ちょっとした脱獄の休日
バケモノのワンパンで滅ぼした翌日。
朝から自分は何故働かされているのか悩む時は無いだろうか?
確かに戦争や戦は現代の法なら犯罪なんだろうけど、戦争だから罪には問われない。でも最近になって法が改正され、俺みたいに元気な奴(俺達くらいしかいないと思う)はこのように収容される。
ただし、彼らは国の為に活躍したので、捕まるなら今の俺のように高級マンション部屋での生活が保証される。
まぁ捕まる対象が俺みたいな元気な人なので、結局俺達吸血鬼くらいしか捕まる対象にならない。
それに俺達全員を捕まえたら彼等政府やここの人達の負担が大きいので、分身を働かせて本体は特に何もしていない俺なら捕まっても問題ないという事で収容されたのが真実なのだが、まぁ俺も捕まっても仕方ないかなと思ってます。
色々考えてるがそろそろ本題に入ろう。
俺の仕事は主に世界中の監視だ。分身を世界中に送り情報収集を行なっている。全部分身にやらせているから楽に見えるかもしれないが、分身を解除してまた出現させてを送り返す。これを毎日やっているから結構キツイんですよ?
それに最近は此処に収容されたから此処の囚人達の世話をしなきゃならないし、今日は昨日の刑務所の修復をやらなきゃならない。
直すのは一瞬でも数が多いし、離れた場所にもあるから一々移動して直すのはメンドイ。
「そろそろ脱走するかな」
ここのところあまり暴れていないからストレスが溜まってるんだよね。うちの囚人達相手には出来ないし(弱いから)、此処で暴れたらまた仕事が増えるからな。
此処に収容された時にいつでも何回でも脱獄しても良いと言われているので早速脱獄の準備をしよう。
「まずは俺の代わりに働いてくれる分身からだな」
一体の分身を生み出す。
「ちょっと出かけてくるから、代わり頼むな」
「頼まれた」
そういう事で、脱獄しますか!
よく考えたらどうやって脱獄するか考えていなかった。正面突破の力押しは周囲に被害が出るし、その被害も俺があとで面倒見ないと行けないから、破壊行動はできる限り避けたい。
壁を透過していくのも流石に彼等(警備の人)の成長の為にならないからこれも無しの方向で。
……転移すれば一発で脱獄ができるんだけどね。
脱獄は一応許可されてるけどリクエストが刑務所の成長に繋がる仕方で脱獄してほしいと要求されているのでそうしたいのだけど、どうやってそのリクエストに答えるのと同時に脱獄するかが問題だな。
「……正面突破しか思いつかん!」
正直能力を使う前に彼等には超人的な身体能力を持った相手にも対処できるようになってほしい。始めはそこからだと思う。
まずは超人的身体能力から対処させ、対処できるようになったらスキルの方も使っていこう。
「じゃ、行きますか!」
ということで脱獄を始めた。
方法?壁をぶち抜いての突破ですが何か?
