12.白と黒の境界
目の前にいる対照的な二人の姿を、白人形はただ眺めていた。彼の人格は、「ソランを守る」という命令を忠実に遂行する意思をもちながら、このイカゴという地に突如として現れた、黒の少年に興味を示していた。人形にとってこの者は、他に彼が今までに見てきたほかのどの人間とも変わるところはなかったが、それでも、心のどこかに違和感をもっていた。無論、怪しい行動があれば即座に対応する。力量差でこの少年に劣る可能性はないだろう。そのため、観察の目は閉じない。しかしその少年は、お構いなしに、ためらうこともなくソランへと足を進めた。二人は会話を始める。話を聞きながら、彼は少年の様子を見ていた。ここに暮らして長いらしい。ソランという未知の世界を目にして、明らかな興味を示している。しかしそれと同様、彼がこの黒の少年に惹かれていたのも、また事実である。ソランは尋ねた。彼はどこに住んでいるのか、と。少年は答えた。そう遠くないところである、と。人形は考えた。この辺境の地に住む少年は、ここでどんな生活をしているのだろう。どのような夢を見て、毎日何を考えているのだろう。もう少し様子を見ていたかった。今度は、黒の少年の口から質問が出た。ソランはどこに住んでいるのか―。彼女は口を開く。彼女の所在が漏れ、身元が割れても、この世界に生きる少年には関係ないだろうか。
などと思っていた恍惚の間だった。彼女が何の前触れもなく気を失ったのだ。黒の少年か。まずい。白の人形は構えた。この少年を彼女に近づけさせるわけにはいかない。だがそう思ったときには既に、少年の姿は無かった。
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