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朝食の準備されたリビングに、私、お母さん、おじいちゃんとおばあちゃん。
そして、宇宙人――コル。
五人が長方形の机を囲み、コルをお誕生日席に座らせて。
「……というわけなのです」
小学校の帰りの替えの吊るし上げのように説明させた。
吊るしあげたといっても私以外の三人は始終ニコニコとコルの説明を聞いていただけだったのだけど。
「宇宙人ですってよおじいさん」
「心が躍りますなぁ。年甲斐もなくはしゃいでしまいそうですわい」
……実の祖父母にこんなこと言うのもあれだけど、あんたらは日本昔話のおじいさんおばあさんかいな。
「それでそれで、夜夢ちゃんのおかーさんの方はおっけーなのかな?」
覗き込むようにコルはお母さんの方へと視線を向けた。
「おっけーよー。なにこれ? 本物? かわいいわね」
「ああっ。耳も尻尾もいきなり触ったらだめだよぅ」
「いいじゃない。減るもんじゃないし」
「減らないけどくすぐったいんだ。あとなんか、むらむらする」
頬をほんのり赤く染めながらコルはお母さんの手を振りほどくように体をのけぞらせた。
「おかーさんもおっけーってことで、あとの残りは本命の夜夢ちゃんなんだけど……」
「いやなんかもう頭が追い付けてないんだよね。宇宙人とか、ホームステイとか。正直なんて言ったらいいか分からない」
「一言「どうぞ」って言ったら楽になるよ」
いやそれはダメだろ。
「アタシを玄関先で見た時に速攻で扉と鍵を閉めたようにサクッとそれくらい言っちゃおうよ」
「あれはほら、反射的に。宗教の勧誘とかキャッチセールスとかに間違って出ちゃったらとりあえず扉閉めるじゃない?」
「夜夢ちゃんの中で宇宙人って悪徳商法と同列なの!?」
「…………」
「お願いだから否定して!」
そんなこと言われてもなぁ……反射的な行動だったし。
「ちなみに聞くけど、私がコルのホームステイ断ったらどうなるの?」
「断っても、アタシ的に、というか目的としてはにはそんなに変わらないかな」
「? どういうこと?」
「断られてもどのみち夜夢ちゃんのこと一般的な日本人のサンプルとして観察するんだよね。ホームステイできれば堂々と近くで観察して、会話して。そうじゃなかったら勝手に小型カメラ的なやつで。もちろん地球の技術じゃまずばれないようなやつ」
「それ、私の意思関係ないじゃないの」
「まあね」
随分と軽いなぁ。
日本なら盗撮という立派な犯罪だぞ。宇宙人に日本の法律が適用されるかどうかわからないけどさ。
「はぁ……分かったわよ。知らないところで見られてるより、堂々と監視されたほうがまだましだわ」
「それはおっけーってこと?」
「そうよ」
「いぃやったぁー!」
コルの言葉に頷くと、彼女は腕を両手にあげて喜びを表現した。金色の尻尾もぶんぶんと犬みたいに揺れている。
やっぱあれ、感情とリンクしてるんだ。
「なによ、随分嬉しそうじゃない」
「そりゃそうだよ。夜夢ちゃんはアタシたちの監視の仕事知らないから分からないかもだけど、すっごく退屈なんだよ」
「あ、そ」
割とどうでもいい理由だった。
てかホームステイって暇つぶしだったんかい。
想像以上にくだらない理由だったから、一気に肩の力が抜けてしまった。
「ところであんた、なんかもっと宇宙人的な事できない? 耳と尻尾だけだといまいち信じられないというか、実感ないというか」
「よゆーよゆー……とりゃ!」
「とりゃって……はい?」
コルが腕にしていた輪っかのようなものに指先で触れると、私たちの横、リビングの端っこに黒いスーツを着た一組の男女が表れた。
全く知らない人だったから、私も、お母さんたちも首をかしげている。
黒スーツの二人は呆然と口を開けて、信じられないものを見たかのような目をしていた。
私はコルに尋ねる。
「この人たち、誰?」
「この人たちはね、いろいろあってこの家の周りをうろうろしてた公安の人だよ。なんかアタシとついでに夜夢ちゃん一家を監視してたみたいだから、代表で二人に出てきてもらった」
代表で、二人に。
つまり、もっといっぱいいるということだ。
……頭痛い。
黒スーツの二人はコルにもう一度元いた場所へと帰してもらった。
「キャッチあんどリリースってやつだね」
「それは違う」
そもそもキャッチするなよ。