「囚人が脱獄したぞー!」
「あの方は!?全員!全力でやらないと死ぬぞ!」
壁を突破して外に出ると看守アンド警備をしている特殊警官隊の皆が集まり騒ぎ出した。
しかし失礼じゃあないかな?別に殺したりしないよ。まぁ、俺がいなかった間に鈍ってないかなチェックはさせてもらうぞ。
鈍ってたら?そりゃ分身に扱かせますよ。
「抜き打ちテストだ。テメェら、鈍ってたら怪我すんぞ!本気でかかって来い!」
「ぬるい、ぬるすぎる!お前ら!後で地下の訓練場に行け。鍛え直してやる」
体力が尽きかけて動けない隊員達を残し俺は壁を飛び越えて刑務所の外に出た。
「こういう時は、娑婆の空気はウメェぜ!だっけ?」
「お勤めご苦労様です、父上」
「出迎え、ご苦労。龍巳」
俺が刑務所の外に出て、釈放ネタのセリフを言うと龍巳がいつのまにか現れ付き合ってくれる。俺の完全な気まぐれだったのに、よく俺が脱獄したのがわかったなと感心した。
「龍巳、ちょっと腕出して」
「どうぞ」
「ちょっとチクッとするからねぇ」
お医者様のように彼女の腕を左手の指でちょっと締め、血管を浮き上がらせる。
「【浄化】」
消毒効果のあるスキル【浄化】で手を消毒する。右手の人差し指の爪を鋭く伸ばし、血管に近づける。そしてプスッ、と一気に刺し、すぐに抜く。
「はい、終わり。あとは兄弟達にも信秀君達にもこの情報を渡しておいてね」
「承りました」
頷くと龍巳は姿を消した。
俺達が先程までしていた事は簡単に言えば情報共有だ。前回、バケモノを殺しその肉と魂を食らった事で奴らについてのデータが俺の中に生まれた。そのデータをコピー&ペーストする様に、龍巳の中は移したのだ。
俺の身体って何年も使ってるけど、マジで不思議だわ。謎が多いね。
「今日は何しようかなぁ。まっ、決めてるんだけど。【探索】たったのこんだけか。意外と少ないな。【領域】、【領域拡大】」
【探索】はそのままで俺の求めているモノを見つける。今回の場合はバケモノだ。【領域】は昨日習得した新しいスキルだ。
昨日のバケモノが持っていた能力で、あの空間の裂け目の向こう側の世界。霊道君達とバケモノしかいなかったあの廃墟の世界がこの【領域】で作られた世界なのだ。
領域というだけあり、この能力は自分に有利な世界を作り出す能力なのだ。例えるならこの領域内にいる全ての生物の位置がわかったり、どんな話、行動をしているのかがはっきりと把握できてしまう。
その他にもこの領域ないなら【領域】以外の自身の能力が全てパワーアップされるという特典付き。
あと、領域内なら空間を自由に操作できる。大体の人がしっているであろう同じところを何回も回るってヤツや下がバラバラの狂った空間も出来る。
まぁ射程範囲が一キロ圏内までだったのだが、またまた新しく習得した【領域拡大】で射程範囲が地球丸々包み込めるようになった。
これまでつい最近習得した【領域】のメリットなのだが、当然デメリットもある。
それは、燃費がクソ悪い事。
ここまで自分に都合が良い能力っていうのは当然欠点があるモノだ。【多重分身】だって、自分と同じくらいの力を持っている上に記憶まで共有できる。代わりに数を多くするほど、長く出現される程、解除した時の頭の整理に負担が掛かる。
【領域】を継続させる燃料はMPで、一秒間に10ずつ減っていく。今の俺のMPは凡そ四二万程なので、大体九時間半程の維持が出来る。
これまでの説明でなんとなく理解していると思うが俺がこれから何をしようとしているかは予想できているだろう。
そう、
「世界中のバケモノを、タイムアタックで滅ぼしてみた。って事でーー」
その場から消え、先程とは違う場所。そこには昨日倒したバケモノに似たモノがいた。
「ーー最初にイッパッーツゥッ!」
グーパンで一撃必殺。バケモノは俺の一撃で肉片となった。
「次、はーー」
「ーーお前じゃー!」
「グガァァァ!」
なんか鬼みたいなら人型のバケモノも一撃でその体の殆どを失って、倒れた。その体のは俺のアイテムボックスにしまって置いた。
「次!」
それから俺は領域内にいる全て凡そ千体を九時間程で殲滅した。
「ハァ、ハァ、結構、ハァ、ハァ、時間掛かっちまったが、ハァ、ハァ、なんとかなったな!」
良い汗かいたぁ!って感じで額を拭い、【領域】を解除した。
他のスキルを使えばもっと早くに終わらせる事もできたのだが、使えばMPを消費してしまう。それはつまり【領域】を維持する時間が減るという事だ。
だから今回は【領域】の能力と身体能力だけでやった。
良い運動、良いストレス発散、良い休日になったな!
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