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緋色の竜  作者: 水瀬白露
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レシェフの過去

 レシェフは元々神官だった。

 聖都を下り、小さなオアシスに暮らし始めたのは25歳の時だった。

 いろいろと師事してくれた人たちがいたおかげで生活に困ることなく今まで暮らすことができた。

 そのレシェフが聖都にいた頃、レシェフには歳が少し離れた兄がいた。

 兄は神官ではなかったため、既に結婚しており、12歳になる娘がいた。

 レシェフは兄を慕っており、その兄は娘を溺愛していた。

 奥さんを早々に亡くしてしまった反動だろうか、周囲が呆れるほど娘を甘やかす父親だった。

 まだ12歳だというのに、年頃になったら着る服まで用意したりもして、レシェフはそれを少し気味悪くも思っていた。

 話を元に戻すが、レシェフが暮らす神殿では時折厄介なものが運び込まれる。

 ある夏の日、神殿に1人の少年が運び込まれた。

 その少年は魔道種で、自らの魔力を発散させる術を知らずに、苦しみで呻き続けていた。

 その時、レシェフは魔道種とは恐ろしい生き物だという知識しかなかった。

 レシェフがその魔道種のところに恐ろしさ半分、興味半分で近づこうとしたとき、自分を呼ぶ声に止められた。

「レシェフ!」

 無邪気な声をあげる少女は兄の娘で、夏は大理石で囲まれた涼しい神殿に遊びにくることが多々あった。

 その少女の後ろで、兄が笑いながらレシェフに向かって片手を上げた。

「兄さん」

 兄がよお、とレシェフにあいさつをするそぶりを見せたとき、兄の娘はレシェフの後ろにいる魔道種の少年に気が付いた。

「まあ!大変!男の子が倒れてるわ!」

 兄の娘は少年のもとに駆け寄り、娘の言った少年の瞳を確認した兄はレシェフを置いて、慌てて娘のところへ駆け寄った。

「ダメだ!近づいては……」

 レシェフは2人の動きを見て、そして、魔道種の少年がレシェフのことを助けを求めるように見つめているのに気付いた。

 緋色の瞳は苦痛にゆがみ、涙はとめどなくあふれる。

 たすけて、と少年の唇が動いた気がした。

 そして少年は多くなりすぎた魔力に呑まれ、はじけた。

 すぐ近くにいた、兄と、兄の娘を巻き込んで。


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