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転生したバケモノの自由な生活  作者: 角谷 樹
第一章 過去編
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初めての外出

「龍巳、ちょっと良いか?」


「父上、どうしたのですか?」


 外で身体に重りをつけてランニングとダッシュをしていた龍巳に話しかけた。


 最近の龍巳は『白虎の刀』に認められる為に更にトレーニングの難度や量を上げている。もし重り無しでダッシュされると俺でも見失ってしまうこともある。


「実はな、外に出ようと思う」


「ついにですか」


 これだけ聞くと俺が引き篭もりの様に聞こえるが違うぞ!


「霧の向こうへ出る事ができるが、色々制約もある。レベルが初期化されるし、それにより多くのスキルが使用不可になるだろう。これでも、俺と一緒について来てくれるか?」


 この森の端にある濃霧。俺達は今まであの霧の向こう側に行く事が出来なかった。


 しかしやっと濃霧の向こう側に行く方法がわかったのだ。どうやら向こう側に行くには俺達の力は大きすぎる。


 例えるなら地球に突然島が現れる様な物だ。


 全てがバランス良くなっており、少しずつ変わっていくのだ。


 島だって少しずつ海面から現れていき、長い年月を掛けてその姿を現す。


 なのにいきなり海に島が現れるとどうなるか?


 海の高さが上がるし、急に現れた事で津波も起こるで色々バランスを崩す。


 濃霧はおそらくそんな事が起きないようにする為にあるのだと思う。


「私は父上と共にあります。それに私の目標には父上が近くにいないと私の目標を正確に測る事ができませんから」


 後半の理由は龍巳の照れ隠しだと信じたいよ。お父さんをメジャーか何かと思われていないかパパ心配だよ!



 その時、気配がした森の端、濃霧付近で。それも人間の気配が。その近くにはモンスターの気配もある。


「龍巳!」


「これが人間ですか。では行ってきます」


 転移したとしても速攻での速さは龍巳の方が速い。

 龍巳と同時に転移をしたがやはり龍巳の方が速く動き、既にモンスターの首刎ねていた。


「グッ、グゴゴゴ」


 どうやらまだ生きていたようだ。鑑定と解析で調べると種族はゴブリン、種別はゴブリンキング。


 コイツは普通のゴブリンより繁殖力を落とす代わりに、優秀なゴブリンを産ませ、生命力も高い。首を刎ねたくらいじゃまだ死なないみたいだ。


 ーードオオオオオオォォォォォォォン!


 俺は懐から出したトカレフの形をした銃を取り出し引き金を引いた。


 銃口から出たのは鉛玉ではなく火球だった。


 大きさもバスケットボール程はあり、ゴブリンキングの頭を包み込む程はではない(ゴブリンキングの頭が大きい)が、火球がゴブリンキングの頭を大部分を覆い爆発した。


 これでゴブリンキングは死んだはずだ。気配もなくならないだろう。


「君、怪我はないか?ってあれ?どっかで見たことある顔だな」


 此処に来た原因である人間、それも子供だった。その子供を何処かで見たような気がする。


「あ、貴方はまさか仙人様ですか?」


「あっ、君。1、20年くらい前に来た三郎君?あれっ?10年以上経ってるのに姿が変わってない?」


 あの時は確か10くらいだったけど、今の彼も10歳前後に見える。


「そ、それはおそらく私の父です」


「あっ、そうか。流石にそんくらい経てば子供くらい出来るか」


 もう20年くらい経てば子供の一人や二人出来て当然だよな。特にこの時代は戦国時代だから子沢山は当然。だけど子供が多すぎて家庭が苦しくなり子供を捨てる家庭もある。てか多くあり過ぎて桃太郎の話が生まれたって聞いた事がある。


「君はどうしてこの森に入ってきたんだ?」


「ハッ!この森は元々尾張の者が治めていた土地。今から30年程前に濃霧が森を覆い、濃霧の中に入った者は生きて帰る事が難しいと言われるほどの危険地帯になってしまいました」


 三郎君の息子が膝を着き、頭を下げて喋り出す。


「領土を取り戻す為手下を連れて乗り込もうとしたのですが手下達が腰を抜かしてしまって、私一人で濃霧の中に入ったのですが、鬼の物怪モノノケに襲われ、死にかけたところを貴方方に助けていただいたのです」


 死にかけって、まぁ確かにゴブリンキングだけでなくこの森に棲息する生物からのちょっとした攻撃だけで、外からくる者は全て一撃で即死するだろう。


 まぁ、俺も彼にちょっとでも触って死なないように気を使って距離をとっているのだが。


「仙人様!お頼み申す!どうか、この土地を尾張にお返しいただけないでしょうか!」


「…………少年、今の俺は仙人ではない。賢者だ。まぁ仙人の上位?だ。それと俺はここに住んでいるが此処は俺の領土って訳でもないからな返すもないからな。それにそういうのってやっぱり、上の人が頼むべきだと思うんだ」


