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第105話 ラウニー救出作戦①

 第105話 ラウニー救出作戦①


 その場所は意外と中心街だった。

 貴族街というやつだ。


『おーい、ここよ、ここー』


 小さな声で叫ぶという器用なことを実行しながらティファリーゼがぴょんぴょんはねている。


「痴女ですか?」


 ネムが目を見張った。


 うーん、一応外套は着せたんだけどね。

 ポンチョみたいな外套(ヤツ)だからぴょんぴょんはねると丸見えだな。

 ティファリーゼの格好は裸に装甲版を張り付けた、しかも露出がぎりぎりまで行ってる感じのやつだから、うん、夜の月あかりの下だと痴女に見える。かもしれない。


 本人は全く気にしてないけどね。


 あっ、でも考えたらあの鎧って、ティファリーゼの自前だよね。

 鱗とかそういう感じの。

 だったらあれって全裸じゃん。


 痴女だな。決定。


「おそーいー」


 家の女性陣はどう対応していいのかわからないみたいだ。


「あー、こういう人だが結構強い。

 夜だからこんなだが昼間見ると結構…かっこいく見えたり見えなかったりする」


「どっち?」


「うーん、戦闘スタイルとして問題ないぐらいだ」


「ならいいですね」


 ネムは納得してくれたようだ。


「遅い、スライム。ここ。臭い」


 人間の言葉をまともに操る努力を放棄したらしい。


 それじゃなかったら興奮して思考力が落ちているか。

 急いでいるときとか外国語を理解するのとか面倒だしね。

 さて。


「ああ、間違いないね」


 俺は屋敷の地下からスライムの魔力反応を検出した。

 スライムって魔力の反応が完全に一属性に固定されているから目立つんだよね。

 しかも光属性とか空間属性とかほかではほとんど見ないし。


 さて、ではほかには…


 俺は魔力を地面に向けて放つ。

 魔力は透過性を持っていて、同じ魔力によって干渉される。

 つまりレーダーのように、あるいはCTのように使うことができる。


 魔力が進むごとに地下の様子が脳裏に浮かび上がって来る。


 屋敷はほどほどの大きさ、だが地下はかなり広い。

 地下一階が居住スペースのようだ。これは秘密基地のようなものなのだろう。ヤバイ人員が隠れ住むための施設だと思う。


 地下二階が牢屋。というか檻だな。


「魔物がたくさん…うん、結構色々いるな大型のものもいる。うん。ラウニーもいるな」


 見つけた見つけた。元気そうでよかった。


「となるとまともな魔物商会じゃないですね。

 人さらいまでするようじゃ…」


 ラウニーに関してはティファリーゼの知り合いの子供ということになっている。

 容姿を説明したら『ラミア族』という亜人である。と解釈されたようだ。

 下半身が蛇の獣人もいるんだそうだ。


 ただここら辺は解釈が難しく、交流ができないわけではないがほとんど行き来はないし、メンタルの部分でかなりかみ合わない部分がある。

 そんなわけで亜人とするか魔物とするかいろいろ解釈があるようだ。

 ちなみにキルシュ領では一応人間扱い。

 交流はないが実害もないのでお互いに尊重し合う。という感じか。


 読み取った魔物の特徴などを説明したら許可のない魔物がほとんど。こうなると件の魔物の密売組織としか考えられない。


「私が走ります」


 そう言うとネムはフレデリカさんの所に御注進に行った。

 ネムならばすぐに話が通るだろうし、そうすればすぐに治安騎士が出張ってくるだろう。


 あっ、治安騎士って言うのは町の治安にかかわっている騎士たちのことね。俺が勝手に呼んでいるだけだけど。


「さてあとは」


「すぐに殲滅」


 ティファリーゼがやる気になっている。

 魔族なんだから人間かなんか物の数ではないと思うがさすがにまずい。


 走っていこうとする彼女の髪の毛をつかんで引き戻す。


「みやあぁぁぁぁぁっ」


「「うわあ…えっち」」


 転び方が確かにエロイ。というかこいつあれだな。よく物語なんかでエロハプニング起こすやつ。無意味に脱げたり出したりするやつ。

 まあ、森に帰るやつだからいいだろう。


「さてと」


 恨みがましい目で俺を睨むティファリーゼを無視して俺は屋敷内に侵入する。

 かなり高い壁とかあるけど空を飛べば意味もない。


 もちろん俺一人ではなくほかのメンバーもつれていく。


 ミルテアさんと迷探偵のシムカも連れていく。仕方ないから。

 屋敷に入ったら番犬ならぬ番魔獣(犬っぽいやつ)が走ってくる。


「やべっ、こんなのもいたのか」


 どうしようかと思っていたらティファリーゼがドンと足踏み。

 その瞬間番魔獣はピクリとしてコロンと転がって降参のポーズ。

 格が違うということだな。


「すごいですねえ…魔獣使いの方ですか?」

「なるほど、あの痴女のような格好は魔獣を従えるためのものなんですね。ごてごてした服とかよくないと聞いたことがあります」

「そうか~、そういえば前に百花繚乱にいた魔獣使いもきわどいビキニアーマーだったとか聞いたことがあるわね~」


 余りかかわりたくない世界だな。


 しかしうまい具合に地下の牢屋は屋敷の隅の方に寄っている。

 深さは10mぐらいあるけど。

 問題なし。


「それ、ずこっと!」


 俺は地面を丸く切り取って引っこ抜いた。



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