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五つ目の魂

 炎の洞窟、燃え盛る炎と溶岩で彩られた灼熱のダンジョン。

 そのダンジョンで魔王軍幹部、大魔導士ラムザスを下したアルベルト達と合流したリーファ達は、リッチのラムザスを不死鳥エラリオンの力で人へと戻す事で話をまとめた。

 その一方でアルベルト達が持つ邪神の武具をキュプロクスの鍛冶屋、ロガイドに強化してもらう事も決まった。


 今後の方針が決まれば、あとはこのダンジョンにある邪神の武具を回収し、分けられたアルマリオスの魂と融合すれば仕事は終わりだ。


 リーファが視線を巡らせると守護竜の死体の上、光を放つ小さな竜が浮いているのが見えた。


「えっと、私はリーファ・ブラッド。あなたはアルマリオスさんの分けられた魂の一つですね?」

"そうだけど……君、僕の姿が見えるの?"

「見えるよ。リーファは僕らと契約して魔竜少女になってるからね」

"君は……僕?"

「うん、僕は分けられた四体が融合したアルマリオスだよ。この体はリーファ以外との意思疎通の為に作った、仮初の体だね」

"四体……じゃあ僕が一緒になれば残りは……"


 そう呟いた分かたれた竜の魂は、希望で輝きを増した様にリーファには感じられた。


「……私と契約して私の中にあるアルマリオスさんの魂と融合しますか?」

"……うん。君と契約する……最後の一つを取り戻せば、僕はまた自由に大空を"

「その前に邪神の計画を妨害して、あわよくば邪神ヴェル―ドを倒すつもりだけどね」

"ヴェルードを……フフフ、それはいいなぁ……よしッ、じゃあリーファ・ブラッド、僕と契約して君の中に入らせてほしい"

「はい、契約します」


 リーファのうなずきと共に光る竜は光の粒子となってリーファの体に吸い込まれた。


「かッ、かゆっ!!」


 同時にリーファの全身に久しく感じていなかったかゆみが走り、露出した肌が白い鱗に覆われる。


「うおッ、お嬢ちゃんの顔がドラゴンにッ!?」

「これはちょっとショッキングな絵面ねぇ」

「年若き女性がこのような姿に……なんと残酷な……」


 変化したリーファを見て、回復魔法で意識を取り戻した盗賊のサフィと、魔女のベルサ、そしてニーダンスが声を上げる。

 以前、サフィ達には尻尾が生える所を見られたが、彼らの言葉を聞くに今回のドラゴン顔はあの時よりも衝撃が大きかったようだ。


「……アルマリオスさん、ドラゴン顔は無いって言いましたよねぇ?」


 そう言ったリーファの声は低く冷たい。


「しょ、しょうがないんだよッ! 前も言ったけど別れた魂と融合すると力の総量が上がって制御出来ないんだ……ほらこれでいいだろ」


 アルマリオスが魂の重なりを調整した事でリーファの顔は、ドラゴンに似た容貌から人のそれに戻った。

 その事にホッと胸をなでおろしつつ、リーファはクライブが調べている宝箱に目をやる。

 宝箱の周りにはクライブの他、体を縛られたラムザスとそのワイヤーロープを握るゴダック、それにアルベルトとレナがいた。


「こいつが命の指輪って奴だな……完全に壊れちまってるが」

『ヴェルードの命令でな。奴は竜王の娘にこれ以上武具を渡したくないようだ』


 クライブが現れた宝箱の中から拾い上げた元指輪だったろう物は、赤い宝石に溶けた金属が纏わりついた、奇妙なオブジェの様になっていた。


「……アルマリオス、こいつにはどんな効果があったんだ?」

「命の指輪、装備すれば体の再生能力を高める。呪いは……うん、能力の吸収だね……聖者の衣で魔族化した肉体に、魔物の血を浴びる事で倒した魔物の能力を吸収付与する。魔剣の呪いで力を求める様になった勇者にとっては、すごくマッチした呪いだろうね」


 アルマリオスの言葉を聞いたクライブは吸収付与ねぇと笑みを浮かべ、力への渇望に飲まれていたアルベルトは顔をしかめた。


「アルベルト様……」


 そんなアルベルトの手をレナはそっと握った。


「レナ…………あの時はすまなかった……」


 アルベルトはレナの前に膝を突き、彼女の肩に両手を置いて頭を下げた。


「レナは気にしてないです……だからアルベルト様も気にしないで……」

「レナ……ありがとう……」


 そんなアルベルトの様子にクライブはわずかに笑みを浮かべ、ラムザスに向き直る。


「……ラムザス、この指輪、直せるか?」

『術式は一通り解析したし、直せなくはないが……ググッ』

「おい、どうした?」


 唐突にうめき声を上げたラムザスにクライブは眉根を寄せる。


『……万能なる魔力よ、我が命に』

「何ッ!?」

「止めろ」

『グガッ!?』


 突然詠唱を始めたラムザスの頭をゴダックが殴りつけ無理やり止めた。

 おそらく先ほどの詠唱は邪神の命令だったのだろう。


『うぅ……助かったが、もう少し繊細に扱ってくれたまえ。吾輩の頭は君の物と違って知識の宝庫なのだぞ』

「……もう一発殴っとくか」

『やッ、止めたまえッ!』

「ふぅ……それで、指輪は直せるのか?」


 ゴダックはため息を吐いて改めて問い掛ける。


『ああ、直せる。だが今のままでは難しいだろうな……吾輩はいまだ邪神のしもべのままであるし……』

「……まずは魔法医に見せて人に戻した方がよさそうだな」

「そうだな。それまではラムザスには猿轡でもしてもらうとするか」

『……君たちには先輩冒険者を敬おうという気はないのかね?』

「あ? 突然、詠唱を始める爆弾みたいな奴を野放しに出来るか」

「その通りだぜ」


 ゴダックとクライブはラムザスの扱いについては同じ意見のようで、早速クライブはポーチから布を取り出しラムザスの口をふさいでいた。


 その後、リーファ達は隠し部屋でラムザスによって破壊された命の指輪の残骸を回収した。

 そしてリーファとアルベルト達、聖王冠(ホーリークラウン)の面々は巨人の鍛冶屋ロガイドの下へ、クライブとレナは大魔導士をリッチから人へと戻すべく不死鳥エラリオンの下へと飛んだのだった。

お読み頂きありがとうございます。

面白かったらでいいので、ブクマ、評価等いただけると嬉しいです。

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