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転生したバケモノの自由な生活  作者: 角谷 樹
第二章 現代編 刑務所暮らし
36/37

異能【呼吸】の謎の男

「お前は一体何者で、何をしようとしていた!」


 正直、俺はかなり困惑していた。あのシュゥゥゥゥゥゥって音が聞こえるまでその存在を感じる事が出来なかった。それに加えて指とはいえ自分の身体を傷つけた事には特に驚いた。普通の人間が俺に傷をつけることなどできないからだ。


 その上刃物ではなく、定規で、斬り落とされた事にはショックを受けた。


 高い隠密能力に、俺の身体を切り落とした技術力と身体能力。俺はここである事を思い出した。


 俺ですら感知できない程の隠密、隠蔽能力と地球人よりも高い身体能力。これはあれだね、さっき聞いた異世界人の特徴だ。


「答えろ!お前は一体何者だ!」

「ん?あぁ、俺は……その前にお前、誰だ?」


 考え事をしていて彼の声が聞こえていなかった。


「俺は呼野この神楽かぐらだ!」

「そうか、呼野君。君は何故俺にその凶器?定規で襲って来たのかな?」

「お前がこの人達に危害を加えようとしていたからだ!」


 彼の理由はまだ少し続き、まず始めに俺が三人組を痛め付けていたこと。三対一とはいえ過剰なまでの暴行。最後に彼等の顔に手を近づけ、邪悪な顔で笑っていたことからロクでもない事をしようとしていたのだろうと思い俺を襲って来た、と言うことらしい。


 うん、これは俺が悪い。


 ちょっと本気を出してヒィヒィ言わしてやろうと思ったが彼がこちらを攻撃する理由は善意からと俺が悪役ぽい事をしていたから彼の正義心が刺激されて攻撃したから、俺が彼をどうこうするのは間違ってる。


「なるほどなるほど。本来なら暴行と傷害の現行犯で逮捕するところなんだけど原因は俺にあるようだ。此処は見逃してあげよう。さらば!」

「させると思うか?」

「ヘブッ!?」


 後ろを向き、ジャンプをしてこの場合から去ろうとしたら脳天に硬い物をぶっ叩かれた。余りの痛さにバタバタと頭を押さえながら悶絶していた。


「痛い痛い痛い痛い痛い痛い!?何故だ!?何故俺が痛みを感じているんだ!?」


 俺には耐性スキルやステータスの能力値で殆どダメージを受けないし、痛みを感じることもないのだが、今の脳天のヤツはメッチャ痛いんだけど!


「これは、あの人達の痛みはお前が今感じている痛みよりもっと痛いんだぞ!」


 俺の脳天を叩いたであろうまだ鞘から抜かれていない刀を持った呼野が叫ぶ。そしてまたその刀を俺の方へ振り下ろそうと刀を上にあげて構える。


「シィィィィィィィ!」


 呼野の全身から神々しい闘気が荒々しい炎のように溢れ出し、蝋燭の火のように滑らかなモノへと変わった。そして俺は五百年ぶりに感じた。死の気配を。自分が死ぬ可能性を。その瞬間、刀が振り下ろされた。


「っ!」


 俺は地面に手を置き、指に力を入れ一気に握るように力を入れた。


 ーードオオオオオォォォォォォォォォ………


 一振りで振り下ろされた地面は吹き飛び、呼野の正面にはその衝撃の余波だけで周囲のものが破壊尽くされていた。


「ブゥッ!あっぶねぇ!もうちょっと遅れてたら死んでたな!」


 そして俺は呼野の正面の奥、建物の壁に指の力だけで移動して衝突したのとさっきの攻撃で崩された瓦礫が落ちてきたが、呼野の攻撃の余波で受けた擦り傷以外どこも怪我していない。


(マジでヤベェな。まるでダンピールの信龍達みたいに強いな。それに傷の治りも遅い。こりゃ、呼野君。彼の正体はダンピールかな?)


 ーーギィーン!


