アパート
千秋と俺のアパートで飲み直す事になった。
千秋の視線が…
衝撃の展開が…
早くもやって来る
それが、きっかけで
暫く千秋と話をした。
千秋の姉古賀千夏を本当に俺は覚えて無かった。
多恵子の言う通り目立たない女の子だったのだろう。
しかし…千秋を見る限りジックリと見てみれば中々の美形だったのかな?
と思う。
それにしても千秋は屈託なく話し掛けて来る。
俺も若くて綺麗な千秋に釣られ笑顔で話していた。
俺にしては珍しくビールを一杯追加して
千秋と話し込む。
話しに花が咲き。
多恵子が
『吉田君…千秋を宜しくね…』と言い残し
帰って行った。
残された俺と千秋はお構い無く話しに花が咲き
遂に閉店時間を迎えた。
『千秋ちゃん…送って行くよ。』
『吉田さん…吉田さんのアパートで呑み直しません?』
俺は未だかつてあの安アパートに女の子を招いた事は無いが
『じゃあ…コンビニで酒とツマミでも買って俺の家で呑み直す?』
『はい!』
と、とびきりの笑顔で千秋は答えた。
アパートが近づくと千秋は少し無口になった。
タクシーを降り
アパートの階段を登り
角部屋の俺の部屋の鍵を開け千秋を誘った。
緊張しているのか?
先程までの元気がない。
『このアパート…
入居者は俺だけだから賑やかにしても誰からも苦情は来ないよ。』
『それを気にしてる訳じゃ無いけど…』
『まあ…緊張しないで上がったあがった。』
『お邪魔します。』
千秋は靴を脱ぎ綺麗に揃えて居間にやって来た。
プシュウ!!
缶ビールのプルトップを空け
タンブラーに注ぐ
『じゃ…呑み直しの
乾杯!!』
千秋の緊張をほぐそうと
多少大袈裟に声を上げた。二人で呑み続けて行くと
千秋の視線が…
部屋の隅…
一点から動かない。
『どうしたの?』
『吉田さん?普段?何とも無いですか?』
『何とも無いけど?
何か気になる事でも?… 』
『ううん…気のせいかな?』
二十歳を越えたばかりの千秋を遅くまで留めて置く訳にも行かない。
タクシーを呼び
千秋にタクシー代を握らせ帰らせた。
独りポツンとテレビを見ながら
千秋…可愛いかったなぁ?と思ったとたん…
耳元で
『女を連れ込んだなぁ』
と声がした。
千秋は部屋の片隅に何を見たのか?
また…
耳元で聞こえたあの声は誰の声
事実に基づく恐怖のお話し
読むほどに嵌まっていく
見逃す手はない
見逃してはならない
次回第三話
乞うご期待