たまに思い出す昔の話
お久しぶりです。超お久しぶりです。生きてます。生きてるんで何か投稿したいんですけど投稿できる話がないんで五百文字程度の回想をどうぞ。
また夢を見た。
七村……なんたら。名前はもう忘れちゃったけど、私が転校すると知ってわんわん泣いてたあの子。私よりも身長が低くて、運動ができなくて、インドアだったあの子。
もう四年も前なのに、なんで私の心をずっと揺さぶってくるんだろう。小学五年生の春に田舎から東京に出てきて随分と月日が流れた。
朝、目を覚ました私は朝食もそこそこに学校へ向かった。青空はところどころ雲に隠れている。天気予報は午後からは晴れる、と言うので傘は持って行かない。
都会は何かと便利だ。学校に行くのは電車で五分。そこから塾に行くのは車で十分。これが三界街だと自転車を使わないといけないというのに。
「一年後は高校生か……」
葉桜も名残惜しい季節だ。中学生活もあと一年を残すところである。当然ながら、先生が月に一度進路調査票を配るようになっていた。
私の進路希望はもちろん進学。もちろんそれはこのご時世では当たり前の感覚のようで、就職と書くバカは一人もいなかった。
ただ、そうなると進学先を決めなくてはいけない。ある日の五時間目終わりのホームルーム。進路調査票の第一希望に何と書くか迷っていた。高専に行こうか、とも思ったけど、高専に行ったいとこにその話をすると全力で止められた。じゃあ普通の学校か。都会の公立高校は動物園になっていてなんぼだなんて話を聞いたので、私立に行こうか……。
ふと、行ってみたい高校の名前が一つ思い浮かんだ。
青嵐高校。
この近くにある学校ではない。電車で四時間かかる私の故郷の学校だ。あの学校なら行ってみてもいい。むしろあの学校に行きたい――――。私は第一希望の蘭を白紙にしたまま進路調査票を提出した。
帰ったら母さんに相談してみよう。
「三界街に戻ることになった」
夕食を食べ終わったら、早速進路の話をしようと思っていた矢先に父さんがそう言った。私は驚きのあまり数十秒ほど手を止めていた。そこから、姫雪家で三界街に戻ろう、という話になった。当然私は大賛成だった。母さんも満更でもない、という風で、父さんは単身赴任も覚悟していたようだったけど、それなら、とまた私が三界街に戻ることを許してくれた。
特に物語の伏線なんかが貼ってあることはありません。まあそれはいつものことなんで、奏がいつからいつまで東京にいたのか、昔の二人の関係はどういうものだったのかを設定付けるものとして考えてください。




