第34話 なんか可愛いのでた~!
■ マリオン。異世界に落っこちてきた。マリオンに改名する勢い。
■ 〝あいつ〟無限炉の中で会った存在。真理雄に魔法を伝授した。
■ ネム。獣族の女の子、ものすごい美少女。白虎の特徴を持つ
■ ミルテア・大地母神ステルアの神官。ハーフエルフ。ものすごい巨乳。司祭様。
■ ロイド。森であったハンター。体格のいい重剣士
■ リリ。森であったハンター。微妙に露出のおおい魔法使い。
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第34話 なんか可愛いのでた~!
宇宙遊泳のように滑るのをやめ、その落ちていた『存在』にそ~っと近づいた。
そしてドキリとする。
それは一言で言うと幼女だった。
ちょっと変わった幼女だった。
何が変わっているかというと下半身が蛇みたいになっていたのだ。
髪の色は金茶色、下半身の鱗は深い緑でとても美しい。
ラミアとかそういう種族だろうか?
ただ蛇体にしては鰭とかあって長細い魚にも見える。人魚だろうか?
まあどちらにしてもかなり綺麗だ。
「しかしさすが異世界だな、こういう種族もいるんだね」
俺は不思議とこみ上げてくるわくわくした思いにちょっと振るえた。
だが幼女が倒れているのだ。ぼけっとしてもいられない。えらいこっちゃなのである。
俺はその子に駆け寄るとそっと抱き上げる。
見た目3才ぐらいの女の子だ。
着ている服は貫頭衣のようなシンプルなデザインの服だが刺しゅうなどできれいに飾られている。かなり手の込んだデザインだ。
そんな子が意識をなくしてぐったりしている。
だが何処が悪いのは分からない。
なので何かの助けになればと魔力視で解析してみる。
それで判明したのだが頭に角があった。髪に隠れているがあたまの両脇にちっちゃい角が生えいる。そして上半身は人気のそれと変わりがない。
さらに見た目は…ものすごく可愛い。天使だね天使。ほっぺとかプニプニで、手もまだ赤ちゃんみたいな手で…
そして鑑定の結果、原因らしいものも分かった。
「この子はすごく魔力が足りてない気がする」
魔力視たところ、体内の魔力が減少していて、魔力の循環に支障が出ているような状態のようだ。
他には怪我とかはしていないようだ。
「よし【魔力充填】!」
別に魔法ではなく、俺は幼女の心臓付近に手を当ててゆっくりと魔力を流してみる。
「おおっ、他人に魔力を注ぐのは初めてだが…なんかうまくいっている」
流した魔力が幼女に吸収されていくのだ。
そして俺の魔力が注ぎ込まれるのに合わせて幼女の体内で魔力が動き始める。遅々とした変化だが、確かに魔力は補充されて…
「うみゃっ」
「うおっ」
いきなり幼女が飛び起きた。
そして俺の手を掴み、指を、魔力を注いでいた手の指を掴んでぱっくと吸い付きチューチューと吸いだした。
ちょっと吃驚したがそれは子供が母乳を欲しがるような様に似ていた。
どうやらこの子は魔力を吸うことができる種族のようだ。
俺は指先に魔力を集め、幼女が魔力を吸いやすいようにしてやる。
なんかすっごく可愛いなあ。
◆・◆・◆
「うみゃ みゃうみゃあるみゃなゃうな~」
身振り手ふりを交えて一生懸命お話しする幼女。
「うん、何言っているか分からん」
だが嬉しそうな顔と。俺にしがみつく仕草はネガティブなものでは無いだろう。
「みゃにゃや~」
完全に懐かれたな(超うれしい)。ちっちゃい手と蛇のような下半身を使って器用に俺に登ってくる。その笑顔たるやまさに天使である。
こういうときはあれだ。子供を喜ばす必殺技。人力メリーゴーランド。
俺は後から幼女のわきの下に手を入れ、そのまま持ち上げてブーンと振り回す。
だいたい二回転か三回転ぐらい。
それ以上は危険なのだ。
「きゃーっっ! にぁははははははっ」
うむ、やはり子供は振り回されるのが大好きだ。
回転が終わって地面に卸すと幼女は少し不思議そうな顔をして、くるっと俺に背中を向けたかと思うと両手を挙げて(つまり持ち上げやすい格好で)迫ってくる。
「もう一回?」
「? モッカイ」
うむ、言葉はわからなくても意思の疎通は出来るな。
それから目が回るまで(俺の)、メリーゴーランドをやらされた。
恐るべし『モッカイ』攻撃。
幼女はついに正面からだっこをせがみ、俺が手を出すとくるっとお尻を向けるという高等技術まで身につけてしまった。
いやー、子供って際限ないからなあ…この人面白いと思われたらとことん付き合わされるんだよねえ。
その後鬼ごっこで掴まったらくすぐられる遊びとか、なぜか木の棒を投げて取ってこいとか(すごく喜んでる)色々やって、しばらく楽しい時間を過ごしてしまった。
それは幼女のお腹がくぅ~~っと可愛い音を立てるまでつづいたのだ。
◆・◆・◆
「よし、飯にしよう」
「ヨシ」
俺のまねをして腰に手をあてるポースが可愛いぞ。
さて、では宿屋で用意してくれた弁当をつかうか。
「う~、あぎゃうあう~」
お気に召さなかったらしい。
宿屋で買ってきた弁当は炊き込みご飯のおむすびで、野菜たっぷりの美味しそうなものだ。
だがこれは確かに子供には受けが悪いかも知れないな。
となると後はお肉を焼くとかか?
実をいうと焼き肉のたれがあるのだ。
ちょっととろみがあってほんの少し辛みがあってごまなど浮いている。
あの宿屋の自慢の一品だそうだ。
リリアがやたら親切でいろいろな物をくれたんだよね。
代金は多めに払いましたともさ。
「さて…」
ここは腕の見せ所だ。
ここに来るまでに身に着けた解体の妙技(そんな御大層なものじゃないです)の見せ所なのだ。
今こそ実践の時。
お肉は結局売らなかったからね。
「あうわ~きゃう」
ガモガモがおいしいそうだからそれでも…と思ったら幼女がなにか見つけれたようだ。
だが幼女がにらむ方を見ても何もない。
しかし魔力視を開くその草むらの奥に……
豚だ…豚がおる。
と言うか豚か? 羽根が生えてるぞ?
ぶひぶひ!?
やっぱ豚だな。ピンクの子豚だ。ただし背中に小さな羽根が生えているやつ、そしてまん丸。
「凄いな…今日は異世界衝撃出会い祭りだ」
「あぎゃう~」
幼女は俺の裾を引き、豚を指さし、何か言っている。
たぶんあれが食べたいのだろう。
そして満を持して豚にとびかかる幼女。
下半身の蛇体を生かしたばねのあるとびかかりだった。
だが豚はひらりと避けた。
しかもよけた先で空飛んでるし。
幼女の動きは思いの外良い。これは鬼ごっこなどをしているときに分かっていたことだ。
だが子豚の動きはさらにその上を行く。
子豚の回りで風が渦巻いて子豚の動きをサポートしている。たぶん風を操れるのだ。そして風で動きを補助している。なるほどこういう力の使い方もあるのか…
スゲーな異世界生物。
しかし幼女はあきらめない。何度も何度も飛びかかっては地面に倒れる幼女。
「ぎゃう~」
目に涙が浮かんでいる。
ついでに口からはよだれが。
すっげーけなげでスゲーかわいい。
よしよし、ここはおいちゃんが手伝ってやろう。
俺は左手からライフルを取り出した。




