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異能戦争  作者: 都丸
1/1

DAYS.1

春、杉の花粉を舞わせる頃。

私、漣 那智は暇を持てあましていた。


襤褸アパートの一室を借りて住んでいる。

畳の上に寝転がり天井を見ていた。


「嗚呼。そうだな。天井を破って誰か落ちてこないかな。例えば…能力者とか。」


(いや、そんなのが落ちてこられたら大家に怒られるか。)


「ふははは。案外それも、悪くないか。」


一人で笑っている自分が阿呆らしい。

仕事柄、滅多に動くことがない。

私は、しがない探偵業を営んでいる。

なに、私が探偵なわけじゃない。

死んだ父が探偵だったのだ。

私は、その仕事を引き継いだだけで、まともな事はまずしたことがない。


「よく、今の今まで生きていたものだ。」


私の自慢できる所だな。

一通り、自分の説明をしたところで…。

寝るかな、やることもないのだから。

無理に起きている必要もない。


そう思い瞼をゆっくりととじようとした…刹那。

バキバキバキっ!という音がした。


音のする方に目を開けた。

私の真横に、砂煙をあげなにかが天井を破り落ちてきた。

私は、首だけをかたむけ見ていた。


「はぁ…また死ねなかった。」


声がする、人が落ちてきたのか。

仕方ない起き上がり人の元に近付いていく。


「死にたかったのか?」


悠長に質問をかける。

砂煙は、だんだんと薄れていった。


「嗚呼。死にたかった。ん?君は…誰だ?」


砂煙が、完全になくなり姿が見える。

頭から血を流し右腕がおかしな方向にむいていた。


「大丈夫か?体。」


「嗚呼。大丈夫だ。日常茶飯事だからな。それよりも君の家の天井を破いてしまって申し訳ない。」


「気にするな。よくあるだろう。なにより私は、お前が落ちてきてくれて感謝しているんだ。つまらない一日を変えてくれたな。むしろ礼をしたい。」


すると、彼は、少し悩んで。


「なら…一日泊めてくれないか?生憎家が昨日燃やされてね。」


「構わないよ。狭いが許してくれよ。そうだ、客人。お前の名前は?」


私が彼を立たせようと手を差し伸べた。

彼は、優しく微笑み私の手を掴んだ……二度目の刹那。


今度は、壁を蹴破られた。

最近は物騒な物だ。

壁を蹴破るなんて、礼儀知らずも良いところだ。


「もう。追ってきたのか。すまないね優しい人。どうやら厄介事に巻き込みそうだよ。」


嗚呼。つまらない一日どころか毎日を変えるようだ。


「そうか、それもそれで面白い。私の毎日を楽しくしてくれ。」


壁を蹴破った奴を見る。

壁を蹴破ったのは、見た目からして齢十四ぐらいの少女だった。

可愛らしい薄いピンクのワンピースに白色のサンダル。

薄いピンクのボブヘアーが良く似合う顔立ちだったが、無機質な表情が思いきりぶち壊していた。

継ぎ接ぎだらけの熊の縫いぐるみを抱きながら無表情な顔で、私達にこう言った。


「戦争は、もう始まってるんだよ。椹 一色。」


椹 一色。

其れが、彼の名前らしい。

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