曲者な同級生
多恵子に教えて貰った
携帯の持ち主は
少し癖のある
姉千夏の同級生だった
また耳元で
女の声がした。
どこか湿り気を帯びた
まとわりつく様な響きの
女の声がした。
俺はもう…無我夢中で家を飛び出した。
プルルルルッ
携帯が呼び出し音と共に震え出す。
ポケットから携帯を取り出し
『はい…カモメです。』と電話に出た。
受話器の向こうから聞こえてきた声の主は
若い女の声だった。
『始めまして…
私…古賀千秋と申します。原田多恵子さんにこの携帯の電話番号を伺い
お電話を差し上げました。』
『その…古賀千秋さんが…僕にどの様な用件で?』
『実は…私…カモメさんの同級生の古賀千夏の妹なんです。
それで…多恵子さんから
カモメさんに相談してみれば?
ってアドバイスを受けまして?』
『僕に何の相談なの?』
何だか危険な匂いがする。
しかし…綺麗なバラには棘があると解って居ても例え甘美な誘い文句の裏には
それなりの落とし穴があると解っていても
近寄ってしまう人間の愚かな本能には抗えず。
千秋の相談に耳を傾けた。
『ふうん?吉田の家で黒いものを見た?
で…僕にどうしろと…
それは…
拝み屋や坊主の領分だよ。第一何故…吉田本人の意思を確認しないうちに
此処に電話したの?
吉田が切羽詰まったらその時また電話しておいで。』
多恵子さんの言う通り癖が強いわ
じゃあ…吉田さんに確認を取れば良いのね?
千秋は吉田の携帯のアドレスを探しボタンを押した。
『はい…』
吉田さんの声が震えてる
『吉田さん…声が震えてますよ?』
『千秋ちゃんか?
君…昨日俺の部屋で何か見なかった?』
『よしださん!ヤッパリ
出たんですね?。』
吉田さんの携帯に掛けた
経緯を話した。
『そうか…カモメちゃんか?
出来るなら君から頼んでくれないか?
彼は苦手なんだ…』
『解りました折り返しカモメさんに頼んでみます。』
『はいカモメです。
吉田の家で
くろい影を千秋ちゃんが見て
吉田が女の声を聞いた。
ふうん…
ヤパイかも?一度吉田にあってみるか?』
『私も一緒に良いですか?』
『君に辛い結果になっても良いのなら』
カモメは何かを感じているが
それは誰にも解らなかった。
遂に腰を上げた
カモメ…
彼は一体何を知っているのか?
次々に語られる真実
もう…見逃す手はない