動物を見つけた!そこから月日は流れ
すいません遅くなりました。
小屋には必要最低限の道具と近くに川があったのだが、食料がなかった。
幸い霧も薄くなってきたのでこれから狩に行こうと思う。もうサバイバルだ。
武器防具は小屋には揃っているのでそこから使おうと思う。
武器は短槍を手に、剣を右腰に差し、ナイフを左腰に差した。
弓は全然経験が無いから無理。ボウガンがあれば何とか行けるかな。射的は結構得意なんだけど、此処にはおいてなかった。まぁ、スポーツ全般が得意で、やった事はないが槍投げも練習すれば遠距離武器として使えるだろう。
「無ければ作れ、て事なのか?」
ボウガンか猟銃でもあれば槍を投げずに済むのだが仕方ない。
しかし明らかに俺をサバイバルさせる様に仕向けてるとしか思えない状況なので、あの自称女神は俺にサバイバルをさせて文明を作れと言いたいのだろうか?
『投擲L vⅠを習得しました』
槍投げの練習をしていると頭の中で声が聞こえた。
ステータスを確認すると技能系スキルに『投擲LvⅠ』が追加されていた。
「特定の行動を繰り返しするとスキルを獲得出来る、マンガみたいだな」
槍投げの練習をして満足出来る結果が出せたので短槍を片手に森に入ったが全く獲物を獲る事は出来なかった。
見つける事は出来たのだが、向こうの方が俺よりも早くに気づいて逃げていくのだ。
というか、サバイバル素人の俺にどうしろと言うですかね?ボウガンくらい置いててくれてもいいのに!
「っ……」
俺に気づいていないだろう動物を見つけた。見つけたのだが……
「子熊はねーよな……」
木の影に隠れて子熊の様子を見たが、なんだか様子がおかしい。
子熊は地面に倒れたまま動いていないのだ。呼吸はしているようで胸の部分は動いているが、その動きは早い。
「まさか!」
俺は子熊に近寄り、子熊の様子を調べると毛でわかりにくいが、どうやら傷を負っているようだ。それも複数だ。
尖った物が刺さっていた様に傷口が空いていたので、最初は人にやられたのかと思ったが、もう少し調べるとその傷口とほぼ等間隔で同じ様な跡が幾つもあり、その跡が弦を描く様にあったので獣の類の歯型だと分かった。
「歯型の細さから顎の狭い獣、イヌ科の動物か。とりあえず、運んでくか」
こんな死にかけの子熊がいればいつ肉食動物に襲われてもおかしくない
死にかけている子熊を抱き抱えて小屋までもどった。
「どうするかな」
日が沈みだし、辺りが暗くなり出した。
子熊を小屋まで連れてはきたが、これからどうすれば良いのか。俺に医療の知識なんてないぞ。ちょっとした傷ななってなんとかするくらいしか思いつかないぞ。
「そういえばスキルに鑑定と解析があったな、コイツについてなんかわかるかも。鑑定!」
『視覚情報から判断します。種類はツキノワグマ、生後3ヶ月、日本在来種』
「はっ?ツキノワグマ?日本在来種?日本ッ!?」
鑑定をかけたら種類にツキノワグマと日本在来種と頭の中に男の声が聞こえて驚いた。特に日本在来種の日本に。
「どう言う事だ、俺は異世界に転移させられたんじゃないのか?」
可能性としては異世界へではなく、日本の何処かの森に転移させられたか、この子熊は俺に巻き込まれてだが、後者の可能性は流石に無いだろう。
あの時は俺の他に自称女神とアマテラス様しかいなかった上に、あの場所に他の生物が入り込めるとは思えない。
「そんな事、今はどうでもいいか。何とかこの子を助けてやりたい。解析!」
『傷口、歯型から種類はイヌ科の生物により付けられた物。
状態:呪い(中)、衰弱、回復阻害
生存率60%
傷口から呪いの反応があります。
現在の状況から呪いをかけた呪術士を殺す必要があります。
呪いを無くしたら応急処置として薬草を使うと傷の治りが早くなります』
「呪い、か。呪いの相手は人間か?」
正直酷い事をするなと思ったが、狩りをする場合は効果的か?
