表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
緋色の竜  作者: 水瀬白露
3/14

流動的な「当たり前」

 オアシスはネイトが元々いた街とはまったく違っていた。

 見た目や気候が、という問題ではない。

 街の結束が強く、このオアシスに住んでいる全員が親戚であるかのようだったが、ネイトのようなよそ者でも喜んで受け入れてくれる寛容さもあった。

 また、砂漠の独特な気候と外部から閉ざされた街のせいか、昼と深夜は皆家に閉じこもってしまうが、朝と夕方から夜にかけては活気があった。

 物心ついてから砂漠に捨てられるまで、ネイトは貴族の所有物だった。

 魔道種という、希少な生き物。

 珍しい淡い青い髪に緋色の瞳。

 そして魔道種の特徴の一つである整った顔立ち。

 それら全ては貴族が求める希少な価値であり、重要な装飾品の一つとして、高値で貴族に売られ、自分の意志に関係なくさまざまな貴族のもとを転々としていっていた。

 求められたことは、何も口答えをせず、自分からしゃべらないこと。

 しかし美しい歌声で主人を喜ばすこと。

 余計なことはせず、ただ主人の傍らで人形のように微笑み、仕えること。

 そして、主人の機嫌を損ねないこと。

 しかし、ある伯爵夫人に買われたとき、ネイトの美しさに惹かれたその息子の要求を拒んだことで、ネイトはその息子の不興を買ってしまった。

 ただの装飾品が、自分の息子と関係を持つことを伯爵夫人は快く思うはずがないと思ってのことだったが、その息子はネイトが不敬だと怒り、ネイトを遠い砂漠に捨ててしまえとある魔法使いに依頼した。

 魔法使いは砂漠を旅し、商売をするキャラバンにネイトを預けると、さっさと帰ってしまった。

 砂漠では魔道種は恐ろしいものだと思われているらしい。

 ネイトを砂漠の真ん中に捨てたキャラバンの人たちは、ネイトに近寄ろうとせず、食べ物も水さえも与えず、拠点から遠く離れた場所で無造作に捨てて行った。

 魔道種は死ににくい。だけど、渇きを知らないわけではない。

 苦しみを少しでも忘れるためにネイトは眠り続け……そして、レシェフに拾われた。

 眠っていても聞こえていた。

 優しく語りかける声を。

 だからネイトは今もレシェフについて行っていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