第四章 実験 1
「サイチ君」
あれ?エリがおる。
「早く買い物いこうよー」
買い物…?今日なんかデートするって言っとったっけ?
「言ってたよー。新しい枕買うんでしょ?」
あぁ、そうか。お前用のマクラ俺のお古やけん、低反発どころか無反発になってもーたもんなぁ。お前が持ってきたマクラは俺が使っとるし。
「もう準備できとるよー。サイチ待ちなんやけど」
うわ、ほんまじゃ。フルメイクやん。目ぇ怖っ。
「怖ないわ!もー、いい加減ベッドから出てよー」
出たいのは山々やねんけどな、モーモーが俺を放してくれんのよ。
「この毛布が悪いんか!毛布め!!今の時期にお前の出番はないっ!いらない子めっ!」
コラコラ。毛布を苛めてはいけませんよ?ホコリが立つでしょうが。それにモーモーはいらない子じゃありません。
大事な大事な俺のモーモーに暴力振るわんといてー。
「へっくしょいっくるぁー」
ほれ、言うたで。モーモーの精一杯の反撃じゃわ。謝れ。モーモーに謝れ。
「モーモーモーモーうっさいわ!あんたがはよ起きんけんいかんのでしょ!」
お前はなんでもかんでも俺のせいか。
「これはあんたのせいじゃ!はよ起きれ!」
はいはい、起きます起きます、動きます。
なんや、ヘンな夢みとったみたいでなー。頭がボーっとするわよ。
「ヘンな夢?」
なんかな、皆で部室におったのに別の国に飛ばされてな。
「サイチ君」
なに?
―それ、夢じゃないよ―
「サイチさん、起きてください!サイチさん!!」
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