「この呪いの具体的な内容を知りたい」
『スキル『鑑定』と『解析』による答えを出します。『呪い』とは呪術士による攻撃の一つで、かけられた呪いによって効果が変わります。このヒグマにかけられた呪いの効果は回復阻害と麻痺と呪術士本人に呪いの対象の位置を教えます』
「…………マジかぁぁぁぁあああああ!!!!」
ーーアオオオオオオオォォォォォォォォォォォ!
俺の叫びを肯定する様に狼の遠吠えが聞こえた。
「マジかよ……」
小屋の出入り口から外を見れば灰色の毛並みをした俺の胸辺りまである大型の狼がいた。それも一匹だけでなく、最低でも5匹はいる。
「鑑定、解析!」
『視覚、聴覚情報から鑑定、解析結果をお伝えします。種類はグレイカースウルフ、異世界生物。牙で呪いを刻み付けます。レベルは平均8です』
現在の俺のレベルは光合成とアマテラス様の加護と成長加速のおかげで5だ。因みに成長加速とは獲得経験値をレベル×10で得られる。まさに成長チートだが今のレベルでは完全に不利な状態な上にこの小屋の出入り口は今俺が外を見ている此処だけだ。
もうグレイカースウルフは小屋を取り囲んでいる。外は逃げたとしてもすぐ追い付かれて殺される。
唯一の幸いは一つしかない出入り口があの狼達には一匹ずつしか入らないくらい狭いことか。他にも隙間となる窓などはあるが流石に通れないだろう。
つまり奴等はこの出入り口でこちらにやってくるしかない。
今ある武器は森に入った時のまま、短槍に剣とナイフだけしかない。
「こんだけで、何とかするしかねぇか」
「いつになったら来るんだよ……」
いつまで待っても狼共は小屋に攻めて来ない。
どうやら俺に警戒させて精神を攻めてくる様だ。
「ついに来たか」
俺を警戒させると同時に奴等も此方を攻める事を我慢する必要がある。その上奴等の口からは大量の涎を垂らしているからどう見ても長く我慢できる様には見えない。
狼共は予測通り唯一の出入り口へ向かってきた。俺は短槍を構えた。
まず最初にやって来た狼の頭を短槍で突き刺し、ソイツを蹴って槍を引き抜く。次に向かって来たのも短槍を突き刺したが深く刺さり過ぎて抜くには時間がかかる、狼ごと槍を捨て、腰の剣を抜く。
『レベルが上がりました』
『槍術L vⅠを習得しました』
「合計8匹か!」
5匹かと思っていたがまだいたようだ。
小屋の中では剣を振り回さないので外に出た。
「「「「「「「「ヴォウ!」」」」」」」」
俺が外に出た事で、狼共が一斉に襲いかかって来た。
高い奴から倒していったが捌き切れず、噛まれたりした。
噛み付いて離れない奴にはナイフを頭に刺して仕留めた。そいつが付けた傷口は普通では考えられない様なスピードで傷口が塞がっていく。
『剣術L vⅠを習得しました。
レベルが上がりました。
剣術L vⅡになりました。
超速回復L vⅡになりました』
「これが超速回復か」
それからも狼を殺し、殺した狼によって付けられた傷も先程と同じように治りを繰り返し、全ての狼を倒す事が出来た。
月日は流れは流れ、転移?転生?されて2年が経った。
俺は此処が異世界ではなく、約500年前の日本だとわかった。
理由としてはまず鑑定と解析で木と地質を調べた結果、この土地が日本の愛知県にある事がわかった。
そして俺が最初に飛ばされた時にあった霧なのだがずっと晴れる事は無く、疑問に思って鑑定と解析をかけたら、『調整の霧』という答えが出た。効果は俺のレベルに合わせてグレイカースウルフの様な異世界生物、魔物のレベルが上がり、生成されるらしい。あと他に今環境を変えることもあるらしいが、魔物が現れる以外には特に無かった。
2年かけて魔物レベルを上げる効果は停止させたが、魔物のレベルはそのままだった。
因みに俺のステータスはこうなっている。
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名前:柳田龍郎
