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怠惰王子戦争へ向かう事となる

「グンレよ。よく来てくれたのう」

 俺が王の間に着くや否や国王もとい父上からそう言われた。


「よく来たのうって、父上が無理やり引っ張り出してきたんじゃないですか?」


「そうじゃったのう。すまんすまん。いや何。今日お前を呼んだのはとある重大な任務を与えるために呼んだのじゃ」


「とある重大な任務。何それ?面倒そうだな。今すぐ聞かなかったことにして帰っても良い」


「駄目じゃ。これはお前にしか頼めない事なのじゃ」


「俺にしか頼めないって何?この怠惰でぐうたら俺に何を頼むってんだ?」


「グレンよ。儂の大切な息子グレンよ。どうか我が国の為に同盟国であるグリーラ王国の援軍部隊の将軍となってくれないか?」


 父上は心から申し訳なさそうにそれでいて断れること覚悟でそう言った。

 そして帰ってきた俺の返答は多分父上からした意外な答えだった。


「うん。いいよ。というかまあ薄々予感してたしな」

 そう。やけにあっさり言ってグレンは頷いた。

 まるで簡単なお使いにでも請け負うかのようにあっさりと何気なく。


「そうか。あっさりと受けてくれるか。儂としてはかなり渋られるのを覚悟していたし。最悪断られると思っていたが。どうやら宛が外れたようじゃのう」


 国王はわざとらしく一息つく。


「ハア。儂も年を取ったのう。してグレンよ?この将軍というのがどういう物かは分かっておるのか?もしかして子供のお使いと勘違いしてるのではなかろうな?」


 余りにあっさり良いよと言われたもんで国王はついそう疑ってしまう。

 何故なら相手はぐうたら王子、怠惰王子。我が子ながら本当にどうしようもないくらいに働かない怠けている人間だったのだから。


「それはもちろん理解してるに決まってるよ。父上よ。俺をそんなに馬鹿だと思わないで欲しい。そうだな俺が行かなければならない理由は二つあるかな。


 一つ目は今現在我が国にいる三代将軍全員がそれぞれ絶賛小競り合い中の国境の守護と魔物暴走期で大変な魔物の森の守護。そしてこの城の守護についているせいで万の兵を率いる資格を持った存在がいないことが上げれるかな。


 だから代わりに国王の代理としての資格を持ち将軍階級ではないものの例外的に兵を率いることの出来る王子の資格を持つ俺が選ばれた。


 まあもちろん俺のお兄ちゃん達にやらせろよとは思うが。第一王子と第二王子は継承権を持ってて、下手に同盟国との戦争の将軍として立たせて失ったら冗談抜きで国が傾きかねない、だって大事な王族が死んだという責任問題で同盟国もといグリーラ王国との関係が悪化するのは目に見えてるし、絶妙な貴族のパワーバランスだって確実に崩れるんだから。

 

 そんでもって、内乱に突入するか、王子を殺した帝国と戦争だ。どっちにしたって地獄だよ。他の第三王子は今現在ソルティー国に留学に行っているから物理的に不可能。第四王子は研究馬鹿で俺以上の引きこもりな上に虚弱体質、でも超絶天才で様々な発明品を生み出す我が国の金の卵、失う訳には絶対にいかないというわけで最悪死んでも特に問題の起きない俺が選ばれたって訳かな。あってるかな?」


「ああ。全く持ってその通りじゃ。しかし。正直今儂は驚いておる。あの怠惰のグレンがここまで状況を理解しているとわな?やはり腐っても儂の息子じゃのう。それとも力でも隠しておったのか?」

 国王の眼光が一気に鋭くなる。


「力を隠すって。いやまあ何だ、俺だって伊達にグウタラしているわけじゃないからなこれくらいは分かるよ。で、因みに二つ目の理由は神器の存在だと思うけどあってるかな?」


「ああ。正解じゃ。というかグレンよ、どこで神器について知った。このことはまだグレンには伝えてないと思ってるのじゃが」


「ああ。それはもちろん本で読んだのさ。城の書庫の隠し棚にエロ本でも隠すかのように我が国の神器の詳細な情報と作り方が乗ってある本があったからね」


「そうか。あの本を自力で見つけだじたのかって。エロ本を隠すようには余計じゃわい。にしてもそこまで理解しているなら神器についての説明は不要そうじゃな?」


「ああ。大丈夫だよ。説明をして貰うのも面倒だし。まあ、ぶっちゃけ重要な情報は王族の血を持つ者が一生のうちに一回しか使えないって情報と。使えば半径100キロ以内の一部魔天格の存在を除き全員を強制気絶の状態にするということだけかな?」


