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シンデレラはガラスの靴を叩き割る〜魔法師団第四部隊アリスティアの場合〜  作者: 藤沢 一


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第17話 ~すれ違うのは~

舞踏会は、アリスティアが警戒していたよりも平穏に過ぎていった。

途中のダンスでリシェリアがセシルとダンスを踊りたがり、二人の攻防戦を眺めたりするくらいである。

結局セシルがどんな手を使ったのか、アリスティアが気づいた時には、リシェリアは虎頭の男とダンスを踊ることになっていた。

カイさんも意外とそういうことするのかとアリスティアは壁際でセシルと二人を眺めながら関心していた。


「カイ……えっと、カリムさん、意外とダンスお上手だったのね。知らなかったわ」


「ははっ。カリムさんだったら例えどんな女性でも好きな相手としか踊らないよ」


「え!?じゃあカリムさんってもしかして……」


「いや、あの人は……」


アリスティアが驚いてセシルの顔を見た時、ワインを揺らして笑っていたセシルの表情から笑顔が消えた。


「おい、アン、あれ」


セシルの視線の先を追うと、リシェリアと虎頭の男が見知らぬ仮面の男に話しかけられている。

そしてそのまま人気の少ない裏へ案内されるのが見てとれた。

セシルは即座に伝達蝶を飛ばすと、そのままアリスへ短く声をかける。


「追いかけるぞ」


アリスティアはセシルと共に持っていたグラスを置くと、男に案内される二人の後ろをついて行った。


***


メイン会場から離れていくにつれて、どんどん人気が少なくなっていく。

少し先には、リシェリアたちが談笑しながら歩いていた。

アリスティアたちが早歩きでリシェリアたちに追いつくと、セシルが案内していた男に声をかける。


「あー、よかった。リリィ、ロウ。どちらへ行かれたかと思いました」


セシルがわざとらしく会話に割り込む。

セシルとアリスティアの顔を見たリシェリアはあからさまにホッとした表情になる。

その様子を見ていた仮面の男は一瞬黙ると、にこやかに口を開いた。


「……お連れ様がいらっしゃったのですね。……しかし、ここから先へは厳選したお客様のみとなりすので」


セシルが口を開こうとした瞬間、奥の方から小太りの男がゆっくりとした足取りで歩いてきた。


「何を騒いでいる」


その姿を捉えると、アリスティアは目を見開き背中に冷や汗が伝った。

そして、無意識的にアリスティアはセシルの服の裾を振る手で掴んだ。


「バラス、伯爵……」


震えた小さな声。

隠れるように掴んだセシルの服。

いつもと明らかに様子の違うアリスティアに、セシルはほんの一瞬、目を細めた。

アリスティアの呟きが聞こえたのか、バラス伯爵は体型に似合わない鋭い眼光を

案内人の男からアリスティアへとその視線を移した。


「……その赤毛。あっはっは。これは懐かしい。もしかしてお前は、ノールのところの赤毛か」


バラス伯爵は馴れ馴れしくアリスティアに近づくと、その肩を抱いた。

アリスティアはそのままセシルの服を離し、されるがままとなっている。


「父親と一緒にくたばったかと思っていたが、案外しぶといらしい」


バラス伯爵は我が物のようにアリスティアの頬を掴み、おもしろそうにその顔を眺めている。

揺れるアリスティアの視線の先には、リシェリアがセシルの元へ行き、怖かったと話しているのが見えた。

吐き気がする。

でも、ここで自分が動けば皆を巻き込むことになる。

全身に虫が這いずるような気持ち悪さがアリスティアを襲う。

どうすれば。どうしたら……

私が、我慢するしか…


「申し訳ありません。伯爵」


アリスティアが固まっていると、セシルがバラス伯爵の腕を取った。


「彼女は僕の恋人ですので、お戯れになるのはやめていただきたい」


セシルはそう言うと、固まっていたアリスティアの頬を両手で優しく包む。

そして、視線を自分に向けさせた。


「大丈夫か?」


仮面の下から覗くセシルの澄んだ青の瞳は、アリスティアを現実へと引き戻した。

アリスティアがゆっくりと頷くと、セシルは彼女を抱きしめ、小声で呟いた。


「そばにいるから。落ち着いて」


セシルに抱きしめられて、アリスティアは初めて自分が泣いていることに気がついた。


アリスティアを腕に抱いているセシルに、バラス伯爵はつまらなさそうに鼻を鳴らすと、案内人に2〜3つ告げて、その場を離れて行った。


「……伯爵から許可が下りましたので、そこのお二人もどうぞ」

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