬鹿だ。

「錬金がある事すっかり忘れてました」

「お前またそんな事…」

 呆れられたか。まあ砂糖の時も最初はそうしていたしな。さて本命。

「こっちは差し入れです。あと手に入りましたか?」

「おう。弾けコーンにジャガイモや甘藷にソイとやらだろ?そこの箱に纏めてあるぞ」

 と部屋の片隅にあるダンボール箱の塊を指す。おお、わりと多くあるな。

「こんなに良いのか?」

「そりゃあこっちのセリフだ。ケーキやクッキー以外にも色々あるな」

「そっから先はプロに任せる。さてコッチもコッチで始めますか」

 既に必要な物は全て揃えているし。

「調理場借りるぞ?」

「おう」

 さて地球の産物を量産していきますか。




 そして来る2/14。

『誕生日おめでとうミミア!』

 一斉に引かれれて莫大な音を鳴らすクラッカー。コレはクリスマスの際に生産しており今では貴族のトレンドになっている。

「ありがとう皆」

 本日の主役となるミミアが部屋に入ると次々とお祝いの言葉がかかる。

 お転婆だが腰に届くほどの長い銀髪を靡かせてその美しい紫の双眸は輝きに満ち溢れている。可愛いよりも綺麗が似合う大人の顔へと変化している彼女はとても美しく感じた。性格は元気あふれるタイプだが母に似てふんわりとしながらも出来るオンナに見えてしまう。


「さて主役も来たことだし料理長、食事を」

 国王のその一言でコックが入ってきて料理を並べて始める。ハンバーグやパスタにフライドポテトやコロッケなどなど。むろんこの国独自のものあるが皆その料理に目を奪われている。またサイダーなどの炭酸系ドリンクも運ばれてくる。

「料理長コレは?」

「6割、亮哉のお手製だぜ。味も保障する」

 とベートから視線を感じる。いや全員か。

「俺たちが居た世界で人気のある料理だ。コレら以外にも色々と用意している」

 さっさと音頭を取れと目配せをすると国王は肯き

「では乾杯」

『乾杯』




 1時間後。用意していた料理は食べ尽くされた。そして4月の国王の誕生日に和食を用意する事になった。で

「なんじゃあこりゃあ!!」

 との雄叫びが聞こえるが無視。まあチョコレートケーキや抹茶ケーキなど多種多様なケーキが並んでいるわけだし。

「亮哉、お前」

「アスナさんの依頼だ。まあおかげで来週からお菓子屋がオープンするんだと」

 となるとに居た一也がそう聞いてくる。まあ気付かれるか。

 売り上げの2割が俺に入りその半分は活動費に充てるようにしている。まあ良いんだよ。

「亮哉、ありがとね」

「どういたしまして。ソレとコレ」

 ラッピングをした箱をインベントリから取り出し渡す。わざわざ礼を言いにミミアが来たのでプレゼントも渡そう。

「誕生日プレゼント。中は花形のアクセサリーとか」

「俺のは本の栞や髪留めだ」

 そっと近づき一つ髪に留める。

 アカシアの花の意匠を施したミスルリ製の魔道具だ。

「色々とありがとう」

 そう彼女がハニカム。

 俺はぎこちない笑みを浮かべてケーキをコックから受け取り席に戻る。



 花言葉は秘めたる想い


 アスナさんに言われて始めって知ったその花の髪留め。


 ああ、俺は本当に彼女に好意を抱いていると自覚した。


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