デート前
続編です!
楽しんでいってください!
今日てぇてぇや
「今日はごめんな」
店に入り開口一番、それだった。それに愛は
「もう!そういうのはいいって!」
俺の態度に少しぷりぷりとしていた。そんな愛の姿に少し安心するもののそれでも、少ししんみりしてしまう。
「んー、仁くんは私のために怒ってくれたしね?ありがたいし、確かに過激だったけど……あの、か、かっこ良かったし」
俺は愛に気を使わせてるんだ……こんなウジウジしてたら面倒を掛けるだけだ。
俺は頬をすごい音を立てて叩きやる気を出す。
"スパーン!!"
「ふぇ!?」
素っ頓狂な声を出す愛に伝える。
「ありがとな、買い物の続きをしよう」
こういう時は感謝である、謝罪なんて愛も求めていない。
「夕飯の材料ってらそれだけで良かったの?」
俺たちは買い物を終え、帰路を歩いていた。
「あぁ、あとは家にある物で何とかなるだろ」
愛の問いに答え、ゆっくりと歩を進める。だんだんと減速しているのが分かる。
「……お互いに歩幅を合わせようとして減速していくんだが」
笑いながらそう言うと、
「あ、ホントだ。道理で遅い訳だね」
愛は面白そうに言った。
……こういう下校の時間が好きになれたのも、楽しくなったのも愛のおかげなんだな。
「……はぁ」
幸せでため息がもれてしまう。
「……何かあった?」
少し心配そうな、不安そうな顔をしている。
……自分が何かしたか怖いのかな?…可愛い。
「うん、まぁな」
敢えて、ややこしい返事にする。可愛いすぎてイタズラ……というよりイジワルしたいのだ。
「もしかして、私…?何かしちゃった……?」
……確かに愛のせいではあるのかも?しれない。
「言われてみれば愛のせいだな」
俺のその言葉に愛はあわあわとしだし
「ご、ごめんね……あの、ごめんね……」
……まぁ自分が何したかなんて分からんわな、実際何もしてないし。そんな事を考えたあと、愛をからかっていたことを告げる。
「悪い悪い、少しからかってたんだ」
笑いながら言うと、愛は頬を膨らませて如何にも可愛く怒り出した。
……この後どんな反応するんだろう。
「やっぱ何もしてなかったよね?必死に考えたんだから、もう……仁くんのバカ」
「だから悪いって、愛の隣でこうしていられるのが幸せでな、ため息ついちゃって……な」
愛はこの言葉を聞いて露骨に固まった。
「あ……えと、仁くんはわ、私が隣にいて……幸せ?」
何故か愛が聞き直してきたので、本心のままに答える。
「あぁ、幸せだ。とってもな」
愛は顔を手で覆って心底嬉しそうに笑っていた。
……可愛い、かわいいんだわ!
心の声を奥に押し戻し、現実に戻る。また歩くのが遅くなっていた。
俺は苦笑しながら歩を速める。愛も察して微笑み一緒に歩く。
……あぁ、本当に幸せだ。
俺の中で何かが決まった。
……明日の水族館デート…それで告白しよう。
「ただいま〜」
俺は家に帰り、語尾を伸ばして帰ったことを妹に伝える。
「おかえり〜」
同じように優花も語尾を伸ばして返事をする。
ゆるゆるとしたパジャマに身を包み、優花は聞いてきた。
「今日、喧嘩してた?」
別に優花に隠すことなどない。俺は正直に告げる。
「あぁ、そうだな。優花が帰ってる時に見たまんまだ」
俺の言葉に優花は特に何も思っていなそうに
「ふーん」
とばかり答えた。俺は夕飯の支度をしながら問う。
「今日、優花が一緒に帰ってた子は?」
優花は少し考える素振りをして
「あぁ、みゆちゃんのこと?」
そう返してくれた。
……優花と一緒に居てくれるのは嬉しいな。
俺はそう考えながら料理を始めるのだった。
「できたぞー」
俺は夕飯の支度を終え、優花を呼び、食べようとしていた。
「ん?今日はシチューだ〜」
嬉しそうに言う優花に微笑み、食事をする。
……そう言えば、愛とのデートで待ち合わせ場所を決めてなかったな。
ふと思い、スマホへと手を伸ばし、愛に連絡を入れる。
『デートの待ち合わせ場所は』
そこで止まる……どこがいい?って聞くのも違うしな……難しいものである。
……こういうのは俺がパッと決めてもいいだろう。デートプランはもう決めている。
……ならば!!
『デートの待ち合わせ場所はC町中央駅にしよう』
……既読はっや。思わず口から出るところだった。そうして、直ぐに返信が来た。
『分かった(*´ω`*)気になってたから良かった(*∩´꒳`∩*)』
……可愛い絵文字を使うんだな。女子高生って感じだ。
とりあえず、OKって送っとくか。
『OK(`・ω・´)ゞ』
……絵文字ってこんなんでいいのか?まぁ、いいか。
スマホから目を離し、食事を再開する。
フランスパンをシチューに漬けて食べる。
……美味いな、よかった。
愛と食事で幸せを噛み締め、その時を終えた。
「明日……明日なんだなぁ」
私は幸せのあまりに少しニマニマとしながら帰路を辿っていた。だか私は家に帰り着いてしまった。
「ただいま……」
と小さく呟く。親はいるが……なんというか、あまり話していたくないのだ。
「帰ってきてたのね……遅かったじゃない」
この妙に圧のある母が苦手だ。
「うん……まぁね。お母さん、今日は帰ってたんだね」
私がそう聞くと
「そうねぇ、まぁそんなのいいから早く勉強でもしなさい」
冷たくそう言われた。仁くんの優しさを感じたぶん、この冷たさが痛い。
親と話していたくなかったため、自室に戻る。
ベットに飛び込み、枕に顔を埋めてスマホを開く。
"ピコン"その時、誰かからかメッセージが届いた。
……仁くん…!嬉しくて直ぐに既読をつけてしまった。内容としては集合場所を決めただけ、でも仁くんのこの私の真似をしたような絵文字にこの悲しさは薄れた。
「明日……楽しみだな」
そう言葉を零し、親に文句を言われないよう、机に教科書とノートを広げた。
ご視聴ありがとうございました!
今後も宜しくお願いします!
やはり優等生の親は厳しいのだろうか。