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休日は帝国ホテルで朝食を  作者: 岬海斗
1/3

僕と君だけ?!




「夕ご飯、パスタでいいですか?」

と問いかける彼女に僕は

「うん、何か手伝うことある?」


と逆に尋ねる。

すると彼女はニコッと笑って


「大丈夫です。テレビでも見て待っていてください」


と言ってくれたので

お言葉に甘えることにして、コーヒーを片手に明日の天気を確認する。

どうやら朝から快晴らしい。

すっかり冷めてしまったコーヒーを啜りながら新聞を読むんでいると

キッチンからいい匂いがしてきた。


「菅井さん、お待たせしました」

「うわぁ!ペペロンチーノだ!美味しそうだね」

「結構ニンニク入れちゃったんですよ。

でも、明日は休日だからいいかなと思ったんですけど…大丈夫でしたか?」

「うん!全然大丈夫だよ」


テーブルには、少し多めのペペロンチーノと

サラダとミネストローネが並んでいる。

今日は彼女が全て用意してくれた

そして、僕は白ワインを

彼女は何やら美容にいいというお水を

グラスに注いで

向かい合って席に着く

どちらがともなく手を合わせて

いただきますとハモるのも

やっと慣れてきた所だ。


彼女の料理はすごく美味しい

どんな高級なイタリアンよりもこのペペロンチーノは美味しい

なんて言ったら少しオーバーかもしれないけど。

高級なものを一人で食べるよりも真心がこもった料理を誰かと食べる方が何倍も美味しいと思う。


ふと彼女と目があった


「どうですか?」

「すごく美味しいよ。ニンニクも唐辛子もすごく効いてるよ。それにベーコンがいい味出してるね」

「ありがとうございます。タイムセールで安くなってたので思わず買っちゃいました」

「買い物上手だね」

「いえいえ、でも美味しくできてよかった」


彼女も今日の出来には満足そうだ。



あっという間に空になった皿を洗うのは僕の仕事。

家事はほとんど彼女がやってくれる。

僕も何か手伝いたいのだが

仕事から帰ってくると大体終わっているので

夕食後の洗い物くらいやらせて欲しいと

頼んでやらせてもらっている。


洗い物を終わらせて席に戻ると

彼女が食後のコーヒーを用意してくれていた。

ありがとうとそれを受け取って

彼女が夢中になっているドラマを

なんとなく一緒になって見ることにする。



ちょうどエンディングを迎えた頃


「朱音ちゃんさ。明日の朝空いてる?」

「はい、空いてますけど。」

「じゃあさ、モーニングつきあってくれない」

「いいですよ。ここら辺って美味しいパンケーキ屋さんとかあるのかな~。

因みにもうお店とかって決まってますか」

「うん。一応帝国ホテルなんてどうかなって思ってる」

「え、、、」

「いやなら他でも全然いいよ」

「嫌とかじゃなくて。私そんなにお金持ってないです」

「え?いつものお礼で僕がご馳走するよ」

「いいんですか…」

「もちろん」

「やったーー!!」


僕、菅井友也は

女子大生の守屋朱音ちゃんと一緒に住んでいる

因みに付き合っているわけではない。

もっと言うと2週間前までは顔も名前も知らない赤の他人だった。


……………………………………………………………



……………………………………………………………


本当に軽い気持ちだった。

就職して2年目の春

実家暮らしだったけど

そろそろ自立しようかと考えて

家を探していたらあるチラシが無性に気になってなんとなく連絡したのが事の始まり。


そのチラシにはシェアハウスとデカデカと書かれていてその下に諸々の金額が載っていた。

明らかに他の物件よりも安くて立地も写真に載ってる外観もなかなかいい感じだ。

勢いで連絡してしまったが担当してくれた、のりさんは凄くいい人だった。

しかし、のりさんはすっとぼけた所があったのだけど

この時の僕はさほど気にしていなかった。


着々と書類や契約の諸々を揃えて

ひと段落ついた時に僕はのりさんに


「僕以外の入居者ってどんな方がいるんですか?」

「それ聞いちゃいます?」

「はい。お願いします」

「いや、それは当日までのお楽しみです」

「えー教えてくださいよ」

「ほら、あの、若者がシェアハウスするオシャレなあの番組と一緒ですよ」


と言うのりさんに対して何言ってんだこのおっさんとは思ったが、

まぁそれもいいかもと思ってしまい。それ以上は追求しなかった。

この事をのちに後悔するのだが

この時は仲の良い"男"友だちが出来るといいなとお気楽に考えていた。


そして、いよいよ入居日になって

僕は昼頃に、新しい家に着いた

ドアノブを回すとガチャっと開いた

鍵が開いてる。既に誰か来てるようだ。

なんか、少し緊張して来たな

意を決してリビングにはいると

ソファーに美しい顔をした僕と同世代か少し下の女の子が座っていた。

ここで思考が停止しかけたがかろうじて

挨拶と軽い自己紹介はできた。

僕はここであるミスに気づく。

男だけでなく、女性も入居者にいるという事を全く考えていなかった。

だが、もう少し待っていれば次々と入居者が来る。募集人数は6人だったし。

しかし、待てども待てども誰も来ない。

流石に不安になってのりさんに電話する


「あの、他の入居者の方が全然来ないんですけど。僕と若い女性の2人で少し気まずいです」

「え?そこに住むのは菅井さんと守屋さんの2人だけですよ」

「は?」

「ひ?」

「え…?ちょっと一回切りますね」

「はい」


どうしたらいいかわからなくて少し立ち尽くしたが

とりあえずこの事を彼女に伝えないとと思ってリビングに戻る


「あのさ」

「はい」

「ちょっと言いづらいんだけど。ここに住むのって僕と君の2人らしんだよね」

「はい」

「ん?驚かないの?」

「知ってましたよ。でも、家賃は一緒でいいらしいですよ」

「なんとも思わないの…?」

「いや、別に少しでも広く使えてラッキーくらいにしか」

「えっ僕が危ない人だったらどうするの?」

「私、柔道やってたのでそこそこ強いですよ」

「いや、そうじゃなくて…」


と、色々言いたいことがあり過ぎて

何から言おうか考えていると

ぐぅ~とお腹が鳴ってしまった。


「お腹空いたね」

「そうですね」

「時間も時間だし、出前取ろうか」

「はい」

「とりあえずご飯食べてから、色々話し合おう」

「そうですね」


こうして僕たちの奇妙な共同生活は始まった。


to be continued…

読んでいただきありがとうございます。


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