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第-1話 一緒にゲームがしたいです

新たな謎が出てきたところで番外編の第-1話マイナスいちわです。

よろしくおねがいしまう。

 ジメジメとした日が続いているこの季節、今日も三日連続の悪天候である。

 校舎の外では薄暗い雲が続いて光が差し込んでくる気配が無い。

 そんな薄暗い廊下を、湿気でうねうねしている髪を振り乱しながら幼馴染である景子が拓斗に向かって小走りでやってきた。


「いやぁ、たっくんも髪がハネまくりだね」

「俺のはただの寝癖だ」

「朝弱いもんねぇ」


 拓斗はいかにもダルそうに答えた。


「で、何の用だ?」

「ちょっとお願いしたいことがあって……」


 幼馴染からの頼み事だった。

 男女の幼馴染にしてはかなり仲のいい方であり冷やかされたりもしているが景子のアホさ加減により全く意識することもなく話すことが出来ているのはある意味幸せなのかもしれないと拓斗は考えていた。


 そう。景子は少しアホなのである。これまでもつまらないお願い事を聞いては周囲に謝ることになってきた。ケーキ粉砕事件とか忍者洗濯事件とか、体育倉庫に閉じ込められるというある意味お約束な跳び箱ドッキリ大作戦などである。


「だが、断る」

「ええ~、聞くだけでも聞いて、断るならそれから断って!」

「よし、話は聞こう。そして断ろう」

「まだ何も聞いてないでしょ!」


 話を聞いて断るには断るのだが拓斗は基本的に景子には甘いので結局押し切られる形で頼みごとを聞いているのが日常だった。毎年夏休みの宿題の手伝いは恒例行事である。


「あのね、ゲームがしたいなと思って」

「ゲーム?やればいいじゃん」

「違うの!たっくんと一緒にやりたいの!」


 拓斗はこれまで聞いてきたお願いの中では簡単な方だなと思った。簡単というよりもゲームには興味がある。話だけでも聞くのはいいのかもしれないと考え、改めて聞いてみることにした。


「分かった。どんなゲームなんだ?」

「えっとね、オープン オオミヤ オンライン ってやつ」

「だせえ」

「ださいとか言わないで、大宮が舞台になってる、なんだっけな、ばーちゃるれあるしーえるえる、だっけ?」

「VRMMOな」

「それそれ」

「リアルな仮想空間で大人数オンラインプレイできるゲームの事、CLLだと飛行機じゃねぇか」

「さすがたっくん詳しいねえ、マニアってやつだね」

「マニアではない。その言い方は止めろ」

「そのオオミヤオンライン一緒にやろうよ」

「でもゲーム機持ってないからな」

「買えばいいじゃん」

「結構高いって聞いたぞ」

「ええーやろうよー!」

「分かった、分かったから頭をぐりぐりするな」


 景子は拓斗の頭を力いっぱい撫でまわす。景子は背が高く、身長差が三十センチもあると自然に撫でているように見えるのがまた拓斗をイラつかせる。


「でも、ゲーム機が無いんじゃしょうがないだろ」

「親に頼んでみてよ、私も買ってもらったんだから」

「めんどいな、いくらなんだ?それ」

「えっと、大卒の初任給くらいって言ってたかな」

「むちゃくちゃ高いじゃねえか」

「とにかく、買って、一緒に遊ぼう!」

「別の人とやってください」

「たっくん先生、あたしはたっくんと、ゲームがしたいです……」


 そう言って景子は膝から崩れ落ちるように座り込み、土下座の二秒前な体勢になった。そんな景子を見て、拓斗は慌てて立たせる。


「ああ、もう、こんなところに座ったら膝が汚れる。それよりなんで昔の漫画の名シーンを再現するんだよ」

「お?さすがたっくん、マニアだね」

「だからそれは止めろって。とにかく、一度親に頼んでみるよ」

「やったー!さすがたっくん!べ、別にたっくんとゲームがしたいんじゃないんだからね。勘違いしないでよね!」


 景子は拓斗にビシッと指を指しながら言った。それを聞いている拓斗はあきれながら、


「何度も言ってるがそのツンデレ言葉の使い方は違うぞ」


 と指摘をした。




 学校が終わりいつも通りの日々を送っていた。

 その夜、拓斗は親にゲーム機を買うことを頼む。次のテストで頑張ればなどと言われるのを覚悟して話してみようと考えていた。

 夕食後、父に向かって声をかけ、交渉が始まった。


「父さん、ゲーム機買ってくれ」

「もう持ってるだろう」

「今無いやつ。Open Oomiya Onlineとかいうゲームがしたいんだ」


 父はいつも以上に厳しい顔をして、珍しく言い切った。


「断る」

「即答だな」

「自分で金貯めて買ってくれ」

「高いだろう、初任給と同じくらいって聞いたんだけど」

「それを知りながら親にねだるのはどうかと思うぞ。とにかく駄目だ」

「そっか……」


 次の日、拓斗は景子にお金が無いからゲームが買えないという話をするとガックリとうなだれた。




 四日後、景子は二つ目のゲーム機を手に持ってニヤついていた。


「たっくん喜んでくれるかなあ?」

カクヨムにて第4話Bを公開しています。

番外編やABパートがあるものは別の内容を載せています。

片方だけでも話としては繋がるように作っていますが、両方読むとより分かる仕組みにしています。

もしお時間ありましたらどうぞ。

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