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巨人の鍛冶屋の頼み事

 ロガイド。マッソーがそう呼んだ青い肌のキュプロクスは、確かにマッソーが憧れるのは無理もないと思える体躯をしていた。

 槌を振る事で鍛えられたのだろう。見上げるほどのその巨体は、盛り上がった筋肉に覆われていることが着ている服の上からも分かる。

 顔は白い髪と髯に覆われていて、結構な年なのかなとリーファは考えた。


「なんだ、またおめぇか」


 巨人は足元の集団の中にマッソーを認めると、ほんの少し顔をしかめた。


「覚えていてくれたかっ!!」

「素っ裸でマントの変態なんて、そうそう忘れるもんじゃね」


 あ、巨人の認識でもマッソーさんって変態なんだ。

 ですよねですよね、それが普通の感覚ですよね。


 リーファは出会って間もない単眼の巨人に親近感を覚えた。


「ん、おお、見つけたんじゃな。コテカ」


 そのリーファが親近感を覚えた巨人、ロガイドはマッソーの腰で輝くコテカを見て苦笑しつつ頷く。


「うむ、ロガイド殿の助言とこの者達の協力で無事入手する事が出来た」

「いや、あれは助言というか、おめぇにあんま側にいて欲しくなかっただけというか……」


 どうやらどんな種族も全裸マッチョは嫌らしい。

 巨人はもごもごとつぶやくと、地面に腰を下ろしリーファ達に視線を送った。


竜人間(ドラゴニュート)……いや、なんか違うもんじゃな、お前ぇ……そこの黒髪の男も……んで、獣人の子供と……ん、そのちっこい竜は生き物じゃねぇな……おかしな連中じゃ。んで、なんの用じゃ、おめぇら?」


 巨人の単眼は生き物の本質を見抜けるのか、リーファ達に順繰りに視線を向けそれぞれについて語ってみせた。

 その目に睨まれたレナは、おびえたのか体の大きなマッソーの陰に身を潜めた。

 一方でリーファの方は巨人が語った言葉に疑問を覚える。


「ん? クライブさんは人間ですよね?」

「あ、当たり前だろう……多分、俺の先祖に別の種族の血でも入ってたんだろ」

「ああ、なるほど」

「コホンッ、ともかくだ。あんたは鍛冶屋なんだよなっ!?」


 クライブはリーファの疑問を受け流し、ロガイドに問い掛ける。


「ああ、儂は巨人族の鍛冶師、ロガイドじゃ」

「実はあんたに直してもらいたい物があるッ!!」

「んん~? 儂に直してほしい物?」

「こいつだっ!!」


 クライブはポーチから残骸となった女神の盾(アイギスシールド)を取り出した。


「これは元は女神の盾(アイギスシールド)と呼ばれる邪神が魔王に命じて作らせた武具の一つだ!! こいつには魔法を弾く効果があったらしい!! あんたの手で復元してもらえないか!? もちろん対価は払う!! 金でもいいし、頼みがあるなら出来る事はなんでもしよう!!」


 クライブの言葉を聞いて単眼の巨人は髯に覆われた顎に手を当てた。


「うーむ……邪神の武具か……興味はあるがのう……」

「あの、クライブさんも言ってたように、私たちが出来る事なら何でもしますから!!」

「なんでもか……ふむ、では一つ探してきて欲しい石がある」

「石……ですか?」

「うむ、蒼黒石(そうこくせき)って名前の通り青黒い鉱石でな、そいつで作った武具がどんな頑丈な盾も貫くし、防具を作ればどんな攻撃もはじき返すらしい」


 ロガイドは武具の材料が欲しいようだ。

 しかし蒼黒石……リーファは聞いた事がなく、隣にいたクライブに視線を向けた。

 するとクライブも知らないらしく、肩をすくめ首を振っている。

 レナもブンブンと首を横に振っていた。マッソーは……サイドチェストのポーズを決めていた。

 頼みの綱はアルマリオスだが……。


「話には聞いた事があるよ。なんでも異界から来た流れ人が蒼黒石で作られたゴーレムを見たとか、見てないとか」

「なんですかそれ? 異界で見たんじゃ意味ないじゃないですか」

「まぁ、ホントにあるのかも怪しい石だし、流れ人が見たゴーレムも本当にその石で作られていたかは分からないしね」

「……えーっと、ロガイドさん。その蒼黒石のありかって分かりますか?」

「大昔、儂が生まれる前になるが、一族の一人がどこかの女神と和解した時に、その証としてもらったと聞いた……その石を使った武具は天と地に去った神々との戦いで失われたらしいが……」


 女神……自分の知る女神は泉の女神ガーネットと牛の女神ラフィネリスだが……。


「その女神様の名前は分かりますか?」

「名前か……少し待て」


 ロガイドは立ち上がると作業場に取って返した。

 ゴソゴソと何かを移動させる音が聞こえ、ドスドスと重い物が落ちる音が響いた。

 やがてロガイドは一冊の本、リーファ達からすればそれはもう建物の壁と変わらない大きさだったが、を持って現れた。

 ロガイドはその本の一ページを開き、リーファ達に示してみせた。


「女神の名はガーネット、この本によると泉に隠れ住んでいたところを見つかって、命と引き換えに石を渡したみたいじゃな」


 巨人族の言葉だろう、読めない文字の羅列の横に色あせているが金の髪の女が描かれている。

 おそらくガーネットで間違いないだろう。

 知り合いで助かった。リーファはホッと胸をなでおろしロガイドの顔を見上げた。


「ガーネットさんなら知り合いです。石を譲ってもらえるよう交渉してきます」

「ホントか? ならよろしく頼む……蒼黒石……伝説の素材がどんなもんか。打つのが楽しみじゃ」

「……一つ聞きたいんだが」


 笑みを浮かべたロガイドにクライブが声を掛ける。


「ん? なんじゃ?」

「あんたたちが戦っていた神はこの世界から消えた。なのになんでまだ武器を作ってるんだ?」

「消えたといっても死んだわけじゃねぇ。特に魔界に消えた連中は質が悪いからな。備えじゃよ、備え。グハハッ」


 キュプロクスの鍛冶屋はそういうと豪快に笑った。

お読み頂きありがとうございます。

面白かったらでいいので、ブクマ、評価等いただけると嬉しいです。

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― 新着の感想 ―
[良い点] マッソーのポーズ何の意味も無くて草 [一言] 蒼黒石……ゴーレム……まさかまさか?
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