第七章 初任務 8
メガロをなんとか動かしたツネさん。
ワーハウスの外に出ます。外は戦場です。
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「動いてる・・・」
乱暴に無秩序に届いていた振動がいつしか規則的なものになり、前へと移動する感覚が加えられた。ツネさん、本当に動かしているんだ・・・!
「ほんまにやりおったな、あの人・・・」
モリヤも驚いている。それもそうだ。僕らがメガロに触れたのは今日が始めてだ。それも運転士としてではなく、荷物として。
まだメガロの歩みはぎこちないけれど、それでも一歩一歩確実に進んでいる。地面を踏みしめる衝撃でサメオさんが揺さぶられるのをモリヤと必死で抑えた。
『外、出るぞ』
スピーカーからツネさんの声が聞こえた。気を逸らさないためにか、単語2つだけの短いメッセージ。たったこれだけの言葉から、いや、たったこれだけの言葉だったから、彼の持っている緊張感が痛いほど僕らにも伝わってきた。返事は返さず、コクリと息を飲んだ。
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「っくそ!」
細かい方向転換などができなかったため、右側面を入り口に擦るような形で無理やりワーハウスの外に出た。崩れたバランスをなんとか整え、意識を外にむける。目の前の景色に思考が止まった。当然ながら、サメオさんのメガロも動きを止めた。
基地からはすでに幾本もの煙があがっており、時折思い出したかのように炎が噴出されている。障害物のない広々とした砂漠に点々と打ち捨てられているメガロ。ほとんどが俺らの国のものだ。
血だらけで倒れている兵、逃げる兵、狂った兵、この場所からだとまるでブラウン管越しの映像のように小さく見えるが、それらは確実に俺らの目の前に存在している。
これが、この光景が、この音が、この臭いが、戦争なんやな。
そう再認識させられた時、また近くで爆発音がした。爆風を感じるほど近くだ。何かがポテッと目の前に落ちた。ゴム人形のようにグネグネに折り曲げられた人間だったモノだ、と気付くのに少し時間がかかった。わかった途端、いまだかつてない恐怖が俺を襲った。
怖い、逃げたい、狂ってしまいたい。だけどそれは絶対にできない。今の俺には俺以外の命がかかっている。
『大丈夫だ、ツネ。お前ならできるさ〜』
縋るようにサメオさんの端末に触れると、いつものふざけた口調が聞こえたような気がした。
「よし、いくで」
自分に言い聞かせるためにわざと口にだした。喋るなと言ってあったのに、スピーカーから二人の声がした。うるさい奴らなや。心配すんなや。大丈夫。俺ならできる。当たり前じゃ。なんたって、俺やけんな。
気を入れなおして、またメガロを動かすことに集中する。轟々と頭上を行き交うメガロの音も、今は聞こえないフリをした。
ゆっくりと、しかし確実に歩き始めるサメオさんのメガロ。足の運びを徐々に速くし、不恰好だが早歩きの状態で戦地を横切る。
目の前に見方のメガロが現れた。俺の前を走っている状態なので、恐らくこちらのことは気付いてないのだろう。小隊のようで、5,6体ほどのメガロが何かのフォーメイションを取りながら進んでいた。
丁度ええわ、こいつらの後ろについて走ってたら少しは身を守れるかもしれん。そんなことを思ってもう少し小隊に近づこうとしたとき。
左端を走っていた小隊のメガロがいきなりぶっ飛んだ。敵の姿はどこにもない。小隊にも動揺が走っているようで、陣形が少しバラついた。その隙をついてかどうかはわからないが、今度は右端のメガロが狙撃された。
「くそ、こんなときにアイツかいな・・・」
今、俺の目の前をあの球体が通過して行った。俺らを含め、小隊はあの球体に囲まれてしまっている。なんともヤバイ状況だ。
仕事やらなんやらが始まりまして、更新できるのは恐らく終末とかだと思います。
文章量も今までよりもグッと下がります。
更新してないのにも関わらず、たくさんの方に御アクセスいただきとても嬉しいです。
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しつこかったですか?ごめんなさい。
これからも宜しくです。