「うむ。その通りじゃ。そこまで分かっておるのならば問題ないな。ではグレンよ。よろしく頼んだぞ」

 そう言ってグレンの肩に手をのせて激励をする国王。それを片手でどかせつつグレンは言葉を交わす。


「ああ。頑張って来るよ父上。一応これまで父上には散々迷惑をかけたからな。サクッと言ってサクッと帰ってきてまたぐうたら生活に戻るとするよ」


「そうか。グレンが無事に帰ってきてくれたらお小遣いの額を倍に増やそう」


「え?マジでありがとう。それは非常にやる気が出るわ。で、いつ俺は向かえばいいのかな?」


「一応諸々の準備は終わっておる。行こうと思えば今日にでも出発することは可能じゃ。だが。もちろん心の準備とかあるじゃろうし。多少は持つことも出来るぞ。といってもグレンは今日いくじゃろう。面倒事は早く終わらせたいと思ってる性格じゃからのう」

 流石父上俺の事をよく分かっていらっしゃる。


「ああ、もちろんだとも父上。よく分かってらっしゃる。今日、今すぐに出発するよ。嫌な事はサクッと終わらせたいからな」


「おお。そうか。では今すぐに最終準備を行ってくる。しばし待っておれ。あ、それとグレン行くときはもちろんイトも連れて行くがよい。イトは元傭兵であり剣の腕前は我が国でも5本の指に入る実力者だ。きっとグレンを守ってくれるじゃろう」


「分かってるよ。じゃあ部屋で本読んでるから、準備がわったらイトにでも伝えてくれ」


「分かったのじゃ。それとグレンよ。本当にありがとう。まあグレンならばすぐに勝って帰って来ると信じているぞ」


 そう言って父上が俺に頭を下げてきた。

 一応親子ではあるが。父上はこの国の頂点に立つ存在だ。


 それが王子に頭を下げる。今この場には俺と父上しかいないものの。それがどれだけ珍しくどれだけ父上が俺に申し訳ないと思う感謝をしているのかがよく分かった。

 正直別にそんなことをされなくてもいいのにって思いはある。


 だって、俺は俺が怠惰でぐうたらに自堕落に生きることを許してくれた父上に感謝をしているのだから。

 俺としてもこの国を守りたいと思っているのだから。それに今の俺を殺せる存在ってのは多分ほとんどいないと思うからな。というか俺世界最強だしね。

 まあ、ぼちぼち頑張りますよ。


 でもまあ。あれだな戦争行くってのに余りにも準備が早すぎるし、父上も何か俺が行くってのを信じてた感があるな。


 それに俺の力にも薄々気が付いていないか。だって最後、すぐに勝って帰って来るなんて言ってたし。途中力を隠してるんじゃないかって疑ってもいたし。

 でもまあ腐っても親子だしワンチャン気が付いてるかもな。まいっかい。そういうのを考えるのは面倒だし。


 今の所父上は俺に最高のグウタラ生活を享受してくれてるからな。少なくとも父上が俺に次々と仕事を渡してグウタラさせないようにしない限りは味方でいますよ。例え気がついていたとしても干渉してこないのであれば一切問題はない。


 ――――――――――――――――――

 神器の説明

 神器とは神々が作り上げる人智の力を超えた物であり。その形は剣やら盾やら指輪やらフライパンやらかなり多岐に渡る。

 ただ全ての神器は共通して。その神器に血を登録した者もしくはその血縁者以外扱えないという制約と。神の力またはそれに準ずる力以外では絶対に破壊されず持ち主が念じたらどんな場所にあろうと持ち主の手元に戻るという効果を持っている。


 この国の神器の説明。

 神器・バルラリカン

 杖の形をした神器。

 主な効果は3つ。

 一つ目は【強制昏睡】自分から半径数キロ(所有者の実力に応じで増加)の敵対生物を強制的に昏睡状態にする。

 ただし、この効果は本来の所有者ではない血縁者が使う場合は一生に一度しか使用することが出来ない。また天魔レベルの上位者には効き目が薄いもしくは効果が無い。

 二つ目は【敵察知】・・・この神器を持つ限り自分の半径数キロ(所有者の実力に応じで増加)に存在する敵対生物が誰かを認識することが出来る。制限はなし。

 三つ目は【5弾・魔術】・・・所有者の魔力が許す限りこの杖に内蔵されている。【魔弾】【回復弾】【火炎弾】【暴風弾】【高揚弾】の5つを自由自在に扱うことが出来る。


 因みに神器・バルラリカンは国の王が正式な所有者となっている。しかしながら、本来の所有者つまり。この国が建国された時の初代国王ではない為に一つ目の【強制昏睡】は一生に一度しか使えない。

結構グレンは父上に感謝しているんで。面倒事は嫌いだが多少ならば手伝ってもいいと思ってます。

因みに父上はその事に気が付いていません。

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