救いの手
千秋に見えていたモノ
とは
なんなのか…
愈々謎が明かされて行く
『多恵子さ~ん』
多恵子の側に千秋が駆け寄ってきた。
『千秋…おはよう!』
『おはようございます。』
『千秋、昨日は吉田君と
話が盛り上がってたわね?』
『エヘヘッ…
あんまり盛り上がり過ぎて吉田さんのアパートに押し掛けて呑み直しちゃいました。』
と小さく舌を出した。『あっきれた娘ねぇ…』
と溜め息をつく多恵子に
慌てて
『何にも無いですよぉ
多恵子さん…勘繰り過ぎですよ。
吉田さんそんな人じゃ有りませんから?』
と少し膨れて見せる千秋を片手で制し…
『解ってるって吉田君
真面目だからそういう心配はしてないけど…』
『ちょっと…多恵子さん…吉田さんのアパートって
あの…アパートですよね?』
『えっ?そうなの?
私は吉田君が住んでる所を知らないのよ。』
多恵子の戸惑いなとお構い無く千秋は話続ける。
『昨日…吉田さんのアパートで…
最初は楽しく呑んでたんです。
ええ…たわいも無い会話ですけど?
缶ビールを一本…二本と空けた位から…
目の端に映るその部屋の姿…
いや…何かが違和感を伴って映り込んでる気がして…』
『あんた…それで…
どうしたのよ?』
『どうしたも…こうしたも無いんですけど。
部屋の隅…
そう。部屋の隅に何かこう?モヤッとしたモノが?が?
決して形は成して無いんですけどモヤッとした。
何かが部屋の隅に居るんです。』
『う~ん私はその手の話って苦手だからなぁ…
一人…そう言うのに詳しい同級生が居るから
あんた…会ってみる?』
『同級生って?
吉田さんも同級生ですよね?』
『勿論当たり前じゃない
だから千夏とも同級生よ』『一度相談してみようかな?』
『紹介するのは構わないけど少々癖が強いわよ?
慣れるとかなり面白い人なんだけどね?』
多恵子はスラスラとその男の携帯の電話番号をメモに書き写した。
昨日は一睡も出来なかったが?
仕事を休む訳にもいかない。
顔を洗い髭を剃り歯を磨き朝の用意を整え
飯はコンビニで済まそう。
バスの時間が迫ってる。
バタバタと服を着て
髪を整え
靴を履いてドアに手を掛けた。
『行ってらっしゃい…
あなた…
と耳許で女の声がした。
多恵子が教えてくれた
千夏の同級生
癖があるが頼りになるのか?
目が離せない
怒濤の展開
次回…乞うご期待