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妹が、世界を壊す前に  作者: ピザやすし
第四楽章 断絶

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第20話 かつての面影

反転魔術の負荷は、反転させた際のエネルギーの差分が負荷としてかかっているのではないか、と言うことだった。

そして、それをエネルギーとして転用できれば、世界の常識が変わる、と。

技官は熱く語る。

それを確かめたい、と言う言葉に、正体を知りたい自分も頷いた。

別室に機材があるのでついてきて欲しい、と技官が言う。

「ですが……。」

自分はギルドから、陛下の護衛の任で来ている。

勝手に離れるわけにはいかなかった。

「構わぬ。」

シアを見たまま、威厳と優しさを帯びた声で陛下が言う。

「反転魔術と言う、稀有な魔術の発見。それはこの国にとっても有益なものである。」

少しだけこちらに目を向け、直ぐに視線をシアに戻す。

それに、これまでの事は全て知っておる、と声を潜めて言う。

「っ!分かりました!ありがとうございます!」

陛下に頭を下げ、技官について行く。

その姿を、見開いた目で追う少女がいた。


「魔力波異常!危険です!」

実験中止が指示される。

災厄の魔力を放つ、箱を回収しようと技官が動く。

直後、防壁に亀裂が生じる。

その光景に、皆の動きが一瞬固まる。

防壁が砕け散り、観測室に暴風が流れ込む。

書類が風に舞い、計測機器の数値が乱高下する。

負荷に耐えきれなくなった計測機器が、小さな破裂音を鳴らし、黒煙を上げる。

観測室の壁が凍り付いていく。

その異変の中心で、少女は何かを抑え込む様に、その身を抱き締めていた。

「セラフィア。」

国王陛下が、その魔力の奔流を打ち消しながら歩み寄っていく。

「っ!来ないでっ!」

その言葉に応じるように、一層風が吹き荒れる。

少女は顔を逸らす。

その動きに涙が飛び散る。

魔力の奔流に晒され、耐えるだけで精いっぱいな技官の中、同じく魔術師であり、王家の象徴でもある陛下だけが、その魔力を打ち消し、ゆっくりと進む。

「セラフィア、すまなかった。お前にばかり――」


急に声が途切れる。

困惑しながら、ゆっくりと父の方へ顔を向ける。

そこにあったのは、上半身を失った身体。

それが何であるか、分からなかった。

力を失った下半身が、ゆっくりと倒れる。

倒れる音が聞こえた気がした。

顔に生暖かいものがかかる。

その、倒れたものが、一瞬、かつて同じ様に自分に近付き、そして自分を抱き締めてくれた存在と重なって見えた。

その瞬間、胸の中で、何かが割れて崩れていく音が聞こえた。


別室で、ジンは反転魔術を使っていた。

技官がその様子を記録していく。

魔力を伝える素材を作ってみた、と、紐の様なものを手渡される。

「これの端をこの箱に触れさせて、反対側から魔力を込めてみてくれ。」

言われるがまま紐に魔力を込めると、箱が浮き上がり、そして床に落ちる。

技官が興奮気味に語る。

「旧帝国の鉄道網が魔力を伝搬させていただろう?!あれで思いついたんだ!」

こっちも試してくれ、と、何かの装置に繋がった上着を着せられる。

「それを着て、反転魔術を発動させてみてくれ。上手く行けば、負荷を逃がしつつ、エネルギーが回収できるはずだ!」

反転魔術を発動させると、装置に明かりが灯る。

成功だ!と技官が叫ぶと同時に何かが割れる音が聞こえた。

「シア?!」

言うと同時に駆け出していた。

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