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14.「詭計」
彼は既にイカゴに戻り、2時間の張り込みを行っていた。月が屹立した空の頂を拝もうとするその時刻。普段から規則正しい生活を送っている彼には、そう例のない試練であった。とろんと垂れるそうな目と付き合いながら、意識だけははっきりと。先のような失敗は繰り返さない。人形に、囮としてソランを象った映像を彼女の元居た位置に映し出させた。広場中心の木を点対称として、双方は待機している。
果たしてその少年がやって来たことを、人形の目がとらえた。彼は広場へ顔を出さない。こちらを警戒しているのか、気配を探っているようである。彼がその場へ近づこうが、そのまま踵を返そうが、関係のない話である。一度そこに現れてさえしまえば、彼か人形のどちらかが黒の少年にマーキングをつけ、追跡をすることが可能であった。
―来た。ユハの予想通りに、その少年は木の元へと近づいて行った。月のスポットライトに包まれた落とし穴。それを上から覗く2つの白い影
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