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第二章 どこかで 3

ハタ君がロボットから出た光線に撃たれました。

「いやぁぁぁっ!」


 マヤが叫び声をあげる。


「ハターッ!」

「ハタさんっ!」


 ハタの体が地面に叩きつけられると同時くらいに俺とタクは駆け出していた。ハタの体から出た赤黒い液体が、薄茶色の砂を黒く染めていく。


「ハタ!」


 ハタの体を抱き起こす。


「うぅ…」

「良かった、意識はあるみたいっすね!」


 ロボットから発せられた光線は、ハタの肩を少し削っていっただけのようだった。当たった部分の服が焦げている。まさか、さっきのは本当にレーザー光線なのか・・?


「マヤ!お前養護教諭の勉強しとんだろ!ハタの血ぃ止めろ!!」


 致命傷には至らないものの、出血が激しい。このまま放っておけば出血多量でいずれ死んでしまう。

 マヤはまだ泣きじゃくっていて動かない。

 ロボットはさっきの攻撃からまた沈黙に戻っている。しかし、もう攻撃してこないとは限らない。ロボットからできるだけ遠くへ離れなくては。

 それにはまず、ハタを動かせる状態にする必要がある。このまま動かすのは恐らく危険だろう。


「マヤ!ハタはまだ助かる!泣くな!!」

「でもサイチ!私できないよ!!忘れちゃったよ!休学中だもん!!」

「できないであるかだ!やれ!!ほんまに死ぬぞ!!」

「サイチィ・・勝手に殺すなぁ…」

「マヤさん!頼みます!」


 爪を噛み、眉間にしわを寄せ、泣きながらビクビクしているマヤに思わず怒鳴る。

 ハタはこんな状況にも関わらず気の抜けた声をだす。

 痺れを切らしたタクがマヤをむりやり抱えて引きずりながらつれてきた。ハタの出血を目の当たりにし、またもや泣き出すマヤ。


「ハタの血ぃ止めたってくれ、マヤ」

「う…でも…清潔な布がないと傷口からばい菌が入って感染症を引き起こす可能性が…」

「ほんなんどうでもいいわだ!布が必要なんか!?」


 俺は着ていたTシャツを脱いでマヤに渡した。


「清潔な…」

「悪かったな、不潔なTシャツで!」


 ほんの数秒だけ、マヤは俺のTシャツとハタを交互に見た。そしてフゥッと息を吐くと力任せに俺のTシャツを引きちぎり、応急処置を始めた。


「いたたた…痛いわぁ。もっと優しくしてぇだ」

「バカじゃないの!」


 ハタを怒鳴る力も戻ったみたいだ。ひとまずはこれで安心か…。


 ハタの応急手当も数分で終わり、「動かせるよ」とマヤが血まみれの手で汗を拭いながら言ったので、俺とタクでハタを抱えてロボットから離れようとした。

 しかし、それはできなかった。

 威嚇射撃というのだろうか。俺たちがその場所から動こうとしたときに、さっきハタを傷つけたあの橙色の光線が再びロボットから発せられたのだ。空に向かって。


「!」

「何なの!?」

「とりあえず、動かない方がいいみたいっすね…」


 だるまさんが転んだ、とでも言われたかのようにそのまま体勢で止まる。ハタを除いた3人でロボットを見張った。

 橙色の光線以外は沈黙していたロボットだったが、今回は違った。何か円柱状の筒のようなものがロボットの胸の辺りから垂直に降りてきた。誰か、来る。


 思わず、ハタ、マヤを背中に隠す。なぜかタクは自ら俺の背中に隠れてきた。このザ・へたれ君めが。

 筒のようなものは今着地し、次に光の輪が上から静かに降りてきた。そしてその輪が地面に到達すると、一瞬の間の後に筒はスルスルとまたロボットに収納されていった。筒のあった部分には数人の男が確認される。

 先頭の真ん中にいるのが一番上の者なのだろうか。格好が他の男たちとは少し違っていた。その男たちは手に銃のようなものを持ち、銃口をこちらに向けたままゆっくりと近づいてきた。


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