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妹が、世界を壊す前に  作者: ピザやすし
第五楽章 希望と終演の輪舞

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第26話 英雄の歌

「……良いのかね。我々は君に感謝している。何も、遠慮することなど無いのだよ。」

教皇は、ジンの失った手足に対する、再生術式の無償提供を申し出ていた。

ジンは静かに首を振り、答える。

「……これは、あいつとの思い出だから。あいつがいた、証明だから。」

――俺からシアとの思い出を奪わないでくれ。

そんな悲痛な願いが滲んでいた。

「……これから、どうするのかね。」

教皇は優しさを湛えた声で問う。

「……分からない。ただ、この世界を見て回ろうと思うんだ。」

そう話すジンの顔に迷いは無かった。

「この世界を見て、失われなかった色彩を、この心に満たしたいんだ。」

そう言って、英雄は歩き出す。

失われた脚の代わりに杖をつき、ゆっくりと歩んでいく。

その先には、雲一つない青空が広がっていた。


王国は王家を失い、他国からの介入を受け入れた形での暫定統治評議会の設置、民主制へと移行していく。

崩壊した王都には、少女を抱く四枚の羽をもつ少年の像が建てられ、救済の像として設置されることとなる。

王都はその壊滅的被害から遷都を余儀なくされたが、旧王都に設置された救済の像と、英雄誕生の地として国は残り、旧王都も各国の支援を受け、再建されていく。


彼らの物語は、一つの英雄譚として語り継がれていく。



かの者 四つの翼を広げ

少女を護りて 闇を討つ


空から 光の羽根が舞い

その奇跡を示す


そして その英雄は――



世界を救ったその物語は、今日もどこかの街で、吟遊詩人が歌い継いでいく。

人々の心に、彼らは生き続ける。

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