 こんな子供に頼ませるべきではない。それにこういうのは色々と条件の話し合いがいる。それは大人の仕事であり子供の仕事ではない。


「君、濃霧から外に出るんだろ?俺達も丁度外に出る所なんだ。でも外に家がない。だから君の家に止めさせてくれないかい?」


「それは私の一存では応えれません。父に話せばなんとかなるとは思うのですが」


 という事で彼を連れて濃霧の中に入っていく。濃霧はそこまで長く続いていなかったようで、すぐに外に出る事ができた。


「「ぐっ!」」


「ど、どうされたのですか!?」


 濃霧を出て俺と龍巳はほぼ同時に片膝を着いた。まさかレベル初期化されると身体が重く感じるとは思っていたがここまでとは思わなかった。


「なんでもない……!さあ、案内してくれないかい?」


 正直言って、愛知県って来たこと無いんだよな。その上今は500年前の愛知県にいるから道路とかないんだよね。ここら辺の地理は全く分からん。


「近くに手下を置いているのでまずは合流しましょう。よろしいですか?」


「あぁ、いいよ」


 少年と近辺を歩く。彼の手下と合流するまでの間話をしてみることにした。


「少年、名前を聞いていなかったな。名前はなんて言うんだ?」


「私の名前は……三郎です」


「へぇ、君の父親と同じ名前か」


「せん、賢者様達は何故森から外へ?」


「呼び辛いだろ?龍郎と呼び捨てで良いよ。あと無理に敬ったりする必要はないぞ。三郎のいつも通りでいい」


「そうか、ではそうする。龍郎は何故外へ?」


「ちょっと見てみたい人が居るんだ。日本を変えるきっかけを作った人を見たくてね」


「日本?それは日の本のことか?」


「そうだよ」


 そんな話をしながら歩いていると、子供の声がした。


「離せ次郎!私はこの霧の向こうへ行かなければ行かないのだ!」


「ダメです!大人を待ちましょ!?帰らずの森は危険です!俺達子供だけで入って帰って来れるとおもってるのですか!?」


 一人の身なりの良い少年をボロを来た少年が肩に腕を回して必死になって止めていた。


「クソッ!三郎様ー!」


「呼んだか?」


「三郎様!?」


 止められている少年の声に三郎が応えると少年がすぐさま反応した。


「よかった。生きておられたのですね!」


「ああ、この方達に助けてもらったのだ」


 三郎君が俺を紹介する。


「勝三郎、聞いて驚け!この方達は我が父の命の恩人である仙人様だぞ!」


「なんですとー!」


「今は賢者だけどね」


「ケンジャ?」


 三郎君の手下とも合流したので、三郎君の家へ向かうことにした。






「えっ?ここって……」


「龍郎達は此処で待っててくれ」


 三郎君は勝三郎君と一緒にに入って行き、俺と龍巳は門前・・で待つ事になった。


 そう、城だ。かなり時間をかけてここまで来たのだが、正直ここがどこの町なのか知らない。しかし此処に城があるのだから大体の予想は出来る。


「父上この建物はなんですか?」


 龍巳は初めての外の世界の建物に興味深々のようで、特に城は見た事が無いので、興味が湧いてくる様だ。


「これは日本の城だ。まぁ日本独特の領主の家だな」


 趣味で小説を書いたり、漫画を作るのだが、それを龍巳が時々見たりするのだ。


 ジャンルが大体異世界ファンタジーか現代ファンタジーで、歴史は全然作らない。なので龍巳は西洋の城や屋敷はどんな物かは知っているが、日本の城は殆ど知らない。


「これが領主の家なのですか」


「今の時代は王や貴族の社会じゃなく軍人の社会だからな。日本じゃ武士や武将だな。その武士武将が領主となってこの国を治めているんだ」


 歴史は基礎的なものとネット小説での知識くらいだからあまり歴史チートとか出来ない。


 しかし俺の知識がどれだけ歴史に影響を与えるか判らない。あの霧の森が出来た時点で歴史が変わっているだろうし。


「龍郎殿、父上が会われるそうです。ご同行願えますか?」


「わかった」


 三郎君が戻って来て俺を彼の父の元へ案内してくれる事になった。


「三郎君」


「なんでしょう」


「三郎君の家名って織田かな?」


「そうですよ、俺は織田の者です」


 やっぱり。てことは三郎君が。


「着きました」


 どうやらもう着いたようだ。

 部屋の中へ三郎君から入って行き、それに続いて俺と龍巳も入って行く。


 中に入ると中には三郎君、俺、龍巳の他に一人だけ、30代の渋めのイケメンおじさまがいた。


「仙人様、いや今は賢者様でしたな。ご無沙汰しております」


「やあ久しぶり、三郎君。あっ、三郎君二人いるね。なんて呼んだらいい?」


「そんですな。では改めまして、織田弾正忠信秀と申します。信秀と呼んでくだされ」


 織田信秀、尾張の武将で器用の仁、尾張の虎と呼ばれる。そして織田信長の父だ。


「賢者様が連れて参った者は我が嫡子、織田三郎信長です」


「織田三郎信長です。此度は命を助けて頂き感謝致します」


「ワシからも。私の命だけでなく息子の命まで助けていただき感謝致す」


 織田親子が頭を下ろし俺に感謝を示す。


 しかし、まさか俺が伝説の三英傑の一人とその父親に頭を下げて貰うとは思いもしなかった。


 家族に自慢出来るな!



ソロソロ現代ファンタジーに入りたいのですけどね。全然話が進まないんです。


あと数話で現代ファンタジーに入りますので暖かい目で目守って頂ければ幸いです。



誤字脱字を教えて頂ければありがたいです。

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― 新着の感想 ―
[一言] 襲われてたのはオークキング?ゴブリンキング?どっち?
[一言] 織田弾正忠家信秀 家は要らない。
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