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この作品には 〔ボーイズラブ要素〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

恋のストラップ

作者: 奥野鷹弘

俺は、アイツに告白をした。アイツは、「愛せるどうかわからないけど」と濁しながらも関係を結んでくれた。それにしても…

「やだ、なにあれ?」


俺は男なんだが、男と手を繋いで歩いていた。繋いでいる手の先のアイツは、周りの視線を媚びずに堂々と町を歩いている。

俺はまだそんな事にも馴れてないから年下のアイツの手を強く握りしめた。


いつからだっただろうか…お互いをお互いに意識せずにいられるようになったのは。アイツの真っ直ぐさに惹かれたのだろうか。いや、アイツの手の平で負けたのかも知れない。



だげど「僕はですねっ!」と、年下にも関わらずに自分の意見をズバズバ喋り通したり、こっちが正しいことを話そうとすると不機嫌そうな顔をして最悪な顔をする。酷い時なんて「もういい!」と、怒鳴り散かし、テコでも動かないめんどくさい奴になってしまう。

それでも俺はアイツのことが好きだしほっとけないから、告白をした。


「好きでいてくれるのは構わないよ。でも愛せるかわからないよ」だなんて返事をされたが、お付き合いさせてもらっている。



今回のデートなんだが、俺は気遣って遊びに連れて来たのに全く楽しそうにしてくれない事だ。


『手を繋ぐんでしょ?』的な表情で右手を差し出してきたわけだが、そんなんであれば家に帰ってお酒を呑んだ方がマシに思えてくる。

アイツはいっつもそうだ。周りからチヤホヤされて、自分がやるべき事に手を付けないで『時間が無いんです〜』『理解してくれないんです〜』て、チワワみないな顔をして文句を垂れてくる。俺からしてみればアイツは何でも出来て羨ましい人間で、自分がしたくてやっていることだから『時間がない』は、うるさく聞こえる。



「ん…?何が、うるさいって?」

アイツはそっぽを向きながら、俺をやじってきた。

「てか、何もしゃべってないし。」

俺はアイツの耳を地獄耳だと思っている。聴かなくて良いことを聴いて、聞いて欲しいことを聴かないでいる。それが腹立たしい。



ふと視線をアイツに目線をやるが、また行方不明。見つけたと思えば、「どうして、すぐ来ないの」と顔に出される。



俺は、俺の計画があって動きたいんだ。なにもかもアイツのせいで俺の予定を壊されてる!そう思った。




あれから数日後、アイツはこの前一緒に行った場所について色んな人に話をしている。無理矢理おねだりされた、手の平サイズに収まってしまう、高いストラップも携帯に付けて自慢をしている。


俺とはそんな会話なんてしないくせに、なんて生意気な奴なんだ。


今まで人付き合いした事無いから、話を心身に乗ってくれて信用していたが…踊らされている気分だ。



アイツに気持ちを吐き出すべきでは無かった!


まだ、言い寄ってくるオカマの方が可愛げがあって良い。



そう思って俺は、何度も握り締め返していたオカマの連絡先のメモ切れ端を取り出した。文字がもう汗とシミでボケているが、この怒りと哀しみで記憶されてる番号は太陽だった。



俺はそっと携帯を取り出し、世間の目から救ってくれなかったアイツから想いを、自分の手で握り締め作り携帯に込めた。お揃いで買ったストラップは凛として真っ直ぐ伸びた。

鳴り出した電話の呼び出しは、いつもより長い気がした…。



自分のセクシュアリティがわかったと思い、怖いながらも告白をした。

アイツのセクシュアリティは解らないが、俺が好きだということで積極的に肉体関係を結んでくれた。俺はしてくれた解放感で胸が一杯で眠りにつく日が多かった。アイツは「…いや、大丈夫だよ?良いから、シャワー行っておいでよ」と薦めていたから問題はない。オカマにメイクの手解きとか服選びとかしてるとか聴いて、憎たらしいけど…一番よく理解してるのは自分だから、大丈夫だと思う。



ただ…アイツについて、いま想うとヤりたいだけ人間なのかな。て想う。アイツの母親から機会があってやり取りさせてもらって、アイツ本人からも聴いたことあるけど…リストカットの痕だったり学生時代の半分は不登校だったり職場の不安定だったりとかあるらしいけど、今はそんなこと無いと思うし、自分をよくアイツは低くするけど甘えたいだけだと思う。




そう考えがまとまった時、呼び出しの音がノイズに代った。


そして俺は迷わずに口切った。



『もしもし?あのさ、』



お揃いのストラップは、俺の声と共に左右に揺れた。

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