1話
第2章です
ベルウ星をアルウ星という致命的な誤字が発見されました
右手から水面に波紋が広がる
左手に持つカプセルは微動だにしない
壊れてしまったのだろうか?もしそうならどれほど悲しいだろうか
近づいてくる足音
「どうだ、楽しかったか?」
「まぁーまぁーだったよ、でもどうやって来たんだ?ベルーよ」
「なんとなく場所が分かるんだよ」
「なんだ?超能力か」
「正しく超能力といっても過言ではない」
「え?」
「これらの者は脳の制限解除ができているその能力を持つものをワイザーと呼ぶことにした」
「お、おう俺を置いてとんとん拍子に話が進んでいるな」
「最も強い反応を示しているあんたがそれを言うか?」
ボートのはじから水面に手を伸ばし、ぱしゃぱしゃと水面を叩き現実逃避する
ベルーの視線が圧に感じる
「おい、アックスあんたの相棒壊れそうやん直そうか?」
「いいの?」
「あーX-0カタストロの完成度が80%超えたからな」
「おおおおおおお!どんな感じになりそうかい?」
上体を起こしベルーに向き合う
「まず生体金属で壁、廊下、装甲ができている。装甲に関しては生体装甲という名前に代わるがな。次に推進力だが八の字型に水素を回す、片方で核分裂反応、もう片方で核融合反応を起こすことで同じ原子から莫大なエネルギーを取り出せる。この八の字を2つ作る」
「主要ブラスターは4基になるんだな」
「その通り」
「排熱は?」
「水をぐるぐる回す、大量の水を使うが最も効率がいい」
「変わらないね、量産型宇宙船のほうはどうなん?」
「生体装甲は主と呼ばれるものがいないと修理、整備できないから通常の装甲になっている」
「へーーー主ね、何それ…」
~ベルウ星
私にとって親という生物がよくわからない
私はいわゆる戦争孤児だ
母親との最後の記憶は女性の叫びで終わっている
墜ちてくる爆撃
衝撃により半壊する家
昔の記憶に浸っていようと体は勝手に動く
地面を蹴り衝撃と一緒に飛ぶ
飛んでくる瓦礫の側面を叩き軌道をずらす
バク宙をして姿勢を安定させる
守られていない足で着地
やせ細った脚では耐え切れず尻もちをつく
光がほとんど灯っていない目が崩れた家を見る
逃げきれず挟まれた子供の小さい手が伸びてくる
苦しい記憶と重なる
私のことを最後まで思い逃がそうとした母親の最期
必死に瓦礫から母親を引っ張り出そうとして腕が抜けた、あの記憶
そもそもここにいなければよかったんだが、如何せん突然始まり気が付いたら公共交通機関がすべて停止していた
ぐうぅ
可愛らし鳴るお腹
「なんか食べるか…」
幽霊の歩行がごとしふらふらと歩く
この戦場では小さい子供からじじぃまで皆派閥を作って食べられるものを調達する。畑があるわけでもなくできることといえば盗みぐらいだが、対象が軍人しかいなく成功するわけでもなく軍人に捕まり若い女ならレイプされ内臓を売られる、それ以外は若けれ薬の実験台にされたり家畜のえさにされたりする。問題は人間の味を覚えた家畜が病みつきになることだ。人間を求めて脱走した家畜は弱っている人が多いところへ集まる。そりゃそうだ飼い主は皆銃を持っているからな
私より小さい子供が這い出てくる
「た、たすけて」
後ろから犬と狼の間みたいな、犬でいいやが近づいていた
「まず一匹」
すかさず犬の頭をつかむ
貧弱な手ではすぐに振り払われる
牙をこっちに向けて襲ってくる
だがすでにステップは踏まれている
後ろから頭をつかみ持ち上げる
助けを求めていた少年の口がぱっくり空く
床にたたきつけられる犬、何度も何度も
頭蓋骨が割れるまで