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妹が、世界を壊す前に  作者: ピザやすし
第五楽章 希望と終演の輪舞

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第22話 灯火の下に集う

「くっ……一体、何が……」

瓦礫の中から身体を起こす。

着地の衝撃を反転魔術で殺し、ジンは生きていた。

辺りには雪が舞い、割れた空が夜の闇を漏らし、太陽はその色を白と黒とを反復させていた。


実験が行われた技術連邦の研究都市は、その機能を停止していた。

あちこちから黒煙が立ち上り、地面には亀裂が走っていた。

泣いている子供たちが見える。

その中を、静かに、その中心へと歩く。

「……酷いもんだ……。」

奥歯を噛み締める。

自然と拳を握っていた。


災厄の中心へと辿り着くが、シアの姿は無かった。

まるで、世界と言う譜面に空いた穴が、そこに広がっている様だった。

色彩も、音も失われ、ただ、静寂だけがそこに横たわっていた。


不意に頭上から声をかけられる。

「おーい、無事で良かった。」

ルティだった。

飛竜を操る竜師の後ろ、飛竜の背に乗っていた。

「ツァラ・ユグドの飛竜だ。災厄が発生した、と、ギルドと連携して救助を行っている。」

そう言う顔は悲愴に満ちていた。

それに、と遠くを指差す。

そこではエスペランディア自由同盟が、神政庁、ギルドと連携し、支援物資の配給、避難民の誘導を行っていた。

彼らの持つ交易路が、全て災厄のために開放されていた。

「ここの転移魔法陣、壊れちまってるからさ、近くの転移魔法陣まで飛竜で、そこからオウゲツに飛ぶよ。」

そこで対災厄について話し合われている、と補足する。

その言葉を合図に、もう一頭の飛竜が現れる。

「何があったのか、みんなに伝えるのが、あんたの責務だよ。」

普段の明るい声色を抑え、静かに、真剣な表情で言う。

「……分かった。俺の知り得る限りのことを話そう。」

そう言って飛竜の背に乗る。

近くの転移魔法陣へと移動する間、ルティと話していた。

そう何度も災厄に巻き込まれて生きているなんて運が良い、だとか、そんなことを言っていた気がする。

俺は、シアのことを考えていた。


オウゲツは大陸から離れているため、まだ、直接的な被害は出ていないように見えた。

ただ、同じく空は割れ、壊れた太陽が昼と夜とを繰り返していた。


ジンが会議室に入ると、宰相が立ち上がり頭を下げる。

「シルガルド王子殿下、お待ちしておりました。」

突然のことに反応できず、周囲を見る。

サクラが壁際に控えているのを見付ける。

その姿は、無理をしているように見えた。

「……今はジン、だ。」

「しかし、王家の血筋はもはや……。反転魔術の発見の功績があれば、異を唱える者もおりますまい。」

「ここには、ギルドの一員として来ている。王国の代表は、俺ではない。」

そう言い切り、会議室内に目を向ける。

「災厄について、知っていることがある。」

そう言うと、会議室が沈黙に包まれる。

宰相は静かに目を伏せる。

「俺の、知っていることを、全て話そう。」

ジンの宣言に、各国代表が静かに息を飲む。


狂った世界の中、そこにだけは確かな火が灯っていた。

それは、昼も夜も関係なく、世界を照らす灯りであった。

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