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野営は何事もなく朝を迎えた
最後の夜番のピーター達には寝ててもらって
沙夜子と楓たちは朝食の準備
僕は野営地の周りをいつものように2mほどの深さの空堀を掘る
何人かの探索者が見ていたが気にしない
今朝もゴートンから話しかけられた
「おはよう朝からまたすげーことしてるな!」
「おはようございます!」
「ダンダンブに行ったらもっと驚きますよ、全然違う村になってますから」
「そうか楽しみに村に向かうよ」
朝食を食べ無限収納に入らないものを背負って出発の準備をした
お昼をちょうど過ぎたころ目の前に川らしきものが出てきた
楓が川を見て
「川?水が少ないね」
キアステンが答える
「川なんてこんなものではないのですか」
「たぶん何百年も前はもっと水量があったと思うよ、川幅が1㎞ぐらいあるから」
「向こうに見える山が蘇れば水量も少しは増えるんじゃないかな」
斜面に緩やかに作った道を下りてゆく
川幅は30m位しかない簡素な木橋がかかっている
「ここに大橋を作ったらもう少し交通の便がよくなるな」
独り言に沙夜子が答えた
「橋つくるの?」
「わからないけどアーチ橋は作ってみたい!」
「大きい建物アーチ構造の練習になるから!」
「なんだか建設馬鹿になってない?」
「インフラ整備馬鹿になりたい!」
「バカは否定しないんだ・・・」
川を渡り反対側の斜面を登り切ると村が見えてきた
「やっと次の村だ、転移者が二人いる、たぶん楓の両親ポイ」
「ほんと!なの?」
「ほかの人たちにはまだ内緒だ、僕らが転移者なのも話してないしね」
「わかった楓ちゃんには?」
「話してある、会った時に驚かないようにとも」
「そっか、たぶん14才だもんね」
少し歩くと村の門が見えてきた
門番が
「君たち見ない顔だね、身分証は持っているかい」
「こんにちは、探索者兼商人見習いの綾人と申します」
ギルド証を見せながら名乗る
「そうか今宿屋は空きないぞ!広場で野宿か戻って川原で野宿だな」
「わかりました探索者ギルドはありますか?」
「ここは鍛治ギルドと商人ギルドしかない」
「では商人ギルドはどこにありますか?」
「大通りに天秤の看板があるそこが商人ギルドだ!ちなみにその向かいの槌の看板が鍛治ギルドだ!」
「ありがとうございます、では行ってきます」
「楓、村の西の外れの柵の側にある一軒家に転移者がいる」
「先に商人ギルドに行ってからそちらに向かおう」
商人ギルドの前までやってきて布をみんなで抱え中に入った
「すいません、ちょっとよろしいでしょうか?」
「何でしょう。とりあえずそちらのテーブルでお待ちください」
テーブルに布を十五反置きしばらく待っていた
「初めましてリバルタン商人ギルドの副頭取のアルーバンと申します」
「商人ギルド証はお持ちでしょうか?」
「探索者の綾人と申します、持っていませんが」
「初めての方ですかギルド登録料は金貨五枚です」
「銀貨混じってもよろしいでしょうか?」
「いいですよ」
副頭取に金貨、銀貨が入った袋を渡した
「確認させてもらいます」
一枚一枚確認していった
「少々お待ちください、それと探索者ギルド証をお貸し願いますか?そちらに登録させてもらいます」
ギルド証を渡す
そのあと布を納めいったん商人ギルドを後にした