年齢:2 種族:吸血鬼・真祖(突然変異)
職業:闘豪(56)、魔導士(52)、錬金術師(52)、神官(50)、鍛冶士(45)、呪術士(23) レベル:534(38,000/535,000)
HP:8,010/8,010
MP:6,942/6,942
筋力:2,670(5) 耐久:1,602(3) 敏捷:1,068(2) 器用:2,670(5)
精神:2,670(5) 知力:2,670(5) 魔力:1,602(3)
幸運:534(1)
SP:68
武術系スキル
武術L v.Ⅴ
魔法系スキル
太陽魔法L v.Ⅲ、低級属性魔法L v.Ⅹ、中級属性魔法L v.Ⅴ、白魔法L v.Ⅴ、黒魔法L v.Ⅴ
技能系スキル
鑑定、解析、応急処置L v.Ⅹ、治療L v.Ⅹ、製薬L v.Ⅹ、魔力感知L v.Ⅹ、魔力操作L v.Ⅹ、魔力制御L v.Ⅹ、錬金術L v.Ⅷ、気配察知L v.Ⅷ、気配遮断L v.Ⅷ、投擲L vⅥ鍛治L v.Ⅴ、採掘L v.Ⅳ、工作L v.Ⅳ、細工L v.Ⅳ、建築L v.Ⅲ、料理L v.Ⅲ
耐性系スキル
完全全体耐性L v.Ⅹ
特殊系スキル
日光克服L v、光合成L v.Ⅱ、成長加速L v.Ⅱ、超速回復L v.Ⅴ、テイムL v.Ⅹ、多重分身L v.Ⅹ、仙法L v.Ⅴ、呪術L vⅢ
加護
異世界の生誕神の加護(小)、日本の太陽神の加護(極大)
称号
『夜の帝王』『吸血鬼の始祖』『人外となりし者』『弱点を克服した者』『太陽の寵愛を受ける者』『時空を渡る者』『壁を超えし者』『限界を知らぬ者』
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比較対象がこの森に住む魔物しかいないので自分が強いのかがわからないから自分の強さを正確には測れないが、もう既に一般人を越えている事は理解している。
レベルは日頃の狩りと光合成にアマテラス様の加護と成長加速の影響で、534まで上がり、能力値もサバイバル生活のお陰で少し上がった。
それと飛ばされて初めて戦った時の前に助けた子熊だが、あの時の狼を倒した事により、子熊の呪いは解けたが傷が俺のようにすぐ治るわけでもないので俺が看病をしたからか、俺に懐いた。
それからその時に『応急処置』というスキルを習得したのでスキルレベルを上げるために傷ついた動物を見つけたら、治療を施していけば『応急処置』はL v.Ⅹとなり、勝手に『治療』というスキルを習得した。レベルはそれ以降上がらないのでこれでカンストなのだろう。
スキルも多くなり、このままじゃ器用貧乏になると思い悩んでいた時、解析で去年まで何に使えるのか分からなかったSPの使い道がわかった。
どうやらこれはSPを消費してスキルを獲得する事が出来るようだ。
なのでその時抱えていた問題を解決する為に『多重分身』のスキルを取得した。これはスキルレベル×1体の分身を生み出せるようで、生み出した後にスキルを解除すれば、記憶や感覚が本体にも来るようだ。
これのお陰で多すぎるスキルの育成もでき、気付けば『多重分身』のスキルもL v.Ⅹとなっており、分身の数を無制限に増やす事が出来るようになった。
なので、一人一つのスキルを育成してもらうようにして、かなり楽にスキルの育成と他にも何体かは現代の物を復元できないか試している。それと元の時代に帰れないかも。
『多重分身』のお陰で俺一人では出来ないスピードで俺の目的達成されている。
「まぁ、解除したら負担がめっちゃ凄くて長くは出来ないんだけどな」
さっき説明したように分身の記憶と感覚なども戻ってくるので、それまでの疲労や負担も戻ってくる。
だから1日の終わりにはスキルを解除している。
それでも数十人の1日が戻ってくるのでかなり疲れるが。
誤字脱字があれば教えていただけるとありがたいです。
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