縛られていない一方向を僕にください
掲載日:2022/08/05
どこも、何かしらの物体で埋まっている。
壁があったり、草木があったり。
無機物があったり、有機物があったり。
それは、現実。
形あるもの。
色あるもの。
それは、現実。
向き合っているだけで、息が詰まる。
帰り道。
道端に、お地蔵さんがいた。
何となく願っていた。
それは、形あるものなのに。
それは、硬質なのに。
「縛られていない一方向を、僕にください」
そう願っていた。
そんな願い、叶うはずないのに。
真っ白でも、透明でもない、本当に無の一方向。
そんなものは、不可能だ。
白目むいても、変顔垂れ流してもいい。
何の記録にも、記憶にも残らない一方向。
そんな場所があったら、この精神もすぐに、なめらかになるのに。
気付くと、前方が揺れていた。
大胆に。
壮大に。
形を変えながら、シンプルへと移行してゆく。
そして、縛られていない一方向らしきものが表れた。
まさに無だ。
その一方向に、悪い感情が吸い取られてゆく。
どんどん、吸い取られてゆく。
そんな感覚があった。
逃げ場があるって、いい。
何もないって、いい。




