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失われた左腕

あらゆる計器が制御不能だ。このバトロイドは明らかに自分の意思で何処かへと突き進んでいる。


かろうじて通信可能なラクシャと連絡しているモニターは、8割がたのノイズを残して動いている。

「7時の方向に敵機を確認。」

「またあの7編隊か。これじゃあ丸腰だ。しかも圧倒的に速い。」

「このままだと、24分後に追いつかれるわ。」

しかし、どうすればいいのか。無駄な死の宣告だ。僕はここで刹那の星と散るのか!


徐々に機体の速度が下がっている。

「エーテル・サチュレーション82%、オイル量80%、徐々に落ちてます。」

要するに、長くは持たないのだろう。


そして、あっさりと僕を追う7編隊に追いつかれてしまった。五角形の位置と空間的な上下、三次元的に包囲されてしまった。

正面のカーキー色の機体からの通信だ。

「全く、我が軍の一派がこんなにも惨い仕打ちをしたこと、恥ずべきばかりだ、悪かった。しかしなぜ、こんな格好で戦線に?」


「まあいい、当初より、我々7人部隊の目的はそのイレギュラーな機体を回収することにある。このまま、我が軍の本拠地へと連行するぞ。」


ついに僕とバトロイドは敵の手に落ちた。不安ながら、彼らの支持に従いつつ、移動を始めた頃だった。遠方より、通信が入る。


「おい、お前ら、そいつは俺たちの獲物だ。」

見れば、先の戦闘で僕の機体をめちゃくちゃにしてくれた連中だ。バトロイドの左腕から出たケーブルが一斉にざわめくのを感じた。


「待て、作戦を無視する気か?」

カーキーのパイロットが問いただす。

「問答無用!そんな気持ちの悪い機体、俺が破壊してくれる!」

そのセリフとともに、彼の取り巻きを含めた4機の機体がこちらへ突っ込んできた。

しかしよく見ると、、、


「あれ、引きちぎられた左腕じゃねえのか?」

オヤジが好奇心むき出しの声で叫ぶ。

「どこ?」

ロンロンがモニターを凝視する。

「あれだよ、あれ。一番左のやつの足。」

「本当ね、左腕が千切られたまま敵機の足を掴んでるわね。」

「なんてこったい!」


その途端である。僕のバトロイドは千切られた左腕をめがけて猛突進を始めた。7人部隊の包囲を蹴散らし、一直線にその方向へと向かう。一人目にむんずと襲いかかり、巴投げよろしく敵機の躯体を放り投げる。焦った別の一機が僕のバトロイドの背を打つが、恐ろしい勢いで振り返り、銃を取り上げネジ曲げる。そして頭部を鷲掴みにし、放り投げる。3人目は、クリティカルメスの替え刃がいつの間にか融合してしまった右脇から側腹部の位置を敵に向け、異様な体勢で体当たりをかます。そして、左腕が掴んで離さない4機目に接近し、左肩のわんさかと張り出したケーブルが左腕のものとつながり合い、合体したところであらゆるシステムは正常に復帰した。


「コントロール・オールグリーン。」

ロンロンが親指を立てる。

「イオ・バスター、かましてやれ!」

オヤジが白い歯をむき出す。


僕はスイッチ盤の「IO-BAST」と書かれた持ち手のあるレバーを引いた。すると即座に座席の右下から水色のレバーが頭を起こし、その先のボタンを確認した。

「イオ・バスター、ロックオン!!」


右肩に埋め込まれたイオ・バスターは、右肩を大きく破壊する勢いで、壊れたパンケーキユニットを蹴散らし、限りない一直線のバーストを炸裂した。株式会社「市民防衛」の、初の敵機墜撃はこうして実現したのである。


===「コスモ・ドライブ!」第一部 完 ===


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