00.死んで異世界に行きました。
ストーカーに襲われて、生まれ変わったとか。車に轢かれそうになった猫とかを助けて死んで、神様がトリップさせたとか。寝て覚めたら唐突に、転生とかこんにちは異世界とか。
そう言うのは小説とかアニメじゃないんだから、そんなリアルにファンタジーいらんがな。あったとしてもだ、チートだかクソみたいな能力とか補正とか付けているだろうが。もともとノースキル・ノーギミックな俺がこんな人外魔境でどうやって生き抜くのさ。無理だろ、死ねってか!
俺は死んだ。そして小説のテンプレの如く、見知らぬ場所にたどり着いていた。ことの仔細はこうだ。高校の帰り道、工事中のビルの鉄骨がいきなり落下してその下を歩いていた俺に見事に命中した。途切れた意識が戻った時、俺は見知らぬ森の中にぶっ倒れていた。最初は夢かと思っていたが、寝ても覚めても現状は変わらなかった。そして、発光するキノコやら腐海にいそうな形のしゃべる昆虫を見てここが俺の知っている世界ではないということ知ったのだ。始めは驚き、戸惑っていたが未知との遭遇により俺はそれどころではなくなった。小説的にはこういう最初の出会いは美少女だったり、魔法使いだったりするんだろうが、俺の場合はどう見てもモンスターでした。ありがとうございます。
そいつは人間のような形をしていたが、肌は汚い緑色であちこちに何かに食い破られた傷があり爛れている。そいつは肉を求めるように俺に襲い掛かろうとしたが、振り向かずに一直線に俺は全力で走って逃げ出した。喰うつもりだ!
しかし、どこに逃げたらいい?息が切れる。もう体力がこんなにもなくなっている。このままでは食い殺されるかもしれない、とぞっとした。捕まったらおしまいだ。
どうしよう、どうしよう、と考えながら森だったため茂みや岩場などの障害を利用して何とか逃げてはいるが、やはりいつまでも逃げるのは至難の業。段々と息が荒くなり、逃げるスピードも落ち始めている。しかも、どこからか湧いてきたのか単体だった奴が、いつの間にか群れになってぞろぞろと俺の後を追いかけて来た。
だが、そんな逃走劇はすぐに終わる。どんなに俺が必死こいて走っても、体力は永遠に続くことは無く、ふらついた足はぬかるんだ地面に足を取られ手俺はこけてしまった。
体を起こした時には俺の肩は奴に掴まれ、首に食いつかれた。抵抗しようにもすごい力で押し負ける。振り払おうとそうこうしていると後ろから追いかけて来た後続の群れも到着し、俺の血肉を貪り食おうと手を伸ばす。悪臭が鼻孔を過ぎ、ゾッと来るほどの冷たい手が胸に当たった瞬間、俺の胸からあったかい物が溢れた。ああ、俺はまた死んだのだ。
まず、ここまで読んでいただきありがとうございます。
頑張って書いていきたいと思います。