表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
デスゲーム企画株式会社 ー死花お嬢様の狂った人生を豊かにする暇つぶし企画ー  作者: クロイクロ
企画その壱 クラウドファンドゲーム
1/26

クラウドファンドゲーム 開幕

「ああ。つまらないわ。」

 年季が入ったオフィスビルから一人の少女が都会の街道を見下ろしていた。

 曇り空の下でスーツ姿のサラリーマンが忙しなく走り回るありきたりな光景に少女は辟易していた。

 西洋のお姫様のような黒いドレスを着たあどけなさが残る少女が覗いている窓にうっすらとソファーに腰掛けた青年の姿が映っていた。天然パーマで眼鏡をかけた身体の線が細い青年はテーブルに広げられたお菓子を気だるげにつまんでいた。

「ツヅキ。何か面白いことはないのかしら?」

 少女はカーテンを閉めてツヅキと呼ぶ青年に声をかける。

「もうすぐお客様が来ます。それまでの辛抱ですよ。死花(しにばな)お嬢様。」

「ツヅキは冷たいよ!未来の夫として妻の私にもっと構ってよ!」

 死花と言う不吉な名前の少女がふてくされれながらツヅキの隣に大きな音を立てて座った。自分の肩に頬をすり寄せてくる少女の機嫌をとるためにツヅキはスマフォで動画を検索した。

「これとかどうですか?アイドルの熱愛報道の釈明会見。生中継ですよ。」

 ツヅキは悪びれる様子もなく少女に動画を見せた。

陽炎綴木(かげろうつづき)!」

 少女はスマフォを取り上げてソファーに投げ捨てると、ツヅキの頬を握って少女の方に顔を向けさせた。

「私は人の色恋沙汰に興味がないのは知っているだろう?わざとか?」

 あらゆる色を混ぜ合わせたようなドス黒い瞳が困惑する青年の瞳を捉えた。

「すみません。」

 一言で謝るツヅキの鼻を少女はつまんだ。

「私はツヅキの事をこんなにも愛しているのに、ツヅキは私のことを少しも理解しようとしない!私はとても悲しい!」

 ドス黒い瞳を向けて甘え声で詰め寄る少女とそれに辟易する青年の間に割り込むかのようにノックの音がオフィスに響いた。

「お客様がお見えになったようです。」

 青年の頬をつかむ少女の手を優しく解くと、青年は乱れた服のシワを伸ばして扉に向かった。不満げな少女の視線を余所に青年はゆっくりと扉を開ける。



「いらっしゃいませ。デスゲーム企画へようこそ。弊社では人狼、イベント、SNSなど様々なジャンルのデスゲームを取りそろえております。本日はどのようなデスゲームをご所望でしょうか、ゲームマスター様?」



 ゲームマスター(お客様)の要望を叶える安心で安全なデスゲームを企画・運営するデスゲーム企画株式会社の一日が幕を開けた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