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港町・レビノーレ

 帰宅後、僕の部屋に一枚の手紙が置かれていた。中を見てみると、「(ちょく)」の一文字が書かれている。

①レビノーレへの敵軍侵略の阻止

②大陸でのわが軍の活動拠点確保

協力者、漁業組合ボボ以下――

その2つが今回の命令のようだ。数秒後に手紙は粉上になってなくなった。漁業組合のボボ他3名の名前と、夜の潜伏場所を確認して頭に叩き込んでおいた。いずれにせよ、レビノーレでの海運確保を行わなければ、大陸への経路が繋がらない。


 大陸との経路が繋がれば、エアフルトとの共闘関係はより強固になり、隣国の治安が安定する。


 それでは、レビノーレへ向かいますか。

 この命令遂行のためにと、魔導二輪の使用許可と、購入を許されている。僕の指示のもと、各国との道の整備は2年前から行われており、馬車の移行速度と快適性は増加したとの事。同じく、魔導二輪での走行も快適性がアップしており、日本の道路より快適に走らせることができるぐらいだ。なんたって吸水性を高めた道路は、よほどの悪天候以外は、スリップなどを起こす事も無い。


 魔導二輪のシート裏にあるスロットに、魔石をセットする。エイジェロ社が開発したという人工魔石。まあ、エイジェロ社を立ち上げたのは、僕なのだが、皆には内緒だよ。ちなみにジェラールしか知らない。本来の用途は軍事用途なので、その劣化版が世に出回っている。本社の位置等はフェイクで、企業スパイからの攻防はあるも、尻尾を掴ませてはいない。


 起動音はするも[するように改造した]、エンジン音等はとくには無い。走るときに[現代日本からみて]近未来的な音がする。

 

 ちなみに3秒で時速100キロまで加速させる事ができる。時速200キロで約30分ほどでレビノーレに到着する。正門までゆっくり走り、正門をでるタイミングで、シーラの馬車とすれ違う。御者は、料理長だったので、片手を上げてお互い合図しあう。そして、前を向き横目で、シーラがのっているだろう馬車をみる。シーラも目だけでこちらを見ているようで、目は一瞬あってしまった。ただ、仮面をつけているので、こちらの様子が分かったのかは不明である。

 すれ違った時には、思いっきりアクセルを振り絞り、一気に加速していた。シーラとは、大戦中に一度話したきりで、今も事務的な会話しかしていない。マルスが死亡した時に、遺品をグリーム家に届けた際に、会話したきりだ。しかも、僕が仮面をつける前だから、実際には、僕と会話していないようなものだ。


――レビノーレ・入口


 レビノーレは、帝都の北方にあり、港町特有の潮の匂いがする。現在は、最前線として漁業が禁止されているので、非常に閑散としている。ほとんどの町人は、避難してしまい人口は1年前の2割しか人がいない。


 まあ、まず町の構造を調べていくかな。港が北側にあり商業施設が、そのすぐ近くに立ち並んでいる。それから住居施設が軒を連ねている。街はずれには、酒場と女遊びをする男たちの夢の施設がある。いずれも今は、すたれて店のあちらこちらが、痛んでしまっている。


 視察に来た文官扱いの僕は、案内役の兵士に連れられて、町で唯一経営している飲食店へと案内してもらった。魚介類が、近隣の漁村からしか取れなくなったので、メニューは限られている。貝のパスタを選んで、しばらくその兵士と話をした。


 兵士は、見習いからやっと配属されたのが、最前線のこの地であった事は光栄と話しているが、出世街道を歩く人物ではないと、見限られているのは明白だ。まあ、功を立てれば、現場の武官としては出世できるかもしれない。


「わたくしは、良かったであります。文官殿が、オルテガ殿の様に、優しそうな方で」


 緑色の天然パーマ、一見するとやんちゃな男の子の様に見えるが、女性である。プレートアーマーに、槍を装備している。いかにも一般兵然とした姿だ。テオという、その娘は、見た目に似合わず、年齢は16歳という。僕の一つ下だ。10歳前半の男の子にしか見えないぞ。


「わたくしは、この店の貝が好きであります。わたくしの出身は、内陸ですので、山菜しか食べた事がありませんでした。だから、もっといろんな貝が食べられるように、何としてでも漁業解禁まで治安を回復させたいのであります」


 純粋で真っ直ぐ、僕が一度目の転移の時、おいてきたものを彼女は持っているようだった。何となく、放ってはおけない危うさはまだあるが、彼女は直向きに職務をこなしていくだろう。彼女の願いの為にも、防備を固めなくてはならない。


 しばらく、まったりしてから(職務という事でゆっくりしていこうと提案したのは僕だ)、店をでた。その後は、各軍の施設の紹介を受けた。すでに、司令官とは挨拶がすんでおり(あまり歓迎はされていないようだった)、基本的にはフリーなのだ。


 表向きは、会計官として予算が適切に使われているか、監査する立場となっている。監査官が、見たいといったモノや、入りたいといった場所は入れてもらえる。作戦状況もある程度把握しており、2、3日のペースで、敵及び使役している魔獣が襲ってくる様だ。


 数人の索敵担当がおり、索敵の精度は高いのだろう。一般兵が殲滅(せんめつ)にあたり、帝国本部への連絡役のため、早馬が数匹いる。本当に、簡易的な装備しかない。


「これが、最前線なんだろうか」


 いくら予算が無いからと、結構危険な状態だ。絶対的に兵士の数も少ない。【メタトロン】さえ、常時発動できれば、索敵から迎撃までを僕一人で可能にできる。ジェラールからは、「ワンマンアーミー」と言われているほどだ。しかし、現状【メタトロン】の使用は限定的にしか使えな。


 だったら魔術に頼るほかない。魔術の解放を行っていく事により、この難局を打破しなければならない。普段、屋敷にいるときは、神格を発現させていないが、現在は自由にそれを出してもよい。


 ただ、今日はここあたりで終わりにしよう。敵勢力の襲撃は、とりあえずなさそうだ。夜の警戒を指示している司令官の様子を見た後、屋敷に戻る為に、魔導二輪にまたがった。これから数ヶ月は、一人の晩御飯が続くだろう。少し寂しい気もするが仕方がないだろう。


 そして、帰ったのは、11時を回っていただろう。屋敷も夜見ると、ところどころが、光っており、意外に幻想的に見えるな。門前では、主からの夜間外出許可証を提示する。当然、顔見知りだが、一応本人の証明を行う。


「あんたも大変ね」


「そちらこそ、お肌に気を付けるんだよ」


「余計なお世話よっ!」


 片手を上げて合図して、屋敷の中に入る。


「今度後ろに乗せてよねっ!」


「彼女しか乗せない主義なので――」


 何やら舌を出しているようだが、何を言っているのか聞こえない。


 (うまや)の近くの駐車場に止めに行く。


 そして、屋敷に入って行く、入る途中に屋敷の窓から視線を感じたのでそちらを見やると、シーラの部屋だった。しかし、光はともっていても、窓の付近には、誰もいなかった。

タイトル変えました。

HP408

ルート分岐なし

そろそろ、HP消費して魔術強化を行うつもりです。ただ、もうちょっと待って。

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