17.分岐
彼らは、家に付けたマーキング、そして黒の少年自身にかけた追跡魔法を頼りに進んでいた。
イカゴの森はとても入り組んでいてこのような標なしにはたどり着くことなど到底かなわないだろう。隠れ場所にはもってこいである。
道のりの半分ほどまで進んだ時点で、マーキングに変化があった。追跡魔法をかけた少年の反応だ。それは自身の隠れ家を離れてどこか別の方向へと向かっている。その速さは徒歩や走りのそれではない。
還ってきたところを待ち伏せする心づもりで、彼らはそのまま進んだ。
ついに隠れ家らしき家屋にたどり着いた。しかし、様子が何か違う。明らかに禍々しい結界が張られ、侵入者を拒んでいる。彼らはみな、家内の術者の強大な力を想像することができた。ユハは先日の黒人形の存在を予感した。或いはそれよりも厄介な?
いずれにせよ、攻略に時間がかかることは確かであった。ユハは兵力をこちらに割くことに決めた。900もの兵、そして二名の白魔法使いを残し、ユハともう一人の白魔法使い、及び100の兵で黒の少年を追うことにした。
追った先はイカゴの岬。少年は一人、海を見て静かに泣いていた。
その容貌は以前見た通り目深に髪を伸ばし、顔は遠目には判然としない。
このようなところで一人、何をしているのだろうか。何を考え、なにをそんなに悲しむことがあるのだろう。100の兵と2人はじりじりと目深髪の少年を追い詰めるように近寄っていく。やおら少年は振り返り、白の集団の存在を認めたようであった。




