表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/20

第0話 終わった世界

「ここも、ダメだったか……」

世界は色彩を失い、その役目を終えたことを伝えていた。

遠くに、空にただ浮かんでいる少女が、白く輝いて見えた。

「何度目だろうな……」

男はぽつりと呟き、深く息を吐く。

誰に問いかけたわけでもないその言葉は、崩れた街並みに吸い込まれていく。

彼は、何かを探していた。

それは希望と呼べるかもしれないし、あるいはただの可能性かもしれない。

いずれにせよ、この世界には既に存在しなかった。

「どうすれば……」

途切れた言葉に、その問いかけの無意味さが滲んでいた。

噛み締めるように首を振り、探し続けるだけだ、と、改めて自身に言い聞かせる。

男は、事前に準備していた魔法陣に魔力を注ぐ。

紫色の宝石が淡く光り、砕けて割れた。

宝石の持っていた光だけが魔法陣へと流れ込み、淡く、だが確かな存在感を放ちだす。

「救いは、あるのか?」

そう呟くと、男は色の無い空を見上げる。

そして、低く息を吸い込むと、迷いなく魔法陣の中心に立つ。

「決めたはずだ。願いは、手放さない。」

その姿が歪み、揺らぎ、そして消えた。


残された魔法陣だけが、この世界の唯一の色だった。

やがてそれも消える。

光は緩やかにその存在を失っていった。

そうして、この世界は、終わりを迎えた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