終末
「世界など壊れてしまえ。人類など終ってしまえ」
これが彼女の口癖だった。
彼女は別に世界から、人類から何かされたわけではない。
だが、彼女は嫌っていた、この世界を、人類を。
「このままだと世界が終る」
と、聞いた時、彼女はこれまでに無いほど喜んだ。
「だが、それは約一億年後の事だ」
と、聞いた時、彼女はこれまでに無いほど怒り、憎んだ。
「人生は一度しかないと言うのに、なぜ生まれる場所、年代を決める事が出来ないのだろうか」
と。
そして、長い間考えた末に答えを出した。
「私が死んで、神に頼もうじゃないか」
なんと、ファンタジックな考えだろうか。この時代神など信じるものは誰一人いないのだから。
もし、本当に神がいるのならば、この計画は成功だ。だが、いなかったら、ただの無駄死。彼女の望む世界の終わりは見れない。
1日という、短い間考えた。
そして「死」という答えを出し、自ら首を切った。黄泉の世界に行った時、彼女はこれまでに無いほど絶望した。
神など居なかったのだから。
彼女の死は無駄になり、世界の終わりは、見る事が出来なくなった。
そして、世界は終わりの日を迎えた。
これを見るがために、死んだ少女。彼女はどういう世界の終末を想像したのだろうか。
世界の終わりはあっけなく、人の目には見えない速さで壊れていった。