喧嘩は禁止
続篇です。楽しんで頂けると嬉しいです。
恋愛小説って読んでる時もニヤニヤするけど書いてる時もニヤニヤするんですね笑
ただ一人、俺は黙々と帰路を辿っていた。
……全く、珍しいもんだな、あのブラックバイトが休みだなんて。本当にそう思える程の事だった。今は家から2km程度離れた商店街を歩いている。……直接、家に帰ればこんな場所通らなくても良かったんだがな。無意識にため息が出る。時計を見やる。……18時過ぎ、か。ほんとうに時間が掛かるもんだ。家までまだ20数分かかると考えれば、気だるさが増してしまう。時計から目を離し、前を見てしっかりと歩く。そして次の瞬間、俺の目に映ったのは
『生徒会長が2人の男に囲まれている光景だった』
……明らかに、嫌がっているよな。
生徒会長はとても美人で、スタイルも良い。
こういうことに巻き込まれることもあるのだろう。
そいつらは生徒会長を店と店の間の薄暗く、人気のない路地へと連れ込んだ。
「……急ぐか」柄にもなく、人助けに必死だ。かなり本気で走っている。……ここの路地か、バックを置きながら、会話を盗み聞く。
「だからー少しお茶しようっていってるだけじゃん」
「何が悪いんだよー」悪気もなく、だる絡みする奴らの声が聞こえる。
……走って逃げれば、俺が出るまでもないか?
一応、様子だけ見ておこうと思った俺の束の間。
「は、離して!!」と生徒会長の大きな声が響いた。俺の体は無意識に動いていた。
路地に飛び込み、生徒会長の肩を掴んで壁に追いやっている男の腕を引き剥がす。そしてすかさず、そいつの顔面にパンチを…………だが、その瞬間思い出した。あの時『暴力はもうしない』と誓ってしまったことを。「チッ…!」思わず舌打ちをして、叫ぶ。「逃げろ!!」だが、その言葉に彼女は
「で、でも君は…」そう言い。俺は「俺はどうとでもなるから!」そんな根拠の無い言葉を並べるしか無かった。
そんな中、目の前の男たちは「は?なに?彼氏?」そう言い、不満そうにこちらを見ていた。「いいや、ただのその生徒会長と同じ学校の生徒だよ」事実通り答えて見せた。すると、「なら、お前には関係ねぇだろ!!!!」そんな怒声が飛んできた。……まるで猿だな。滑稽に思いながら、生徒会長へと意識を移す。
「逃げろよ」俺の言葉に……「ご、ごめんなさい」
生徒会長は急に謝りだした。何事かと思った時「腰が…抜けて」彼女の力ない言葉に、
「分かった、時間を稼ぐから立てるようになったらすぐ逃げろよ」余裕そうに応える。
「させるわけねぇだろ!!」その声と共に拳が2つ飛んできた。俺は簡単に2つとも受け流す。
……あくまで時間稼ぎ、反撃はしない。
チラチラと生徒会長を確認しながら敵の攻撃を捌く。だが、俺は別に最強じゃない。攻撃が全部当たらない訳じゃないし、腕も段々とヒリついてくる。
そして、そんな中。生徒会長が叫んだ。それも……涙ぐんだ声で。
「やり返しちゃえ!!」俺は少しニヤついた後、返事はせず、防戦のため引いていた重心を前に倒した。それに乗せて、左足で思い切り男を蹴り飛ばす。もう1人が呆気に取られている内に顎に蹴りをぶち込んだ。
「え、えぇ!?」生徒会長は驚いた声を上げた。だが、それどころじゃない。
「ヤバい路地の外に飛んじまった」俺は焦って、生徒会長を抱き抱え。路地の奥へと走り出した。
路地の外に出て、俺が何をやっているか気付いた。
……あの美少女の生徒会長をお姫様抱っこしているのだ。「……!?!?ご、ごめん!!」
大きな声で謝り、地に下ろす俺に向けて
「全然……大丈夫ですよ」と頬を赤らめて言う生徒会長。優しくてありがたいが俺は気が気でない。
俺は深く深呼吸をして言う。「け、怪我とかないか?」そして、彼女は「こっちのセリフですよ!!こっちに来てください」と言って俺の腕を引っ張ってどこか連れていかれるのだった。
ご視聴ありがとうござました。
今後の投稿もよろしくお願いします。