 俺の姿を確認した瞬間、彼は既に俺の目の前までいて斬り掛かっていた。


 俺は(魔)目を通して彼の血管、筋肉、骨、神経などを見、把握し、彼の行動を予め予測していた。


 だから瞬時に手の指先から肩まで、足の指先から付け根までに『応龍の装備』を召喚、装備して、彼の攻撃をなんとか防いだ。


 俺で聞いたら一撃だが、実際にはほぼ同時の四連撃だった。


(表情が殆ど変わらないし、汗も殆どかいていないから呼野君が何を考えているか読めないな)


 先程まで怒りを表情に出していたし、声も出していたから彼がその時何を考えていたのか読み取る事が出来ていたのだが、戦闘に入ると急に表情が抜け、唯俺を殺すと言う事しかわからないような、怒っている様な顔をしていて彼の思考を読み取る事ができない。


 今までの俺の戦闘スタイルは相手の思考を読み、文字通り相手の身体中の動きを見て次の行動を予測して戦うと言うものなのだから、彼からは身体の動きからしか次の行動が予測できないし、正直早すぎてガードしかできない。


(そろそろ【解析】をかけるか)


 えっ、なんで今までやらなかったのかって?


 それは【解析】はある程度情報を得ないと効果を発揮できないからだ。知らない事は知らないし、正しい情報から真実を導き出すのが【解析】なのだ。


 ーーーーー


 名前:呼野神楽

 年齢:17

 種族:人間

 職業:無職

 レベル:50

 状態:健康

 HP:8,000/8,000

 MP:0/7,000


 筋力:3,000(60)

 耐久:2,000(40)

 敏捷:3,000(60)


 器用:3,000(60)

 賢さ:1,500(30)

 精神:2,500(50)


 幸運:5,000(1,000)

 異能:50,000(10,000)

 SP:250


 戦闘

【刀術Lv.Ⅹ】【剣豪術Lv.Ⅹ】【剣聖術Lv.Ⅹ】【剣神術Lv.Ⅹ】


 異能

【呼吸】【伝授】


 特殊

 【HP自動回復Lv.Ⅹ】【MP自動回復Lv.Ⅹ】


 称号

【先祖返り】

 ーーーーー


 これまで見てきた中で俺達吸血鬼以外で最も優れている能力値とステータスだ。


 異能を二つ所持している事には驚いた。今の世代では持っているか持っていないかなのに。


 その上、特殊スキルは俺達吸血鬼とダンピール以外は持てなかったはずなのに、彼はそれを持っている。完全に異常だ。


【呼吸】は空気と一緒に別のエネルギーも吸っている様で、それで自分の肉体を空気で強化、更にそのエネルギーで拡大を変異、強化させるものの様だ。


【伝授】はそのまま、自身の技術、異能すらも教え、身に付けさせる事ができるらしい。


 こんな強いのを量産できるのか!と驚いたが、どうやら異能を身に付けさせるにはそれなりの才能と肉体の資質が必要みたいだ。


 魔眼も合わせて彼の身体を見てはどうやら称号の【先祖返り】にある様に彼の身体は俺達吸血鬼に近い様だ。特に心臓と肺は異能の【呼吸】もあってか特別性らしい。


 ドドドドドドドドドドドドドドドドッ!


 そうして彼の解析をしている間にも彼の攻撃は止まらない。


 そして俺は違和感を覚えていた。俺でも捉える事が難しい速さ(捉えれない訳でもない)と重い攻撃がなされているのに、どうして彼の能力値が俺よりも低いのか、と。


 因みに俺のステータスはこうなっている。


 ーーーーー


 名前:柳田龍郎

 年齢:490  種族:吸血鬼

 職業:大賢者 レベル:1,000


 HP:400,000/400,000

 MP:340,000/340,000


 筋力:100,000(100)

 耐久:100,000(100)

 敏捷:100,000(100)

 器用:100,000(100)


 精神:105,000(105)

 知力:110,000(110)

 魔力:125,000(125)


 幸運:100,000(100)

 SP:100


 ーーーーー


 能力値はこんな感じで圧倒的に俺の方が能力は優っているはずなのに彼の攻撃を防ぐ事しか出来ない。


 そして俺は気づいた【呼吸】が彼の能力を強化しているのだと。そして俺がさっき見た彼のステータスは【呼吸】を発動していなかった状態だったのだと。


 ーーーーー


 名前:呼野神楽

 年齢:17

 種族:人間

 職業:無職

 レベル:50

 状態:鬼化

 HP:400,000/400,000

 MP:0/7,000


 筋力:150,000(60×50)

 耐久:100,000(40×50)

 敏捷:150,000(60×50)


 器用:3,000(60)

 賢さ:1,500(30)

 精神:2,500(50)


 幸運:5,000(1,000)

 異能:50,000(10,000×10)

 SP:250


 ーーーーー


 状態が鬼化している上に、肉体系能力値が50倍されてるぅ!?そりゃ俺よりも早くなってる訳だ!


