第8話 セフィラ解禁
心臓への術式移植が終了した。蒼白になった顔、紫色の髪は色が少し抜けて藤色になっていた。魂の抜け殻の様、僕を見かねて術式を施した呪術師たちが、医務室へ僕を運んでくれたそうだ。
僕の母は「黄泉の貴婦人」死術師セラ。父は、「神喰い」召喚師ゼラ。その力をもって、都市を発展させて、戦争から人々を守ってきた。道半ばで、その命を散らせてしまったが、僕は、僕なりに彼らの軌跡をたどってみたくなった。
ジェラールについても、悪政を敷く皇帝とは思えない。何より、この島国のヴェネタノヴァが好きなのだ。親から受け継いだ力、自らの為、そして他者の為に使ってみよう。そう、覚悟を決めた時、僕の深層世界にある「樹」は幹を天空にまで伸ばしていった。
勝利はその後を勘案してこそ、本当の勝利となる≪ネツァク≫
【深緑の血管】勝利者。戦闘、採取による素材や魔石等が、高品質のものになりやすい。また、あらゆる素材へと分離する知識・技術をもつ。【メタトロン】から細かい糸状の魔導糸を発現させて、解体分離を可能とする。ほぼ品質低下を伴わない。
健全なる体は、栄光への近道≪ホド≫
【橙色の肌】到達者。強化や回復等、体を活性化する効果の効力倍増。衰弱や毒等の、体を疲弊させる効果については、抵抗力を高め効力を半減させる。【メタトロン】から橙色の光を放出して、対象の身体的疲弊を和らげ、活性化の手助けをする。
美しさとは、人を左右する。幹の中心に添えられたそれは、人の、そして神の、「美」にたいする強い羨望を感じさせる。しかし、美しさとは容姿だけでは無いというのは、忘れてはならない。惑わす美≪ティファレト≫
【黄金の神経】隠蔽者。自らの力を隠ぺいもしくは、偽造できる。【メタトロン】の中心に金の文様を浮かびあがらせ、正面にいるモノの知覚を惑わす。
「樹」は完成した。全てのセフィラが解放されたのだ。その瞬間、【アポテオーシス】「樹」に大蛇がとぐろを巻いた姿が、神格化した存在となったのだ。蛇は水性、樹は木性。そして樹に寄り着く生物を蛇は捕食する。互いのマナの循環が力を大きくし続ける。
「葉」は、スキルにより茂りを見せるだろう。僕は、まだ転生前の様な魔術は使用できない。神格化したことにより、供物によるHPがたまっていく。そして、それを消費することにより、スキルは充実してくる。
僕自身の供物は、僕らを見てもらう事。循環はあれど、外部からマナを得なければ、成長は無い。
僕が得た魔術の経路は、【錬成術】【魂魄術】【紋章術】の3つ。
【錬成術】は、物質の生成。
【魂魄術】は、精神の定着。
【紋章術】は、役割の明示。
を主な魔術母体としている。例えば【錬成術】で生成した「人形」に、【魂魄術】で「エルフの魂」を定着させて【紋章術】で「魔術師の証」を明示すると、エルフの魔術師ができる。定着母体により、よりエルフに近づける事も可能である。
あるいは、【錬成術】で生成した「剣」に、【魂魄術】で「火精の魂」を定着させて【紋章術】で「聖剣の証」を明示すれば、炎属性の剣ができる。聖剣の証より、回復効果と、自然修繕効果が付与される。
連続的な魔術使用を自ら制限した事により、膨大だが単発での使用から、3つの魔術のほうが、【メタトロン】を出すよりも今は楽だった。
今日は2話投稿。