 俺だって魔法で能力を増大させる事は出来るが、それには少し魔法を使うための集中がいるのだが、彼が全然それをさせてくれない!


「シュゥゥゥゥゥゥ!」


 次の攻撃には俺の指を切り下ろした様に炎まで纏う様になった。これ、魔力で生み出された炎だな。


(って待てよ!さっき確認した時、呼野君にMPは0/7,000と表示されていた。てことは魔法が使えないはずだぞ!?)


 ーーボオオオオォォォォォォォ……


 炎を纏った刀が俺の右腕の籠手に当たる。あれ?


「っ!」


 俺は右手で防いだ刀を左手で掴む。


「っ!?」


 刀を俺の手から抜こうとする呼野だが、握っている刀が俺の手から抜けずにいた。


「シィィィィィィィィィ!」


 先程とは桁違いの力で、刀を引っ張られるが俺も力を込めて刀を握るから俺の手から刀は抜けない。


 ーーブチッ、バチッ!


 とてつもない力で引っ張られるから、今まで切れなかった事が不思議な、刀の紐が引き千切られた。


 その反動で呼野は後ろに動くが足を軸にして回転し、抜き身となった刀の刃を俺に払う。


「シュゥゥゥゥゥゥ!シィィィィィィィィィ!」


 最初の呼吸音の後に刀から炎が吹き出すが、次の呼吸で炎の勢いは弱まっていく。しかし刀の動きは加速し、強烈な一撃が俺の頸に当てられた。


 ーーザッ!ブシャー!


 俺の頭は撥ね飛ばされ、宙を舞った。首が無くなって血の吹き出し、血の雨になる。


「……………ハァ」


 それを見届けた呼野は安堵した吐息を零し、振り返ろうとする。


「!?」


 しかし、動きが止まり、びっくりする様なゾッとする様な反応を見せた。


 何故なら首のない俺の身体が倒れる事もなく、首がないのに、ゆらゆらと動いてその頭のない首だったところをピタッ、と落ちてきたからだ。


「いやぁ、驚いたねぇ。今回はマジで死ぬかと思ったわ。なんか焼けてちゃんとくっついてないけど、まぁすぐ治るだろ!」

「なんで、お前……!?頸を斬ったはずなのに!」

「残念でした!俺はこれくらいでは死にませぇん!まぁ、痛かったけどさ」


 俺の生命力はゴキブリ以上だから、頸を斬られようとも、頭を潰されようともすぐに再生、回復をして復活できるのだ!


 まぁ、ダンピールや彼の様な者に合わされた怪我は人間並の回復スピードになるから、今回の頸を斬られたのはラッキーだった。


 だって頭を潰されたらそこから人間並みの回復速度で再生されていくから何百年かかる事か。斬られただけなら繋げて置けば接触部分の回復を待てば良いからな。


 まぁ、押させてなちゃ首も落ちちゃうんだけど。


「あぁ、それと。【鬼血操・拘束】」

「ぐっ!」


 また俺の頸を斬ろうと構えた呼野を【鬼血操】で拘束し、身動きを取れなくする。


【鬼血操】とは読んで字の如く、血を操る能力。更に鬼である俺の血なので特別性で普通の血よりも当然に強い。


 どれくらい凄いのかは説明しづらいから省く。まぁいずれ説明できる時が来るだろう。


「短い間だったが俺は疲れた。俺を疲れさせるなんで凄いんだからな?誇りに思えよ?てことで俺は帰る!またな」

「待て!」

「アディヨス(これ、また会おうって意味だっけ?)」

「コォォォォォォォ!」


 また【呼吸】でなんかしようとしているので、俺は転移で刑務所に戻る事にする。


 最後に見えたのは目の前まで迫っている呼野だった。



「あっ、柳田さん。お帰り」


 俺が刑務所の食堂に転移して最初に見たのは霊道君だった。


「おっ、ただいーー」


「ただいま」を言い合える前に俺の身体はバラバラの肉片になった。


「ぎゃぁぁぁぁぁぁあああああ!!??」


 肉片になる俺を見て、霊道のあげた叫び声が食堂に響いた。

面白いと感じたらブックマーク、高評価、感想をお願いします。


誤字脱字を教えていただければありがたいです。


呼野神楽の年齢を変更しました。

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